129.好き嫌いは良くない
『3回進化までだとこんなものかな?』
僕の言葉にユニィがペンを置く。
思ったよりも数が多そうだったので、メモを取ることにしたみたいだ。
――メモを覗くと、そこには20を超えるクラスがレア度と共に記されている。
殆どが属性色進化と行動進化と呼ばれる進化で、能力進化はほとんど無い。
もちろん、4回進化になればどんなクラスでもレアなんだけど。
「それじゃ読み上げるね」
ユニィの言葉に頷く。
まずはレア度1。挙がったクラスは以下の通りだった。
・能力進化:3回進化の『ヘビーラプトル』、『アイアンラプトル』の2クラス
・属性色進化:2回進化は全7色の内の『ブラックラプトル』1クラス。3回進化は全部レアだけど、比較的多い5色からの進化9クラス
・行動進化:2回進化の内、種族特性を克服した『スイマー』1クラス。ロゼさんの『ナショナルトラベラー』を含む3回進化6クラス
レア度2になると一気に減る。
・能力進化:2回進化の『ワイズラプトル』のみ1クラス
・属性色進化:2回進化残り1色1クラスと、3回進化は黒色からの進化1クラスに複合色進化4クラス。
・行動進化:3回進化の『バトルジャンキー』1クラス
レア度3は――残念ながら3回進化以下にはない。
『ワイズラプトル』系統みたいな、「3回進化ですら未到達」のクラスなら可能性があるけど――今回の趣旨からは外れるので保留だ。
ユニィがリストの最後のクラス名を読み上げた。
僕は一呼吸置くと、バイスさんの顔を見ながらその内の1つを前脚で指差した。
『やっぱり2回進化がお手頃だと思うんだ』
『いや。だからと言ってそれは無いんじゃないか?』
バイスさんがワガママを言う。
いやいや。そんな事言える立場じゃないでしょ。
『そんな事言っても、種族特性を覆すには余程の才能が必要だよ? できるの?』
バイスさんが黙り込む。
僕はここぞとばかりに畳み掛けた。
『属性色進化はモテるんだよ?』
――色によるけどという言葉は飲み込む。
そこにユニィからも援護射撃が加わった。
「私は可愛くて良いと思うけどな」
『だからと言って『ピンクラプトル』はないだろ!?』
えー。好き嫌いは良くないよ――と思ったけど、とりあえず黙っておいた。




