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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第六章 謎解き騎竜
236/308

224.合流

 先導していた兵士が立ち止まり、左を向くとそのまま扉に手を掛ける。

 促されて開かれた扉を潜った途端――


「マーロウさん! それと――えーと」


「ご無沙汰しております。ノルディスです。ユニィさん」


 相棒がリーフェ達の契約者――そういやユニィという名前だったな――の手を握っている。


 ――まどろっこしいな。

 俺は二人から視線を外すと、部屋の中を見回しながら口を開くことにした。


『それで。魔人と遺跡に関する資料はどこにあ――ぐっ。何すんだよ』


「おいマーロウ。まずは挨拶だろうが。挨拶。礼儀だぞ」


 相棒が俺の頭を押さえている。

 どうやら下を向かせようとしているようだが――挨拶とか礼儀とか。一体どの口が言ってるんだ?

 お前だって、いつもは俺と()()だろ?

 そうは思ったが、押し問答をしても仕方がないので素直に頭を下げておいた。


『よう。久しぶり』


「おふたりともお久しぶりです」


 俺の適当な挨拶にも、律儀に挨拶を返してくる。

 ――そう言えばこんな子だったな。

 そう思いながらも。相棒が力を抜いたのを確認して、俺は先程言いかけていた言葉を続けた。


『――まずは、例の資料を見せてくれないか?』


「はいっ!」


 元気の良い返事と共に、ユニィが机の上の一山に手を伸ばす。

 そこには4冊の本が積まれていた。

 思ったよりも――少ない。いや。

 これまで同種の記述を見つけられなかった事を考えると、多いと言うべきか。


「確認だけど、部外者の私達が閲覧しても良かったのかい?」


「ええ、問題ありません。表向きは伏せてもらってますが――一応、私達も今回の大魔討伐の貢献者扱いですので。その一竜(ひとり)を捜索するという名目だそうです」


 ――大魔討伐。

 そう言われれば――ここに来るまでの町中が、勇者だの聖女だのでやけに騒がしかった気がする。

 それどころでは(資料の事しか考えて)なかったので完全に無視していたが――当然と言えば当然か。

 俺は納得すると同時。

 一つ――引っ掛かっていたことを思い出した。


『なあ。そう言えば魔竜はどうなったんだ? リーフェの奴から魔人を倒したと聞いたんだが』


「え? 魔竜――ですか? それと魔人に何の関係が? それとも、リーフェの行方に係わっているんでしょうか?」


 ――ああ。こいつもか。


『いや。何でもない忘れてくれ』


 どうやら、魔竜に関する記憶が無いのはリーフェだけではないらしい。

 この分だと、今後誰に聞いても徒労に終わるだろう。

 ――だとするならば。

 これ以上考えていても解決策はない。

 俺もこの件に関しては忘れた方が得策だ。


 そう切り替えて。

 ユニィの示した4冊の本を、改めて見る。


 その背表紙は――

 『門の遺跡と奇術師』

 『黄昏の奇術師』

 『魔界伝聞録』

 『全国遺跡巡り――今、遺跡が熱い!』


 ――ああ。そういうことか。


 とりあえず、1冊はユニィに任せておいて――俺と相棒は、残り3冊の中身を確認することにした。


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