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ゴーストクラウン  作者: 眞鍋 大輝
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今そこにある…。

説明会でござりマン

サリアさんから詰め寄られる。


「やっぱり、あの時のゴースト撃退は偶然ではなかったのね…!!」


本当にやってしまったなぁ…。


染み付いた戦闘の習慣というのは、そう簡単には消すことが出来なかった。


「クラウンさん…。


私とも手合わせ願えるかしら。」


「…はい?」


それはまずい。非常にまずい。


実力が自分より下の相手に、悟られることなく自然に負けることがどれほど難しいか。


嫌というほどアトは知っている。


「私は、マトワレを使用します。


…貴方も、本気の強さを見せてくれるかしら。」


「ちょ、ちょっと待ってください…!!


たかが授業でそこまでする必要が…」


先生がgoサインを出している。


…本当にどうしたらいいのかわからない。


普通、マトワレが遠距離の形態を取ることなどない。


なぜなら、今までに中距離までしかマトワレの発現が確認されていないからだ。


その中距離でさえ、希少だ。


…僕が知っている限り、ランドレさんしかいないんだよなぁ…中距離。




だが、最近になって世界で初めて遠距離型を使役するマトイが確認された。


そのマトイの名は、『アト・C・レイヴィ・アリス』。


マトワレの名は『ロマ・R・レイヴィ・アリス』。


マトイとしてのレートは、『E』。


原則、レートは一番上からSS、S、A、B、C、Dと存在し、SSとS以外はプラスやマイナスがレートにつく場合もある。


では、Eとはなんなのか。


Error。


実践としてのデータが存在しない上に、実力がS並にある場合なんかには、計測が不可能ということでErrorとして扱われる。


世界に9人いるレートS以上に比べて、こちらは今のところ2人しか存在しない。


Sへ一番近いと言っても過言ではなかった。


ここで、マトイ、マトワレとは何なのかについてお話させてもらうとしよう。


まず、この世には『ノーマル』と『ゴースト』という二種類の人類が存在する。


『ノーマル』はその名の通り普通だが、『ゴースト』は全然違う。


まず第一に、ゴーストは人の血液を摂取しないと衰弱して、最悪死に至る。


そして、皆一様に脅威の再生能力を持っている場合が多い。


この身体構造の違いは研究が進んでも解明されることはなく、これからもわからないとされている。


そして、一番のポイントとなるのは、『ゴーストは血液を飲むことにより命を奪った相手の寿命と心臓を身体に取り込むことが出来る』のである。


過去にも確認されており、そういった『ノーマル』に危害を加えるようなゴーストのことを《クライ》。


逆に、軍事的な面で『ノーマル』に手を貸す『ゴースト』のことを、《カセ》と呼ぶ。


しかし、『ゴースト』にとって『ノーマル』の血液は、毒でもあった。


過剰な摂取は、文字通り『身を滅ぼす』のだ。


だから、今までの歴史の中でそういった『ノーマルを飲み尽くす』ようなゴーストはあまり確認されていないのである。


しかし、過剰に摂取しなければいいだけの話。


実際に『ノーマル』の血液を摂取することで『ゴースト』は格段に力を増す。


『ノーマル』だけの力で、『ゴースト』に勝つことは出来なかった。


しかし、『ノーマル』は、強さを手に入れた。


身近な人や動物を武器化して戦うことの出来る『ノーマル』が現れたのだ。


そう。これを、『マトイ』と呼ぶ。


そして、この『マトイ』に使役される者を、『マトワレ』と呼ぶのである。


『ゴースト』は『マトイ』になることはできない。


これも何故だかは解明していないのだが、『ゴースト』はそれを抜きにしても圧倒的な能力を誇る。


『マトイ』がいて、『カセ』がいてようやく『ノーマル』と『ゴースト』の均衡は保たれるようになってきたのだ。


そして、そんな『マトイ』を束ねる機関が存在する。


《マトイ支部》に、《マトイ本部》。


この二つである。


本部はイタリアに存在し、5カ国にわたって支部が存在する。


日本


ロシア


オーストラリア


エジプト


アメリカ


以上の5カ国である。


基本的に、それぞれの支部にレートS以上のマトイが支部長、副支部長という形で存在している。


が、イタリア本部と、アトやウルマ、ロマの父が収めるロシア支部は、レートSSが支部長をしているため、レートS以上のマトイはいない。


レートの差は、それほどまでに大きいのだ。


このレートというのは、『ゴーストに対しての有効的度合い』によって決定する。


イタリア本部を任されている20歳の女性支部長。

レートSSのライラ・クロノスは、戦闘能力的には他のレートSとなんら遜色ない。


多少特殊なマトワレではあるが。


ならなぜレートSSなのか。


彼女は、『ゴースト』と『ノーマル』を唯一肉眼で見分けることの出来る世界に1人しか存在しないとても有効的な能力を持っているからである。



大まかな説明はこんなところである。



このように、レートという形ではっきりと『強さ』が存在する以上、やはりアトは自分のレートだけはバレるわけには行かないのだ。





レートEなんて、前代未聞ですからね…。


何がなんでもバレるわけには行きませんが…


しかし、これ以上ごまかすことも出来ない…気がする。


(ウルマ姉さんには後で謝るしか無いのかな…?)


少し気が重くなってしまったが、もう諦めて戦闘の準備に入ることにする。


こちらのマトワレは向こうにお披露目してしまっているが、向こうは知らない。


…どうやら、向こうはあのずっと後ろで控えていた仲の良さそうなメイドさんがマトワレの様だ。


「…ロード。


何度もごめんね?行ける?」


「…うん。全然平気。」


ロマが頷く。


『それでは、サリア・オーレタムさんと、クラウン・アリス両者の模擬戦闘を行います。


両者、マトワレを顕現しなさい。』


サリアさんが先に顕現する。


それは、とても切れ味の良さそうなロングソード。


剣術の心得もあるのだろう。とても構えが様になっており、まあレートB以上でも全然納得のプレッシャーも放っている。


少し遅れて、やや乗り気なくアトが顕現する。




…マトワレを粒子化して再形成するための光が切れた時、そこには右手に1丁の拳銃を構えたアトが立っていた。



「あまりまじまじとお見せするのも嫌なので、すぐに終わらせちゃいましょう。


…いきます。」


そう言うと、アトは一歩を踏み出した。


戦いは、一瞬のうちに決着がついてしまう。


すごいスピードで肉薄してきたユリアの剣筋を、完全に捉える。


最低限の動きで交わし、通り過ぎたユリアを、後ろも見ずに一発の弾丸を放つ。


直後、音も立てず崩れ落ちたユリアを合図に皆が事の重大さに気づき、その日の授業が全て潰れてしまったのであった。



そして、薫先生に連れられ、アトはウルマの元へと帰ってきたのだった。

次回から本格的にキャラクターを動かしていきます

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