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『七行詩集』

七行詩 741.~750.

作者: s.h.n



『七行詩』


741.


愛は 冷めやらぬ愛の中で


眠りにつくことを選びました


日が差せば その温もりに包まれながら


日が沈めば 浮かぶ星々に守られながら


もう失うことはないのだと


安らかな顔を浮かべている


その幸福から 目覚めることはないでしょう



742.


私は 期限の切れた 機械人形


一度は組み上げられた体を


動かすごとに 一つずつ部品が欠けてゆき


真っ直ぐに歩けなくなっている


明確な疲れに 呼吸が合わなくなっている


次に貴方が 私を見るときは


どのような姿に 成り果てているのだろう



743.


長い夏が終わり 一息ついた頃


秋風は 眠らぬ神経を休めてくれるから


私は創意のままに 動き始める


倒れるベッドは 小屋に一つ


避けようのない 嵐が過ぎ


無事だったならば また会いましょう


町に降り 傘を投げ出し その手を掴みに行きましょう



744.


美しい日々に 止まったままの


ぜんまい仕掛けの古い時計


来るべき時が 来たならば


ねじを巻き直さなくては


どこで買ったのか 思い出せない


けれど その時計に 何と名付けたかは忘れない


私のたった一つの宝と 同じ名前をしているから



745.


月見る君を 見つめている


静かな時間が流れている


昔は考えられなかった


この時間を 止めることも 守ることもできなくても


私たちはまた この席に腰を下ろすでしょう


次に並んで見上げる日まで


また少し 強くなることを誓います



746.


故郷の ススキの野原を思い出す


夕日が差し どこまでもかき分け 歩いていた


空はどこまでも高かった


滲む空気や色は秋


この土地に合う種を蒔き


背を伸ばす頃には 私も育っているように


かけた願いが 約束になるように



747.


ただのちょっとした一言が


誤解やすれ違いを生むことが


この先 何度だってあるでしょう


どうか呆れず 見つめ続けてください


私が貴方を 見つめるのと同じように


本当に大事なことは たった一つしかありません


それを いつまでも信じていてください



748.


同じ場所を目指しているなら


道は違っても この先何度も出会うでしょう


それを楽しみに 私は新たな靴を買い


その紐を固く結びました


絆を固く結びました


貴方の明るい知らせを待ち


貴方に届ける 知らせを持ち帰るために



749.


知っていますか 喜びのために 流れる涙を


ある日 世界が変わり 自分が変わることができたこと


一つの出会いが 五年、十年と影響してゆく


その先で私が掴むものさえ


貴方がくれたものでしょう


全ての記録が消されても


記憶は失うことはない 私が生き続ける限り



750.


どんなすれ違いや 諍いにも


落ち着ける忍耐が必要で


崩れ落ちる一瞬のために


今まで積み上げてきたのではないから


その視線を奪い続けるためには


絶えない努力が必要で


私を成長させるのは 結局 貴方の瞳なのです


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