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音の獄 -終楽章ー  作者: 天恢 文緒
5/12

5 クナディン・ミルティン

間奏的なものなので短いです。残酷な表現があります。ご注意ください。

「先生!! 英生は?」


「寝ているよ。麻酔で」


「それで手は?」


「…筋が切られて、指が数本折られているらしい。両手ともだ。手術をして、日常生活はどうにかこなせるようになっても…、もうピアノは弾けない」


「両手? 筋を切られて…? そんな。いったい誰が! だって英生はうらみをかうような人間じゃない!」


「犯人はわからない。警察では下町あたりでけんかに巻き込まれたと思ってる…」


「英生はそんなところに行きませんよ」


「わかっている。でも警察は…。彼は日本人だし…」


「旅行者じゃあるまいし! 英生は何年もここに住んでるんですよ!」


「そういったんだが…」


「先生! 大丈夫ですか! ここに座って…。酷い顔色だ」


「どういったらいい? 英生に…。クナ…どういったらいい?」


「…………」


「英生は…最初に私がどうしてピアニストをめざすのか聞いたとき……。言ったんだ」


「ミルティン先生」


「ピアニストになれば、ずっとピアノを弾いていられるから。ピアノだけを弾いていられれば、それで本当はいいんだって。彼は……」


「先生。休んでください。あなたがまいってしまう」


「クナディン…どういったらいい? 英生に…。どういったら……」

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