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プロローグ
「俺はもう子供じゃない。」
ちっこい背中で私の前に立った男の子はこう言いました。
「大丈夫ですから、私のことは構わないでください。」
「弱い者を守れない男に、大人を語る資格はねえ!!」
絵に描いたような臭い台詞に私は顔をしかめました。私は、とにかくこの男の中でヒロインになりたくないと思いました。
「おい、何をごちゃごちゃ言ってるんだ。お前みたいなチビになにができる?」
悪人ヅラの男がいいます。この男はこれからきっと私を連れ去り、売り飛ばし、お金をもらって良い女といいことをするつもりだったのでしょう。そう、ごみ拾いとか。
「立派になって国に帰るためにも、ここで逃げるわけにはいかねえ!!」
「国に帰る…?あ、まさか、お前…!!」
「俺は気高き王国民だ!!!」
彼はそういうと、体からまばゆい光を放ちました。目を開けられないくらいの鋭い閃光。
「あんな強い光初めて見ました。そして、その閃光とともに、彼の口から …歯茎から、トラがでてきたのです。」