18.禁忌
「カロンさんいますかー」
ユニィがツノうさおばさんを呼ぶ。結局、僕達はあの後見張りおじさんのおつかいを引き受けることにした。
ユニィの村のためだから当然だよね。
――別に、ユニィが後でおやつをくれるって言ったからじゃないよ? もらうけど。
そんなことを考えていると、家の奥からツノうさおばさんが出てきた。
「あら。ユニィちゃん。今日はどうしたんだい? まだお手伝いしてもらう準備はできてないんだけど――そういう事ではなさそうだねぇ」
こちらを見てツノうさおばさんが言う。なんでわかるの?
僕の疑問をよそに、ユニィが話を続ける。
「ブロスさんからの依頼で、こちらの傷薬の補充をお願いしたいんです。代金も頂いてきました」
ユニィが腰のポーチから折りたたんだ紙と小さな革袋を出して、ツノうさおばさんに渡す。お? 今日は何だかユニィの手際がいい。
出発前に見張りおじさんに何かお願いしていると思ったら、これを書いてもらってたんだね。
「ブロスくんの依頼ということは、例のゴブリン関連ということかい? ――うん。やっぱりだねぇ」
ユニィが渡した紙を確認すると、ツノうさおばさんは家の奥に入っていった。
ん? 今何か違和感があったような。
『ねぇ。ユニィ』
「何? リーフェ」
僕は疑問を口にする。口にしてしまう。
『見張りおじさんのことをブロスくんって言ってたけど、ツノうさおばさんって何さ――//
//――嬢ちゃん、ありがとうな。それにしても流石騎竜は早いな。楽できて助かったぜ」
あ。あれ? 見張りおじさんも隣村に来てたの?
なんで? あれ?
ユニィが見張りおじさんに傷薬の入った薬箱を渡している。
周囲を見回すとツノうさおばさんがいなくなっていた。――というよりここは――
『ユニィの村?』
意味が分からない。僕が困惑していると、その感情が伝わったのかユニィが声を掛けてきた。
「リーフェ? 一体どうしたの?」
僕は疑問を口にする。
『ねぇユニィ。僕達いつの間に帰ってきたの? ツノうさおばさんはどうしたの?』
ユニィが首を傾ける。
「何を言っているのリーフェ? 傷薬を受け取った後、一緒に帰ってきたでしょ? ほら。さっきまで『おやつ。おやつ』って言ってたじゃない」
うん。全くわからない。僕も首を傾ける。
見張りおじさんが「あー」とか「うー」とか言っていたような気もするが今はそれどころではない。
『良くわからないけど――とりあえずおやつを食べながら考えようよ』
僕はそう結論付けると、ユニィの家に向けてユニィの背中を押した。
考え事をするには、おやつを食べながらの方が良いはずだもんね!




