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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第五章 開花
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199.魔人

 わずかに震える体。

 この震えは一体何だろう。


 もう一度、()()姿()を覗き込む。

 やっぱり――何度見ても人族にしか見えない。

 ――だけど。


 僕は『サーチ』の術を使った――半ば確信と共に。


 薄れた紫の光が四方に広がる。

 そして――その内の一つは。確かに、目の前の人族を指していた。


『やっぱり――』


 僕は()()を確認すると、ソニア達の待つ場所まで後退した。

 そして――何か言いたげにこちらを見ていたソニアに、今僕が見たものを告げた。


『アニキ達みんな、人型の魔物と戦ってるみたいだよ』


「人型の――魔物?」


 ソニアの言葉に、辺りを警戒していた銀騎士のお姉さんがこちらを振り返る。

 僕はそのまま言葉を続けた。


『うん。人族に見えるけど――魔物を『サーチ』したら、光がその()()を指していたからね』


 ソニアが口を開きかけて――お姉さんの方をちらと見た後に閉じる。

 眉間にしわを寄せて、何かを言いたそうな顔だ。


 ――そうだね。

 ソニアが言いたいことは分かる。


 そう。「魔物」と呼ばれる存在。

 それは、普通の生物とは一線を画す存在。たとえ普通の生物と姿形が似ていたとしても――そこには明確な違いが二つある。


 一つはその生命力。

 普通の生物であれば死んでしまう程の傷を負っても、魔物であれば簡単に死ぬことは無い。

 さらに言えば、生物としては不自然なまでの寿命まで有している。


 もう一つは『力』。

 一般的に。万物が持つとされる『力』は、体が大きくなるとか高度な知性を有するとか――生命としての強さに比例して強くなる。

 だけど――魔物だけはその理を逸脱している。

 例えば、明らかに弱い――小指サイズの魔物でも人族よりも強い『力』を持っていたりするのだ。


 そして、そんな「魔物」を『サーチ』した時に、反応があったということは――

 あの人影は姿形には関係なく、「魔物」という結論になる。


 だけど、人型の魔物なんて聞いたことすら――ない。

 そうなのだ。見たことも聞いたこともないのだ。


「まさか――魔人でしょうか?」


 ――そう思っていたんだけど。

 お姉さんはその正体に心当たりがあったようだ。


『魔人?』


 思わず聞き返す。

 僕の言葉は分からなくても言いたいことは分かったのだろう。

 お姉さんは頷いて続けた。


「はい魔人です。魔人は貴魔族に分類される、知性を持つ人型の魔物です。伝承によると、地の底より現れ地の底に還るとされています」


「なぜそんなものが――」


 ソニアの眉間のしわがさらに深くなる。

 何か考え事をしているようだ。


「分かりません。ここ200年は出現の報告は無かったはずですが――もしかしたら。大魔が竜だという先遣隊の報告は誤りだったのかもしれません」


 ――うーん。

 何だか良く分からないけど、さっき見た魔人が大魔ってこと?

 でも、()()では――


 ――――あれ?


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