仕方ねぇだろっ!
ギャグテイストですが、ほんの少し下品な表現があるので、苦手な方はご注意ください。
俺は最近おかしい…
同じ大学に通っている高津ヒロを見るとドキドキする。
はっきり言って意味わからねぇ
ヒロとは大学に入って会って、何となく気があって、それとなく一緒にいる。
まぁそんな感じの友達
俺が180位あってヒロはもう少し小さい。
別に色っぽい訳でも無く、超美形と言う訳でも無いけど、なんか一緒にいると楽しいし安心する。
ただそれだけのハズだったのに、
それプラス変な感情が芽生え始めた、俺はこんな感情知らねぇ…。
なんか、離れたくないというか、近くに居たくないというか矛盾した感情。
他の人に話し掛けて欲しくなくて、自分一人で独占して、抱きしめて……
…
って、俺何考えてんだよっ!!
あいつ男だぞっ!!
いやいや、ちげぇよこれは恋とはちげぇ、
だって俺、可愛い女の子と付き合った事あるんだ!
あの、愛しいとか一緒に居て楽しいとか思うのが恋なんだ!
今の感情とは全然ちげぇ!
今は一緒に居るのが苦しい時があって、ヒロが他の奴と話しているとムカムカして…
ずっとこっちを向いてて欲しくて、
あの柔らかそうな唇にキ……
…
…だっかぁら、ちげぇっ!!
俺の初恋はカナちゃんだぁーっ!!!
はぁ、はぁ…
よ、よし、落ち着くんだオレ…
すぅー、はぁー…
…
おっ、あんな所にヒロがいる
…
心拍数が上がった気がするのは気のせいだ!(←自分に言い聞かせてる)
…
ってか何であいつ不良っぽい奴に絡まれてるんだよっ?!
何だよこのギャグ小説みたいな展開っ!!
「おい、止めろよ!」
「別に良いだろ? 俺、高津の事好きなんだよねぇ」
「はぁ?! いやいや何言っちゃってんの?マジで?」
これはあくまでも友達として助けるんだ! やましい気持ちなど断じて無いっ!!
「おう、マジ×2 高津をオカズにしてヌいてんぜ?」
「いやいや、マジで有り得ないから…」
俺はあんな卑劣な奴とはちげぇ!
だ、だってヒロを、お、オカズとか…
…
ち、ちげぇよっ! あれは不可抗力だったんだ!!
「なぁ、一発ヤらせてくんない?」
「マジで無理です。ごめんなさい。」
ただ助けるだけだぞ、向こうに行って、ただ止めろって言うだけ…。
『友達』を助けるだけ…
「まぁ、どうせムリヤリしちゃうんだけどな」
「おぃ、マジ本気で止めろ!シャレになんねぇ!
て、てかどこ触、ってんだ! ぁ…」
友達を助けるぞ! 友達、友達だ!
友達、と、もだち…
「ぉ、おぃ、ヤメロよ…」
「かわいいなぁ〜」
「ち、くしょう、ユ、ウト…」
ブチッ
「てめぇっ!! 俺のヒロに触んじゃねぇ!!」
不良っぽい奴を思いっきりぶん殴る
ズドンと鈍い音がして不良はヒロと離れて転がった、
そして頬を抑えながら起き上がる
「イテテ…、やっぱりお前らデキてたのかよ!」
「うるせぇ!!俺の純粋な片思いだ!!!」
その後もなんやかんや言い合って、不良はどっかへ行ってしまった…
気まずい沈黙が流れる…
そしてヒロが口を開いた
「ユウ…
「いやぁーマジでゴメン! さっきの忘れて、つい感情的になっちゃってさぁー」
が、拒否の言葉を聞きたくなくて言葉を遮った
「あ、でも、男に好きとか言われて気持ち悪いよな、俺だって言われたら気持ち悪いし…」
「ユウト」
「っていうか俺ら付き合ってるとか噂されてたのかなぁ? そんなに一緒にいるつもり無かったのになぁ」
「ユウト!」
「でも、安心しろよ? もう近づかねぇし、俺も避けるようにするから心配すん…
「ユウトッ!!!」
ヒロの大声で俺の言葉がかき消された
一瞬の静寂が流れた…
「お前はそれでいいの?」
そんなの、はっきり言って良いわけ無い、でも、俺のせいでヒロの人生までメチャクチャにしてしまう訳にはいかない…。
「っていうか男好きになったとか人生最大の汚点? マジでありえねー」
俺の今の精一杯の笑顔で言ってやる
俺は…やっと気づいた。ヒロがそういう意味で好きなんだと
俺はヒロの幸せ為だったら何だってする。
世界中の人を敵にしたってヒロだけは命をかけて守ると誓える…。
好きだと自覚したら色んな感情が出てきた、こんなに好きだったんだ
こんなに人を好きになるなんて、この感情はヒロが好きすぎて気がつかなかった。
大切で…大切で…、ずっと一緒に居たい…。
でも、ヒロには後ろ指さされるような事は絶対させない!
俺と付き合うなんてもってのほかだ!
あんなに良い奴をほっとく女なんて居ない
俺がいなくてもヒロは幸せになれる、
でもその恋は近くに居たら応援出来ないと思う…
だから離れる…
俺がツラくたってヒロが幸せならそれでいい
俺の幸せはお前だヒロ…
だから…
「俺にもう近づくなよ?」
ヒロは黙っていてその表情からは何も読み取れない
…
長い沈黙が流れた…
「じゃあ、もう俺行くな」
もう二度と会わないんだと、心に決めて、不自然なくらい明るい声で言う。
悲しい顔なんてヒロにも俺にも似合わない、最後くらい笑顔でいたい。
決心して俺が行こうとしたとき、ヒロに服の裾を掴まれた
「…待、てよ」
一応、予想の範疇の反応なので振り向いて応える
「なに、どうしたの? 俺と一緒に居たらさっきの奴みたいに襲っちゃうぞ? みんなの前とかでキスとかしちゃうかもなぁー」
そしてコイツの優しさにつけ込む
「それにさぁ、俺ホントは女の子と恋愛したいんだわ。
なのにヒロなんか好きになって頭冷やしたいなぁと思うし、近くに居たく無いんだよね」
これが最低な行為なんだと分かった上でやっている。
全てヒロの為に…
袖を掴まれた手にギュッと力が入った…。
「俺は一緒に居たい…。」
なな、なんて事を言い出すんだこの子はっ!?
その言い方はちょっと俺、誤解しちゃうぞ?
「ヒロ、お前、俺の事好きだったの?」
「はぁ? んな訳ねぇだろ? まぁ好きっちゃ好きだけど、それは友達としてだ!」
「じゃあ…」
「うるせぇっ! 俺の友達あんまいねぇんだぞ! こんなに良い友達を失いたくない!」
いや、嬉しいけど…
「お前にはたくさん友達が出来るって、彼女だってすぐ出来る。俺が保証する」
「うるせぇ!うるせぇ! なんでお前そんな平気な顔してそんな事言えんだよ!」
心の中ではグチャグチャだけどな
「ゴメン…」
「どうしたら、お前と一緒に居られる…?」
おれはこの時、良いことを思いついた
「俺にキスしてくれたら良いぞ? お前のファーストキス」
「…」
ニコッと笑って言ってやると、ヒロは案の定、口をアホみたいに開いて固まっている
「こんな事考えている奴と一緒に居られないだろ? じゃあな!」
よし、今度こそ終わりだと、ヒロの手を外し誰もいない教室を出る
決心したにもかかわらず、やっぱりヒロは愛しく想う。
家に帰ったら思いっきり泣こうとか考えてたら、後ろからタッタッタ…と足音が聞こえて、
何だろうとか思って振り向いてみると…
顔を両手で挟まれて…
思いっきり下に引かれて…
唇に柔らかい……と、いうか…
歯にガチンっと歯が当たる感触…
い、色気ねぇ〜とか思っていると
顔をすぐに離したヒロが顔を真っ赤にして一言
「い、一緒に居ろよ!!」
俺がポカーンとしてると…
「ハイ!って言えっ!!!!」
「は、ハイ!」
ヒロはその真っ赤な顔のまんま走り去っていった。
俺は今、目の前で起こった事が信じられなくて、その場にへたり込んでしまう
「なんだよ…それ…」
真っ赤になった顔を隠すように両手で覆い、今走り去った可愛い生き物を思い出し。
顔がにやけるのが止められ無かった。
〜end〜