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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第四章 乗合騎竜
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125.正体不明

 ――あの瞳の輝きは――どう考えてもスキルだったよね?



 土の遺跡でユニィが悪寒に襲われて――翌日。

 結局あの後大事をとって、帰りの便は取り止めて帰ったんだけど――念のための意味も込めて、今日はお休みを貰ってのんびり過ごすことにした。

 ユニィはアリアさんからしっかり休む様に諭されたらしく、ベッドの上で大人しく寝ている。

 サギリは――じっとしていられなかったのか、朝から出掛けている。


 そしてそんな中、僕は――昨日の出来事について考えていた。



 悪寒を感じたあの時――確かにユニィの瞳は銀色に輝いていた。

 つまり、あの時ユニィが感じていた悪寒は、術を使用する時に体内で感じる冷たい感触の――もの凄く強力なものだったんだと思う。


 ――で。

 それが正しいんだとした場合、ユニィが一体何の術を使ったのかという話になるんだけど――

 あの時のユニィの瞳の色からすると、僕のスキルやサギリのスキルではないことは確かだ。

 僕のスキルを使う時は黒の様な紫の様な輝きだし、サギリのスキルの場合は黄色系の輝きだ。

 つまりは――


『正体不明の謎スキル』


 そう。

 それしか考えられない。


 ユニィが『リンケージ』の術を使う時の瞳の色は見たことがないけど、多分昨日と同じ銀色だったんだと思う。

 だから、昨日もきっと何らかのキーワードを強く念じていたんじゃないかな。


 ――うん。

 後で、様子見がてらその辺りの話を聞きに行ってみよっと。



 ――――――


「スキルかぁ」


 リーフェにその事実を指摘されて、初めて気付く。

 確かに昨日の悪寒は、術を発動した時に全身に感じる冷たい感覚――それと良く似ていた。

 だけど――


「『リンケージ』」


 試しに『リンケージ』のキーワードを唱えてみたけれど、相変わらず術が発動する気配はない。



 昨日あの時。

 昨日は最終便の出発まで間が空いていたから、私達は少し長めの休憩を取っていた。

 だけど――『リンケージ』も含めて、他に特段『キーワード』になりそうなことは考えていなかった――と思う。


 ()()を感じた瞬間もそう。

 特に何かを考えていた訳ではなくて――ただ突然。

 急に全身が冷たくなって――気付けば蹲っていた。


 ただそれだけ。


 ただそれだけ。


 ただそれだけのはずなのに。

 どうしてだか――不安になる。



 ――――――


「昨日。土の遺跡にて祭壇の間が活性化したとの報告が、冒険者ギルドより上がっております」


 ――青の遺跡に続いて土の遺跡が活性化した。

 その報告は、先日の報告の続きとして語られていた。


 大魔の出現と相次ぐ遺跡の活性化。

 これらを偶然と片づける事は難しい。

 特に遺跡に関しては、これで聖国周辺の4箇所全ての遺跡が活性化していることになる。


 それに――

 私は、傍で真剣に報告を聞いている少女を見た。

 ――普段とは異なる少女の反応もある。

 本件は引き続き注視すべき案件だろう。



「先日の依頼の件。先方――西都ウィルノレジス殿より応諾の回答を受けております」


 続いて兵の口から語られたその報告は。

 ともすれば、他の数多の報告の中に紛れる様な。

 その様な簡潔な報告だった。


 そう。

 そこに西都に住むというウィルノレジス氏の名前がなかったならば。


「条件は?」


「訪問は3ヵ月後。報酬は移動と滞在期間合わせて2ヵ月分の金貨3000枚分。それに加えて――ウィルノレジス殿は『過去に自らが鑑定したことの無いもの』の鑑定を要求しています」


「――承知した。ただし、訪問は極力前倒すように調整せよ」


「はっ」


 兵の返答を聞きながら。

 私は要求の中身について考えていた。


 まずは訪問時期。

 これについては、準備や移動日程を加味しても遅いと思われるので、調整が必要だろう。

 何だったら、移動手段をこちらで用意しても良い。


 次に報酬の金額だが――これは、期間により決まるため、現時点では妥当だろう。


 最後の条件。

 普通に考えれば――少女の鑑定がこれに該当するのだが。

 我々が知らないだけで、過去に鑑定されたものである可能性は否定できない。


 他に何か――バックアップ案は無いだろうか。


 逡巡する私の脳裏に浮かんだのは――最近まで共に旅した、少女の姉の契約騎竜。

 彼であれば、氏の要望には応えられるであろう。


 そう。それならばいっそのこと――



短いですが、本エピソードは本話まで。

次エピソードに入ります。

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