イベントクエスト1
技を大量発生させていくよー!
ネーミングセンスは何も言うな。
ま、ゲームしてたらスキルとか
使いまくるからね。それみたいなもんだよ
(小説としてはややこしくなるかもしれないけど)
「きたね。アオイ」
「あぁ、予想通り、敵は弱いな。」
「あぁ、レベルがたったの5だ。きっと経験値も低く、リトンもそんなに貰えないだろうね。」
「そうだな。」
リトンとはこのゲームの通貨で武器やアイテムの購入、武器防具強化に使われるものだ。また、プレイヤーは商店街マップにて他プレイヤーに向けてのアイテムや武器の売り出しが可能で、そのアイテムを購入する際に支払うのもリトンだ。
そしてこの階のモンスターはスライム系がでてくるようだ。
「ま、このクエストじゃあもらえる経験値も同じだし、最初のうちはてきとうに行こうぜ。」
「あぁ、いくとしよう。」
Sinの装備は大剣で、自分の身長を軽々と越える赤い刀身に炎を宿した竜の素材からできた武器だ。
「なぁ、その武器何て名前だっけ?」
「業火・トプカレスムだよ。トプカレスムドラゴンの素材から作れるやつさ。このギルド制服の赤い玉は奴の確定ドロップの業竜の宝玉だよ。」
「おいおい、トプカレスムドラゴンとかがっつり現在最上位のモンスターじゃねぇか。単独?」
「もちろん、それとそろそろ君の愛刀を見せてくれてもいいんじゃないかな?」
「いいや、今回はここでしか手に入らないイベントレアドロップ品を狙うから幸運スキルがつくメタルスライムソードGでいく。」
「そんな激レア武器を...」
メタルスライムは某RPGにでてくるメタルスライム並みに出現、倒しにくく、データテストプレイヤーのなかでも2人しかその素材で作れる武具を所持していない。
武器にはそれぞれなんかしらのスキルが存在する。低級の武器だと自分の元の最大体力の1%最大体力が増加するとかだが、レアな武器になってくるとたとえば業火・トプカレスムの場合、【武器に常に炎属性564】、【竜に対して攻撃力増加20%】、【契約中のファントムが火属性の場合炎属性に昇格、後更にクリティカル率増加30%】となっている。ちなみに今回葵が使うメタルスライムソードは、【武器破壊無効】、【メタル にたいするダメージが防御力貫通】、【幸運】だ。幸運はクエストクリア時のアイテム取得率が大幅アップされる。
「ま、そのあたりはいいとして、行くか。」
「あぁ!」
二人して同時に大量のスライムのなかに飛びかかる。量が多いがためにいちいち剣で相手するのは面倒だ。そのため、戦闘系のスキルを使う。
「スキル ファースト・マグネットウェポン」
スキルの取得は各スキルの入手方法にのっとる。このファースト・マグネットウェポンは一度に50体以上のモンスターを殺し、かつ爆薬を使って大規模爆弾を作れば解放される。効果は一体の敵に向けて放ち、そのあとは周りにいるモンスターに衝撃が拡散していくというスキルだ。攻撃力は装備中の武器に由来する。もちろん拡散に限界はある。ここからは近くにいるスライムを縦やら横やらに切っていけばいい。
Sinも面倒と感じたのか、大剣の中級スキル、ヘビィスラッシュを繰り出しまくっている。戦闘系のスキルはいくらでも使えるがクルータイムがある。それは装備のスキルで時間を少しでも短縮できるが、Sinの場合スキルがクルータイム削りに特化しているのか、ヘビィスラッシュのクルータイムがなくなっている。みかけによらずかなり豪快な戦い方だ。
二階も三階もはっきりいうと雑魚モンスターばかりでやることが同じなのでここは省略するとしよう。次は十階ごとに配置されているボスモンスターとの戦いだ。目標はキングゴブリンとキングスライム。雑魚の王様×2だ。
「う~ん、これはSinのヘビィスラッシュで楽々クリアなんじゃないか?」
「あぁ、俺も一発でいけるとおもうよ。」
「んじゃ、頼むよ。」
「キングスライムは頼んだよ。俺は分裂して面倒だから君のマグネットウェポンだと分散後も勝手に追いかけて一発だろう?」
「おう、そういうわけで。
ファースト・マグネットウェポン」
「ヘビィスラッシュ!」
倒されたボスモンスターが光の粒子となって消えていく。
「これはまぁ、かんっぜんに初級者向けだわな。」
「次に進もう。」
十一階からも省略する。だが、十八階でちょっとした事件が起きた。
「アオイ、あれってプレイヤーじゃないか?」
「やられてるじゃねぇか。いくぞ!」
共闘ダンジョンはパーティー登録でもしていない限りプレイヤー同士のいざこざも可能で、いまここでマグネットウェポンを使ってしまえばそこにいるプレイヤーたちにも被害が及ぶ。流石にそれをすることはできない。ヘビィスラッシュも一応範囲攻撃なので同じだ。それも二人は現状ゲーム内での強さはトップとトップ2。攻撃を与えれば即死だろう。そのため通常攻撃でプレイヤーを囲うトレント...樹人を倒さなければならない。
二人がこうも必死になって助けようとする理由は善心や目の前でプレイヤーが倒れるのが見たくないなどではなく、実に物欲的なものだった。ようは救助ボーナスだ。
「Sin!トレントの攻撃方法は地面から根っこが映えてくるんだったよな!?」
「そうだ!アオイ、俺の位置からじゃいまいちトレントを狙いにくい。俺のトプカレスムを使えばいい!重量は511。使えるよな!」
「メタルスライムソードは633だ!十分使える!手渡しの時間も惜しい!投げてくれ!」
「わかった、アオイの目の前のトレントに投げる。あたったタイミングで....掴んでくれぇぇぇ!!!!」
大剣が風を切り葵を通りすぎていく。そこから葵もスピードをあげて大剣の斜め後ろに来る。
「EFS 、
ポジションチェンジ・武!」
〔承認・拒否〕
「承認!」
Sinがスキルを詠唱する。エクストラフレンドスキルは、フレンドとしての友好度を最大まで上げた時、双方に二人ペアの場合のみ発生するスキル。今回のスキルはペアの武器と自分の位置を移動させる脱出用スキル。本来はだが。二人は位置変更と武器の速度を利用した作戦に出た。葵は再び横を通りすぎる武器を掴む。それは、トレントにトプカレスムがあたる直前のことだった。葵の力と合わせて武器が最大の威力とスピードを出し始める。
「燃えろおぉぉぉ!!!!」
一体のトレントが消える。葵は大剣の重さを軽く凌駕する力で振り回す。葵に寄ってくるトレントを片っ端から叩き潰し、しゃがむプレイヤーに寄るトレントも切り伏せる。
「アオイ、戦いながら聞いてくれ!周囲にいるトレントの数を検索した。総数約320体だ。大量発生の原因は西の台にあるスポナー。この階の名目は、トレントハウス。つまりこういう部屋だ!」
「そりゃ、どうりで!ここまで...多いって訳だ!Sinも戦闘参加できるか!?」
「縮地でここまでこれるだろう?そこのプレイヤーを抱えてくれ。一緒に縮地できたはずだ。そしたら武器を返してくれたらいい。」
「了解、それとこのプレイヤーが無気力な理由、わかったぞ!」
縮地でSinのもとへ葵とプレイヤーが現れる。葵に抱えられたプレイヤーは現実世界で何かあったのかアバターを置き去りにしてログアウトしている。このゲームのことをオートセーブとでも間違えたのだろうか、アバターを置き去りにしてログアウトした場合、ダンジョン内ならモンスターに攻撃され放題だ。一応これでも救助ボーナスはもらえるので二人は救助を続行する。
「ほれ、武器はしっかり返したぞ。避難させたし、ぶっとばしていいか?俺が一掃するからその間にスポナーを破壊してくれ。」
「あれだね。頼むよ」
葵はSinに頷くとそれぞれ行動をとり始める。
「ファントムスキル展開、契約中のファントムを選択」
〔輝帝ファンフリードを選択しますか?
はい・いいえ〕
「はい」
「スターダストレイン」
ダンジョンの天井から幾つもの星屑が降り注ぐ。その星屑たちはトレントの体を貫き、地へと落ちる。大量のトレントはたった一度のファントムスキルによりすべて消滅した。
「脆弱だな。ま、200以上レベル差があるやつのスキル食らえばこんなもんか。」
つまらなさげにため息をつく。ランクアップクエストは希望しない限り他プレイヤーにプレイ内容を見られることはないのでデータテストプレイヤーとばれることはない。
「アオイ、こっちも終わったよ。いつみても綺麗なわりにほんとに強いよね。装備のバッドスキル発動してる?」
「してないよ。消してる」
「えぇ!?そんな高度な技術ができるのか!?」
「あぁ、まぁ、それよりこいつどうする。」
葵は地面に倒れているプレイヤーに目をやる。ログアウトしているのでプレイの様子を見られることはないが、このまま放置しておけばいずれトレントたちは復活して先程と二の舞だ。と、その時丁度
「あ、ログインした」