第02話 告られました。
「私を先輩の嫁にして下さい!」
ホームルーム間近、先生がもうすぐ来そうなタイミングに俺は教室で告白された。いや、これは告白を通り越してプロポーズだ。
何故俺がプロポーズされているのか、それは少し時間を遡る。
今朝、俺は母ちゃんに車で学校まで送ってもらった。
「それじゃ母ちゃん行ってきます。」
「無理ばせん様にね。」
「うーす。」
軽く返事をし学校に向かう。一月振りの登校、そしてまだ見たとこのない一年生と会えるとあって俺は緊張している。今年の一年生女子は中々レベルが高いとお見舞いに来た友達皆が言うくらいだ。期待せざるを得ないのだ。
学校に着き、教室に向かう。その時に周りから変に思われない様に目で周囲を見渡す・・・・・うむ、確かに今年の一年は豊作だ。素晴らしい!!正直言ってウチの学校の女子のレベルは高くなかった、普通以下だった。理由は二つある。
一つは、この島には高校が二校ある。一つは俺の通う中ノ島高校、もう一つはここよりもう少し先にある上ノ島高校だ。そしてこの島に住む中学生は大半上ノ島高校に行きたがるのだ。理由はウチの中ノ島高校の周りには店がなく見渡す限り山と海しかない。それに対し上ノ島高校は町に建てられているだけあって学校の周りにはこの島に二件しかないコンビニや本屋等があり不自由がないのだ。若者は町に憧れ上ノ島高校に入ろうとするのだ。
そして、もう一つは勉強スポーツにおいて上ノ島は優秀な成績を納めており対する我が中ノ島は陸上部の個人成績で賞は貰うものの全体的に特に優秀な所がなく寧ろ『馬鹿でも入れる高校』として島で名が通る位残念な高校なのだ。
以上が我が中ノ島高校のレベルが低い理由だ・・・・・自分で説明していて虚しくなってくる。
しかし、今年の女子は何故かレベルが高い。これは非常に嬉しく喜ばしいことだ。彼女いない歴=年齢と同じの俺にもチャンスがっと思ったのだが・・・・・何か・・・・・
「気付いたか。」
「うわぁぁっ!!!」
「うおぉっ!!」
背後からの声に思わず大声を出してしまった。
「大声出すなよ、逆にこっちが驚いたわ。」
「俺の方が驚いたわ、背後から声かけんなよ健郎」
「すまんすまん、それより退院おめっとさん。」
コイツは幼馴染みの本町健郎。幼稚園の時に出会って小中高と一緒にいる腐れ縁ってやつだ。高身長で顔も整っており陸上部の長距離エース、生徒会にも所属している完全無敵のパーフェクト野郎である。
「あんがとさん、それより・・・・・」
「あぁ、お前が思った通り既に大半の一年生女子は・・・・・」
「「彼氏が出来ている!!!!」」
そう、見渡す限り大半の一年生女子の隣には男とセットで居るのだ。
「見舞いに来た奴等からは色々聞いていたがウチの学校の男子手出すの早くねぇか!?」
「入学式の次の日からは凄かったぜ、男子は休み時間ずっと一年の教室に入り浸ってたからな。」
どんだけ溜まってんだよ。流石の俺でも呆れてしまう。
「ある奴は部活紹介の時にアピールしようとバク転しようと頭床にぶつける奴はいるし。」
我が校の部活にはバク転をするような部活はないのでは?
「ある男子テニス部は自分のプレイスタイルをアピールしようとムーンサルトをして頭芝にぶつける奴はいるし。」
どこの王子様だよ、そもそもテニスでする要素ないだろ。
「そして、ある奴は自分の強さを見せつけようとサマーソルトキックをしようと頭コンクリートにぶつける奴はいるしと大変だったんだぞ。」
「おい、さっきから全部回転技ばっかりじゃないか!!しかも、全部失敗してるし!!!それにお前が述べている奴絶対同一人物だろ!!!!」
逆に呆れるを通り越して尊敬しそうになる。でも流石に回転技はせずとも多分俺も骨折さえなければ同じことをしていただろう。
「とにかく大変だったんだぞ。」
「まぁ、その・・・・・ご愁傷さん。」
健郎と一緒に教室に入り自分の席に座った。俺は目が悪く席替えをする際に先生に窓際の前の席を頼んでいたのだ。日差しが当たる窓際は夏は地獄だが五月のこの時期は暑くもなく寒くもない気候と日差しが気持ちよく、数時間前に寝たにも関わらず再び眠気が俺を襲った。
少し寝よう、机にうつ伏せになり俺は目を閉じた。
数分は過ぎただろう。教室に人が集まりだし賑わいだした。
「・か・・せ・・い。」
誰かが誰かを呼んでいる。
「た・か・・ん・・い。たか・るせんぱい。」
あれ?まさか呼んでる相手ってーーー
「隆晴先輩!」
「あ、ふぁい!!!」
突然の呼び掛けに変な返事をしてしまった。顔を上げるとそこには女の子がいた。黒髪のショートボブに某アイドルグループにいても違和感のない整った顔立ちに俺は一瞬見惚れてしまった。
「確認ですが、貴方が岩瀬隆晴先輩ですね?」
「あ、はい。俺が岩瀬隆晴だけど・・・・・」
我に返りまたしても変な返事をしてしまった。
俺の名前を確認した後、女の子は一回、二回とゆっくり深呼吸をする。そしてーーー
「私を先輩の嫁にして下さい!」
ホームルーム間近、先生がもうすぐ来そうなタイミングに俺は教室で告白された。
やっと告白のところまできました。まだスタートしてもいないのにヤりきった感が半端ないです。
次回、主人公とクラスの男子が・・・