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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第二章 おつかい騎竜
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15.宿敵と親友

『――こんなものかな?』


 今日は朝からスキル検証。

 いろんな物を入れたり出したり。時間をおいてみたりした結果。『ポケット』のできることが分かってきた。


 まずは基本。

『ポケット』の効果は収納。

『ポケット』を使うと僕の目線の先に直径5cmほどの黒い穴が現れる。発動可能な範囲は半径2mぐらいだ。それ以上遠い所に発動しようとしても黒い穴はできず、『ポケット』は発動しない。

 入れたいものを黒い穴に入れると収納ができて、出すことを念じると取り出しができる。出す時は特定のキーワードは必要なく、『取り出す』でも『出ろ』でも取り出すことができた。そのあたりの融通は効くみたい。


 次に入れることができるものについて。

 収納できるサイズは、黒い穴を通るもの。つまり直径5cmまで。正直微妙。

 ただし、中の空間はそれなりに大きいみたい。長い棒を入れたけど、するする入っていった。――やっぱり微妙。

 入口の大きさ以外の制約は――予想通りだけど、生き物は収納できないみたい。正確に言うと、入るのは入るけど、入れた瞬間に出てくる。――虫取りには使えそうにないね。

 あとは、一番重要な制約として、『ポケット』の中には1つしかものが収納できない。新しいものを入れると、先に入れたものが出てくる。この前の銀貨のように、袋とかでまとめれば1つのものとして収納できるみたいだけど――使い勝手は良くない。


 その他まだ検証中の事項としては――

 収納したものは収納した時の状態を維持するみたい。熱いお茶を入れて5分後に出してみたけど熱いままだった。

 ただ、長時間おいておくと、中から物が無くなることがあるみたい。焼きたてのクッキーは5分後に出したときは出てきたのに、30分で試したところ無くなった。他にもアイスも20分後には無くなってた。

 泣きそうになりながら考えたんだけど、状態を維持できる時間を超えると中のものが無くなるんじゃないかと思う。その辺の石で試したときは無くなったりしなかったから。――全く使えないよね。コレ。


 この辺は、引き続き試してみようと思う。

 ――もう二度と。もう二度とおやつは入れないけどね!


 ――――――


 今日は久々に村の子竜(ともだち)と遊ぶ予定だ。

 自宅謹慎中は当然みんなとも遊んでいない。だから今日があの日以来初めてみんなで遊ぶ日になる。


 ――ニヨニヨ


 僕が進化したということは村中の人が知っているし、みんなともあの日湖で合流した時に会っている。

 ――当然だけどモテまくるに違いない。――ああ。みんなそんなにきゃーきゃー言わないで? まだまだ1回進化。この先は長いんだから――


 そんなこと(願望)を想像しながら、みんなのところに行く。当然顔の向きは左斜め上15度をキープだ。


『何やってんの。うっかリーフェ』


 そんな僕に後ろから掛けられる冷たい声。


『――なんだよー。サギリ。僕がそんなにモテるからって突っかかって来なくても良いじゃないか』


 振り返ると。そこには僕の宿敵(ライバル)であるサギリがいた。


『あなたのどこをどう見たらモテているの? 進化したからって調子に乗ってるの?』


 言われて周囲を見回すと、確かに誰も僕に注目していない。向こうでは女子竜(おんなのこ)達が『やっぱりリネスさんが一番よねー』とか『私はラズウェルさんの方が――』とか話している。あれれ?


『はぁ。やっぱり、うっかリーフェはうっかリーフェね』


 サギリがため息をつく。むむ。僕より足が早いからって上から目線は無いんじゃないの?

 僕が反論しようとした。その時――


『お二竜(ふたり)さん。相変わらず仲が良いよね』


『『どこが!?』』


 話をぶった切るようにして現れたのは、僕の親友のマーロウだ。でも、いくら親友といえど、今の言葉は聞き捨てならないぞ?


『いやいや、今だって息ピッタリだっただろ』


 むむむ。確かにそうだけど。いつもマーロウにはこうやって上手く丸め込まれる気がする。

 僕が反論の糸口を探していると、マーロウが続けて話し始めた。


『それよりもリーフェ。お前進化したんなら、何かスキルが使えるようになったんじゃないのか? 俺にも見せてくれよ』


 え? そう? 見たいのなら見せても良いよ? 新しいスキル。やっぱりみんな見たいよね!

 僕は満面の笑顔を浮かべる。


『しょうがないなー。二竜(ふたり)にだけだよー』


 その前に何か言おうとしていたんだけど何だったかな?

 ――まぁ、大したことじゃないよね。


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