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『とる』

作者: 雨水悠

なにかを創り出したい。そう思いペンを執るが、文字を上手に書くのが苦手で、それが気になって何もかけない。

ならば写真を撮ろうと思って古いフィルムカメラを棚から取り出す。なにぶん古いものなので、一度修理に出そうと思い、受話器を取り町のカメラ屋に電話をかけ修理の予約を取る。そうすると、電話の向こうで「店主は休暇を取っているため、しばらく休業です…」とあらかじめ録られたメッセージが流れる。損して得取れとはいうけれど、この場合は写真を撮る楽しみを失った代わりに一体どんな喜びが得られるのだろうか。

カメラで写真を撮るのは諦め、取り敢えず食事を摂る事にした。冷蔵庫から食材を取り出しながら、誰かが山に自生しているものを採ったり、海で生きている魚を獲ったりしてくれているから、私は好きなものを好きなだけスーパーで買える便利な暮らしができるんだなぁと思う。みんながそれぞれ生きる為に働いているからこそ、社会のバランスは取れているのだ。そんな事に感謝しながら食事の準備をし、食卓に食器を並べ、録っていた映画を観ながら遅い朝ごはんをのそのそと食べる。映画の中では、怪盗に盗られたお宝を取り戻す為に刑事が息巻いて指揮を執っている。チンケなストーリーだなと感想ノートにメモを取りながら、ソファに移動して結局最後まで観てしまう。

気がつくと化粧も取らないままソファでそのまま寝てしまっていたようで、日が暮れていた。一も取らず二も取らずな1日を過ごしてしまったと思いながら、明日の仕事の準備に取り掛かる。今日は何もできなかったが、それはこの先の長い人生において取るに足らない事だ。明日こそは何かを頑張って、達成感を感じられますように…と願いながら明日のための睡眠をとる。

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