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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第四章 乗合騎竜
155/308

150.強力な術はカッコ良い

『そんなこと言われても僕にも分かんないよ』


 目が覚めたらいきなりサギリに詰め寄られたけど――

 あれだよね。なぜか『ポケット』の大きさが大きくなったやつ。

 最近無かったから忘れてたけど――そもそも僕にも良く分かんないよ。


 いつまでもしつこいサギリを振り払いながら、僕は真・光球おじいさんに話しかけた。


『ねぇ――なんだか凄い雷術だったんだけど――』


「うぬ? おぉ。まぁ儂も――昔はそれなりに鳴らしておったからのぅ。そりゃあもう、術をちょいと使っただけで女子(おなご)達がキャーキャーというて、モテまくりじゃったわい」


 ――いやいや。

 今僕が聞きたいのはそういうことじゃなくて、なんでわざわざ僕が足止――

 ――え?

 今、モテまくりって――言った?


 僕は全てを忘れて、思わずおじいさんの顔を凝視する。


「――なんじゃ。お主の『ウォーターハンマー』も――十分な威力じゃったろ? 自分に当てるとか、阿呆かと思うたが」


『――え?』

「ぬ?」


 このおじいさん何言ってるの――って、そういえば出会った時から変な事を言ってたんだった。


 ――ああっ!


 そうか。

 うん、そうか――そうだったんだね。このおじいさん――――もうボケてるんだね。

 ボケてるんなら、良く分からないことをしてもしょうがないよね。うん。


 何だか――スッキリしたよ。



「それにしても――少し遅くないですか?」


 ユニィがおじいさんと話す声が聞こえる。

 ねぇユニィ。

 おじいさんに聞いたって駄目だよ。もうボケてるんだから。


「――そうじゃの。じゃが、いつまた蟻が来るかわからんしの。儂等はここで待つしかないじゃろ」


「でも――そうだ。リーフェも見てっ。『サーチ』っ!」


 ユニィが突然こちらを振り向いた。びっくりしたけど――


『何も――見えないよ?』


 ユニィの瞳が紫に光るだけで何も起こらない。

 ――ああ。

 そうか。


「――近くには魔物はいません。今なら――大丈夫です!」



 ――――――


『――何これ?』


 洞窟を出た僕達が見たのは一面の――氷の世界だった。

 氷柱がいくつも立ち上がり、海は凍りついている。


 鑑定おじさんが「これは!」とか言いながら、なぜか氷柱の方に走って行っちゃったけど――

 いや。ほんと何これ?

 どうやったらこんなことになるの?


「――すみません。少々通してしまいました」


 驚く僕の後ろから、氷のお兄さんの声がした。

 何だ――無事だったんだね。

 いつまで経っても来ないから、もしかして何かあったと――


 そこで、目の前のユニィの顔がおかしいことに気付いた。

 目が大きくなってるし、何より驚きの感情が伝わってくる。

 みんなの顔を見ると、真・光球おじいさんを除いたふたり――ユニィとサギリは目が大きくなっていた。

 ――因みにおじいさんは光ってて良く見えない。


 ――いやいや。

 みんなして冗談は止めて――よ?


 ゆっくりと振り向いた僕の目に映ったのは――

 5mを超える氷の巨人だった。


 ――うん。

 お兄さんが洞窟に入れなかった理由は分かったよ。

 分かったけど――




 ねぇ、それってどうやってやるの!?

 とってもカッコ良いん(モテそうなん)だけど!


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