第06話 幼馴染み来ます。
中山霞、コイツとは家が隣ということで小さい頃から一緒に遊んでいた。
当然小・中学校も同じだったのだけど、高校からはアイツは上ノ島高校に行きそれ以降は朝学校に行く時や家に帰ってきた時に顔を合わせは軽く喋るくらいだった。けれど俺が事故って以降お見舞いに来ては差し入れを持ってきたり漫画を貸してくれたりと昔のような付き合いに戻った。因みにコイツの容姿は肩にまで延びている暗めな茶髪に童顔で身長は百五十有るか無いかといういわば幼女体型なのである。尚本人に童顔・幼女体型と言うと殴られる恐れがあるので注意が必要である。
等とどうでも良い説明をしている内に自分の部屋に着いた俺は荷物を部屋の端に置き借りた漫画を紙袋に放り込み霞ん家に向かおうとしたーーー
ぐぅ~
「・・・・・飯食べてからで良いか。」
ーーーーー
ーーー
ーー
「で、ご飯食べてお風呂入って今から寝ようとしていたっということだね。」
「へい、すっかり忘れていました。」
「なめてんのか?」
女の子が品のない言葉使うなよ。
布団に潜った時窓を叩かれ開けると鬼の形相をした霞が居た。今は部屋に上げ霞は仁王立ちでそして俺は正座をした状態だ。
「いや、言い訳をさせてくれ。」
「許可しよう。」
「今日な久々の学校だったんだよ。」
「だね。」
「色々あったんだよ。」
「それで?」
「今日の事を思い返してたら腹すいちゃって飯食ってからで良いかなて思ったら漫画の事忘れちゃった、てへ!」
言い訳を言い終えると霞は携帯を操作し始めた。霞さん説教中に携帯弄るなんて感心しないよ。
「もっとマシな理由だったらよかったのにね・・・・・残念だよ。」
霞が誰かに電話をかけ始めた。
「ねぇ隆晴、アンタ自分が中学時代何て言われてたか覚えてる?」
「なんだよいきなり、えっと・・・・・」
確か・・・・・
「『奈中の蒼き猛獣』っだったな!」
「それはアンタが勝手に言ってたことでしょうが。てか自分で言って恥ずかしくなかったの?」
「中学時代の俺なら恥ずかしくなかったな。」
当時は人気少年漫画の熱血なキャラクターに憧れ、そのキャラが自称していた台詞をパクって俺も『奈中の蒼き猛獣』と自称していた。因みに『奈中の蒼き猛獣』は今でも自称しており最近では『中高の蒼き珍獣』に進化した。
「まぁ、覚えてないなら良いや。」
いや、覚えてるよ。ハッキリと覚えてますよ。中学時代俺は『奈中の歩くトラブルマシーン』と言われていた。
何故「トラブルマシーン」なのか、俺は昔から厄介事を起こしやすく更に巻き込まれやすい体質でそのせいでこの不名誉な称号を与えられたのだ。
「んで、何でそんな事聞くんだよ。」
「あ、もしもし?悪いねこんな夜遅くに電話して。」
て、人の話聞けよ。
俺が霞を睨み付けていると霞はニヤリと鬼も引く様な不気味な笑みを見せ携帯をテーブルに置いた。俺はケータイの画面を見ると電話の相手は健郎だった。
何か嫌な予感がしてきた。
「ねぇ健郎、今日学校で隆晴に何かあった?」
霞のその言葉で俺の嫌な予感は確信に変わった。
この女、今日俺に起こった事をダシに嫌がらせをするつもりだ。中学時代『歩くトラブルマシーン』という称号を持っている俺だ、久々の登校ってだけで俺にする嫌がらせのネタに出来ないものはない。
しかも今日起こった事は嫌がらせにするには持ってこいのネタだ。霞に知られたらおしまいだ。
(頼む健郎、霞には言わないでくれ。もし言わなかったら俺一生お前の親友になるかーーー)
『あぁ、それがさ隆晴の奴今日一年生で一番可愛い娘に告られたんだぜ。』
「お前とは絶交だぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
人との関係ってこんなに簡単に壊れるものだと俺は改めて知った。
以前書いていた第06話なのですが自分では前の話に納得出来ず今回のような話に変更しました。身勝手に変えてしまい申し訳ございません。