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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第六章 謎解き騎竜
233/308

221.道化

諸事情により今回短めです。

「ここに来るのも久しぶりだな」


 南北を繋ぐ航路の一つ。中央航路の南側の玄関口。

 俺達は、そのホープ何とかという港町を訪れていた。


『本当に良かったのか?』


 潮の匂いの中。

 港へと向かう道を辿りながら、隣を歩く相棒に声を掛ける。


「ああ。必要ならまた訪れるさ」


 肩を軽く持ち上げる相棒に、頭を下げかけて――止めた。

 代わりに口の端を軽く持ち上げる。


『そう――だな。あいつを追った方が新しい事が判明しそう(面白そう)だしな』


「まぁ、そういうことだ」


 返す相棒の口の端も、俺と同じく吊り上がっていた。

 確認するまでもなく、俺達は根本は似た者同士――という事なんだろう。


 ――だが。


『――なあ。そろそろその恰好は止めにしないか? 調査は一旦中断だろ? 気が散って仕方ねぇんだよ』


「何言ってるんだ。今回の旅も脚竜族の調査のようなもの。だとするならば、この服が適当だろう。何より――」


『いやいや。どこが適当なんだ。どこが。目立つ――いや、目障りなだけだろ?』


「そんなことは無い。ほら見ろ。私に似合ってるだろ?」


 そう言って手を広げる相棒。

 半身赤、半身黄色のその姿は――どう見ても、せいぜいが道化師(ピエロ)といったところだが。


 ――ふと。

 道化師という言葉に、嘘つきピエロとも呼ばれたホラ吹き奇術師の名を。

 彼の逸話の一節を思い出した。


 ――彼は魔界を旅しその力を得た


 それだけじゃない。


 ――彼は世界の果てを見た


 頭の中で。

 バラバラだった事柄が、徐々に徐々にと鎖のように繋がり始めていく。

 まだまだ大きく欠けてはいるが、これは――


『行くぞ。相棒』


 港へと向かう足が、自然と速くなる。

 俺の後を追う相棒の服のことはもう――何の気にもならなかった。


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