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微睡む騎竜の進化日記  作者: 白王
第四章 乗合騎竜
121/308

116.最深部

今回短めです。

『何をどうしたらこんなことになるの?』


 昼4便――聖国3時発の折り返し。

 今は時刻にすると、4時半を少し過ぎたあたりだ。


 僕達は、いつものように遺跡の探索を終えて戻る冒険者達を待っていたんだけど。

 ――目の前に現れた光景に、思わず疑問の言葉が出てしまった。

 その人達には多分僕の声は聞こえていなかったけど――思うことはみんな似たようなものだったらしい。


「どうしたんですかそれ! 皆さんお怪我はありませんか!?」


 ユニィが()()を見て、大きな声を上げた。

 少しだけ周りの注目を集めている。


「ああ問題ない。帰り道も頼みたい」


「――はい。分かりました」


 リーダーらしき人の答えに、ユニィも引き下がる。

 ――だけど、ユニィの視線が()()を向いたままだったことに気付いたみたいだ。


「――まぁ、それについては特段秘密にするような事ではないんだがな」


 そう言いながら、今日遺跡の中であったことを話してくれた。



 ――――――


「なるほど。こういうことか」


 今回の依頼は冒険者ギルドからの要請――指名依頼だ。

 当然だが、依頼事項については詳細説明を受けている。

 しかし――今回の件は、その説明だけではどうにも要領を得なかった。


「作動する罠から調査員を守ること」


 依頼事項はそれだけ。

 罠の種類に関する言及もなく、ギルド職員が例として挙げた罠も複数で統一性がない。

 明らかにギルド側でも特定が出来ていない――そういう様子が伺えた。

 ――ギルドから要請されたものでなければ、決して受けない類の依頼である。


 だが――


 実物を見て理解した。


 青の遺跡の最深部。

 数日前に発見されたそこには、青く光る祭壇が見えている。


 そしてその周りには――活性化した白色に光る魔法陣。

 まるで祭壇に近づくものを拒むように。魔法陣が隣接し――あるいは重なり。

 辺り一帯に敷き詰められていた。


 試しに魔法陣に向けて石を放り投げてみる。

 すると瞬時に魔法陣めがけて槍の雨が降ってきた。

 槍の雨は数秒ほどの時間を置くと消滅し、同時に魔法陣が再度光を放つ。

 魔法陣によって、出現する罠が決まっている様子だが――

 これだけ数が多ければ、種類の特定は意味を為さない。


 これらの魔法陣を読み解き、罠を解除することは現実的ではない。


 ――だとすると。取れる手段の選択肢は少ない。

 そして――俺達が呼ばれたという事実。

 つまりは、()()()()()()なのだろう。


「もう少し楽な依頼はないのかね」


 俺達は二人の調査員の四方を囲むと――隙間なく盾を構えた。



 ――――――


「その辺の傷は、腕みたいな太さの鉄杭を受けた時の傷だな」


 傷だらけになった(それ)を指さしながら、リーダーらしき人の説明は続く。

 話を聞く限り――どうやら罠がある場所を、無理やり押し通った際にできた傷のようだ。

 だけど――


「それで――結局。最深部では何か見つかったんでしょうか?」


「――そいつは俺達の口からは言えないな。まぁ、あれを見ればわかるとは思うが」


 その結果得られたもの。

 それについては――秘密らしい。

 ()()と言って顎で示された先を見てみたけど、弱そうな見た目の人族が二人いるだけで他には何もなかった。


 ――うーん。

 ユニィには今の説明で分かったみたいだし。

 後から聞いてみようかな?


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