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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第二章 おつかい騎竜
14/308

14.進化因子

「おねぇーちゃーん。キューロちゃーん。あそぼー」


 ユニィの家に帰ると、早速ソニアに捕まった。

 いやいやソニアさん? また次に来た時って言わなかったっけ?


「こらソニア。リーフェと遊ぶのはまた今度って言ったでしょ?」


「えー。お昼に来た時に、次に来た時っていったよー。だからあそぼーよー」


 ――お子様理論だった。


「だーめ。もうすぐ暗くなるんだから。魔物が出てきたらどうするの?」


「やっつける!」


 いやいやソニアさん。棒切れで叩く真似してもダメだよ? 腰が入ってないよ?

 お昼のユニィも同じようなことを言ってたけど、絶対無理だからね?



 ――――――


 何とかソニアを言いくるめて――次に来る時は一日中遊ぶことになった――ユニィに別れを告げた。


「今日のお手伝いで分かったけど、やっぱり計算と地図読みは訓練が必要だね。次に来た時には特訓しよ?」


『えー。僕はできるし、同じ訓練ならスキルの方が――』


「お願い。リーフェ」


 別れ際にそんなやりとりがあったけど、そもそもソニアと遊ぶ約束はどうするの?

 ユニィはやっぱり真面目だね。



 ――――――


 ――はぁ。

 ため息しか出ない。


 今日のお手伝いは反省点が多すぎた。


 ひとつ。地図の読み方がわからなかったこと。

 地図の下側が自分の向いている方向だったか上側が自分の向いている方向だったか。

 ずっと悩んでいたんだけど、リーフェは一目でわかったみたい。悔しかった。


 ふたつ。雑貨屋のお姉さんにお届け物の情報を伝えられなかったこと。

 今回は()()()()だったからお姉さんが気づいてくれたけど、次は気をつけなくっちゃ。


 みっつ。実はリーフェの方が計算ができるってわかったこと。

 そもそもの失敗も反省点なんだけど……

  『銀貨3枚でお手伝い30回』

 これを一瞬で計算したリーフェ。

 リーフェに叱られながら確認してみたけど、銀貨1枚が大銅貨10枚だから、銀貨3枚は――って考えてたら、リーフェのお説教が終わってたもの。やっぱり悔しい。


 絶対次にリーフェが来た時に教えてもらわなくっちゃ。うん。

 


 それにしても――リーフェのスキル。

 『ポケット』だったっけ? 何だか凄かったなぁ。

 私もスキルとか使えないのかな?

 


 ――――――


 寝床の中。微睡みの中。

 僕は進化樹を眺めながら考えていた。


『計算と地図の特訓かぁ』


 進化樹を眺めながら、中央付近の2箇所を見る。


 2回進化の『トレーダー』

 3回進化の『ナショナルトラベラー』


 いずれも5回進化にも至っていないし、今の僕からはなることのできないクラスだと思う。

 それに何だか地味だしね!

 ――いや。そういう話じゃなかったよ。


 ――ああ。そうそう。

 これらのクラスにも当然固有の能力(特性スキル)はある。そして、その特性スキルが――『算術』『地図生成』なのだ。


 そこまで考えて改めて進化樹を俯瞰して見る。


 そこに記されているのは、200を越える進化種(クラス)の名前だ。

 そしてこれら全てに――


『進化因子がある』


 そう。僕達脚竜族は長い歴史と経験から、『クラスにはそれを決めるための因子が存在する』ということを把握している。そして、その因子が特性スキルに影響していることも。

 つまり、先の2つのクラスで言えば、彼らは算術や地図に関連する因子を保有しているということだ。


 とはいえ、それら因子の獲得方法はまだ定式化されていない。更に言えば、高位の進化には因子の組合せや強度も必要となってくる。

 結局、一筋縄ではいかないのだ。

 ――いや。だからこそ――か。


『まぁ、色々やってみるしかないかな』


 参考になりそうな進化先の情報はない。それどころか、今自分が保有している因子すら全貌はわからない。


 前途は多難だけど――とりあえず今は――そっと瞼を閉じる。

 ――微睡みに身を任せよう。


 ここまでで一区切りですが、2章はまだまだ続きます。

 一度、登場人物等の設定を挟みます。

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