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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第五章 開花
206/308

198.地形解析

 ――酷い目に遭った。


 ソニアの()を指摘したところまでは良かったんだけど。

 まさか――そのまま泣きだされるとは思わなかった。

 文句の一つでも言っておこうと思っただけなのに。


 たっぷり5分以上泣いた後で、ようやく泣き止んでくれた時には――心底ほっとした。

 だって。

 まるで僕がいじめたみたいになってたし――何より、銀騎士のお姉さんの視線が怖かったから。

 一見感情の見えない無表情に見えるんだけど――


 ――うぅ。

 思い出しただけでも背筋がヒヤッとする。

 あの顔には確かに。

 静かな怒りが滲み出ていた――と思う。


 だけど――今は。

 僕は銀騎士のお姉さんから顔を背けながら、口を開いた。


『それよりも。そろそろ行かなきゃ――でしょ?』


「うん。そうだね――でも」


 何だかソニアの歯切れが悪い。

 まだアニキ達に追い付いてないみたいだけど、急がないとそろそろマズいんじゃない?

 それとも――もしかして。


『大丈夫だよ。疲れてるのなら僕が乗せてくから。軽く走るぐらいなら乗れてたでしょ?』


 ()()()みたいに自由自在には乗れないけど、ユニィと三にんで遊んだ時には何度か乗せて――


「違うの――そうじゃなくて。――ちょっと。道を忘れちゃって――」


 ――違ったみたいだ。ソニアが少し俯いている。

 でも。そういうことなら。


『それなら大丈夫だよ。見てて――『スキャニング(地形解析)』』


 『測位』スキルの術の一つ『スキャニング』。

 ロゼばあちゃんみたいに、『プロット(地図生成)』の術と組み合わせないと意味がない術に思えるけど――確信があった。

 ()()()――()()()()()


 脳裏に浮かぶ遺跡の構造。

 行き止まりの道から最奥の広大なホールまで。

 遺跡の全容が虚像として構築されていく。仮想空間として認識されていく。


 後は――

 僕はそのままアニキを『サーチ』した。


 これで――アニキ達がどこまで進んでいるか。

 どのように進めば追い付けるか。

 簡単に、把握できるはずだ。


 額から溢れた『力』が収束し、僕の目の前に紫の光が現れる。

 この方角と――遺跡の構造からすると。


『ソニア。分かったよ。アニキ達はここから少し先の大部屋に居るみたいだよ』


 ――胸を張る僕を見つめるソニア。

 何だか、そんなソニアからの尊敬の眼差しが――新鮮だ。

 いつもなら――今頃。サギリの尻尾が飛んでくるところだからね。



『あの角の向こうだよ』


 僕がソニアと合流してからの道は順調だった。

 遺跡の構造は把握できるし、軽くとはいえ僕が走ればソニアが歩くよりも圧倒的に速い。

 追い付くまで、数分と掛からなかったのは当然だと思う。


 だけど――

 それにしても、アニキ達はまだ同じ大部屋に居るようだ。

 それに、何だか中で動き回って――


「ソニア様」


 僕が声を掛けるより先に。

 銀騎士のお姉さんが前に出る。


 耳をすませば――何か固い物が砕けるような破砕音が聞こえてくる。

 もしかして――魔物と戦っている?


「キュロちゃん」


 ソニアの呼びかけに一つ頷きを返して。

 慎重に角まで近付き、顔だけ出してその先を覗いてみる。


 ――そこには。

 予想通り戦っている精鋭部隊の人達が居て。


 だけど――



『アニキ達――いったい何と戦ってるの?』


 ちらっとしか見えなかったけど、アニキ達と戦ってたのは――もしかして()()


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