10.再会
『鑑定かぁ』
僕は走りながら呟く。
あの後、鑑定スキルを使える人を探したけれど、当然すぐには見つからない。
かろうじて得られた情報は、ノルアじいちゃんが昔旅先で出会ったということと、『せいと』とかいう大きな町に鑑定スキルを使える人が居るって噂があることぐらい。
でもでも。噂を聞いたラズ兄ちゃんだけど、『せいと』がどこかは知らないらしい。むぅ。
まぁ、見つからないものはしょうがないね。
今できない事は気にしない気にしない。
それよりももっと重要なことがあるからね。
――――――
『ユニィ! 遊びにきたよー!』
扉から顔を入れて大声で呼ぶ。
謹慎も明けたし、早速ユニィの家に遊びにきたのだ。
許可? もちろん取ってある。めっちゃ怒られたくはないからね!
なんだけど――僕が声をかけた途端に家の奥から、がったんばったんと大きな音がする。
あれれ?
「リィーブェー」
『うわっ』
何故か泣いているユニィ。でも伝わってくる感情は喜び。どうして?
とりあえず、首は傾けておこう。
――――――
『あー。ごめんねユニィ』
その後、話を聞いた僕は、素直に謝った。
ユニィには僕が自宅謹慎になってるなんて想像もつかないだろうし、1週間と言ってたのに、全然来なかったもんね。
「うんん。もう良いよ。こうしてリーフェが来てくれたんだし」
ユニィはものすごい笑顔になっている。これが満面の笑顔ってやつかな?
そんなに喜んでもらえると、何だか良い事をした気分。
『それじゃあ、早速遊びに行こう!』
とはいえ、じっとしていられないのが僕達脚竜族の子竜。
早速遊びに行こうとしたんだけど――
「ちょっと待って。先にカロンおばさんのところに行かないと」
カロンおばさんって誰?
首を傾ける。
マカロンなら知ってる。食べたことないけど。
「え? お手伝いの約束。したでしょ?」
あーっ。ツノうさおばさんね。そういえば、そんな名前だった。
『そうだね。じゃあ隣村に遊びに行こう!』
「う。うん」
何だか困った顔をしてるけど、どうかしたの。ユニィ。
ため息までついているし。
はてな。
――――――
「おねぇーちゃーん!」
そんなやりとりをしていると、家の中から小さい影が飛び出して、そのままユニィにしがみ付く。
うん。ソニアだね。
「あーっ! キュロちゃんだー!」
うん。捕まったね。
っていうか、よじ登らないで。ユニィ以外が乗ったら危ないよ?
「こらソニア。リーフェが困っているからやめなさい」
「えーっ。つまんないー」
「つまんないーじゃないの。リーフェは私の騎竜。私以外が乗ると危ないんだからね」
「ズルいーズルいー。おねぇちゃんズルいー」
「ズルくないですー。契約したのは私なんだから」
うん。いつまで続くのかな。これ。
――――――
結局、僕が今度来た時にソニアと遊ぶという事で、この場は決着がついた。
僕の意見? そんなものあったっけ?
まぁ、遊ぶ事自体は大賛成だからいいけどねー。
ちらっと。
ソニアの方を見ると、ユニィにまた抱きついている。
姉妹とっても仲良しさんなんだね!




