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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第五章 開花
209/308

201.空間認識

 ――今のは?


 遺跡の奥へと走り去った魔人。

 その後姿は、既に見えない。


「おい。こっちだ! 奥へ逃げたぞ!」


 ――と。

 突如聞こえたアニキの声に、僕は()()を思い出した。

 今の僕達は――勝手に精鋭部隊の後を付いてきたようなものだ。

 見つかれば追い返されるだろう。


 慌てて角を離れ、ソニア達の待つ場所へと戻る。

 すると、早速ソニアが食いついてきた。


「ねぇキュロちゃん。今、イスカさんの声が聞こえたけど――どうしたの?」


『え? ああ――うん。ちょっとね。さっきの魔人がね――遺跡の奥に逃げたんだよ』


「――遺跡の奥って。もしかして――」


『――そうだよ。()()場所だよ』


 初めに『スキャニング』した時に、この遺跡の構造は把握できている。

 だから間違いない。

 魔人の消えた通路は――魔竜が居たあのホールに続く通路だ。

 そして――


『たぶん。アニキ達も』


 僕の言葉を聞いた瞬間。

 ソニアが踵を返して走り出そうとする。

 だけど――

 その手を掴む手があった。


「落ち着いて下さいソニア様。今出ては、他の者たちに見つかってしまいます」


 振りほどこうとしていたソニアの手が止まる。

 ――僕もお姉さんと全く同意見。

 だから、僕もお姉さんの言葉に続けることにした。


『そうだよ。お姉さんの言う通りだよ。まだあの場所までは30分は掛かるはず。まずは大部屋の様子を確認しとこうよ』


 ――本当は。その言葉は正確じゃない。


 普通の速度だと30分以上掛かるけど、アニキ達の速さならもう少し早く辿り着くはずだ。

 僕は並行して『サーチ』の術を使い、今のアニキ達の位置を探ってみた。

 脳裏の構造と照らし合わせると――僕が思ったよりもさらに進行速度が速い。もって15分――いや10分かもしれない。


 やっぱり――少し急いだ方が良いかも。

 内心焦りながら、『サーチ』の術を使った。


 ――『勇者の卵』

 ――『銀騎士』

 ――『冒険者』

 ――『性悪悪魔』


 対象を変えながら位置を。その数を――把握していく。

 そして。


『大部屋に残っているのは、性悪悪魔と銀騎士全員。後は――勇者の卵の人が一人と、冒険者の人が二人だね。逆に魔人を追っていったのは、アニキ達全員と――あと勇者の卵の人がもう一人かな』


 ――自分で言っておいて何だけど、思っていたよりも魔人を追っていった人数が少ない。

 この分だと――あの時よりも。


 慌てて首を左右に振り、嫌な考えを振り払った。


 焦っても仕方がない。

 今はまず。

 見つかることなく、大部屋を抜けるのが先だ。


 僕は軽く息を吐くと、目を閉じた。

 そのまま。

 頭の中の仮想空間に、大部屋の中に残った人達を配置する。


 部屋の隅の性悪悪魔とそれを守る銀騎士達。

 その悪魔に近づく残りの三人。


 その動きも含めて――頭の中に、大部屋の内部が再現される。


『今なら――見つからずにいけるかも』



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