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ゴーストクラウン  作者: 眞鍋 大輝
3/5

愚者の失敗

お久しぶりです…


投稿ペース…



姉さんの部屋から出たら、そこに人がいた。


身長は僕より少し高いなぁ…ってくらい。


「貴女がクラウンさんね?


はじめまして。私がこれから貴女の所属することになるクラスの担任、双葉薫(ふたばかおる)よ。


よろしくね。」


「御丁寧にありがとうございます。


こっちは妹のロードです。」


ボクがそう言うとロマがぺこりとお辞儀をする。


「…可愛らしい妹さんね。


その子が貴女の…?」


おそらくマトワレかどうかを聞いているのだろう。


「はい。ボクのマトワレです。」


聞かれたら困る質問がもうすぐ来てしまうかも。


「…学園長からは何も聞いてないんだけど、貴女レートはいくつなのかしら?」


ほら来た。


馬鹿正直に答えるわけにも行かない。


話をそらす…いや、基準を考えよう。


さっき助けたサリアさんは、首席と言っていた。


首席ということは、おそらくB+程度かな…


なら…


「Bです。」


このあたりが無難かな。


「あら。出来るのね。C+くらいかと思ってたけど…


それなら問題ないわね。私のクラス、B以上は貴女含めて4人しかいないの。」


「……。」


声をあげない努力が必要になるとは…


ボクは実際Bじゃないし…


3人しかいないのか?


おかしいなぁ…父様からは「日本はレートの高いゴーストばかりだ。それに応じてマトイのレベルも上がってきているからな!」なんて言ってたけど…


まあ、もしかしたら日本支部がやたらとレート管理に厳しいだけかもしれないし、そこは後々分かるだろう。


「さて。

時間も押してるから早く行きましょうか。」


「あの…制服って無いんですか?」


ボクは完全に普段着だ。


サリアさんは制服だった。


制服の着用が義務付けられているとしたら、ボクはどこかで着替えることになるのかな?


「心配いらないわ。


うちは、基本服装は自由よ。


近年マトイを狙う悪質なゴーストが増えたわ。制服を着用してたらそれこそ『私はマトイです』って言ってるようなものだもの。」


「なるほど。サリアさんは、実力があるから制服を…」


そゆこと。と薫先生が笑う。


「立ち話もなんだし、クラスに向かいながら細かい説明をするわね。」



どうやら今日は実技テストがあるらしい。


マトワレを使用しない、自分の得意な武器を使用しての模擬戦闘。


それが今日の実技の内容のようだ。


「…もしかしなくても、それボクも参加ですか…?」


「あら。

そうね。本来なら参加だけど…」


そこで少し言葉を濁す。


「…まぁいいわ。私は貴女の何も知らないもの。


少し見せてもらうくらいいいわよね?」


「は、はぁ…。」


…なんのことがよくわからないが、参加することに変わりはない。みたい。


「さて。それじゃクラスにも着きましたし、入りましょっか。」


そう言って薫先生がドアを開ける。


そのドアの先には、見渡す限り女子、女子、女子…


(…あれ?もしかして……)


一抹の不安がよぎる。


そんな筈はないと頭から振り払おうとするが、実際これは…


「こっちに来なさい。クラウンさん。


自己紹介してもらうわ。」


「あ、はい。」


戸惑っていても仕方ない。


「…ボクは、クラウン・アリスと言います。


ロシアから事情があってこの日本校に留学することになりました。


突然ですが、これから同じクラスの仲間としてよろしくお願い致します…。」


言い終えた時、まばらではあるが拍手してくれる生徒がいた。


…一番後ろからひときわ大きな拍手が聞こえてきて、そっちを向くと、そこにはサリアさんがいた。


ぺこりとお辞儀をしておく。


ニッコリと手を振り返してくれた。


「納得いかないです!!!」


……ボクが向いた反対方向…

前の方から声が上がる。


「いきなり来たそんな子がこの由緒正しき『A組』に入るなんておかしくないですか!」


私たちが頑張った一年はなんだったんですか!と、声が上がってくる。


「そ、そんな子って…」


僕のつぶやきはすぐにかき消されてしまう。


「だったら、このあとの実技テストで試してみたらどうかしら?」


サリアさんが言い放つ。


「オ、オーレタムさんは不満はないんですか?!」


「あら。私は別に不満なんてないわよ?


…興味はあるけど、ね。」


ここまでボク置いてけぼりだなぁ…最後サリアさんがなんて言ったのか聞き取れなかったし…


「あ、あの〜ボクは…」


「静かに〜。他の生徒の模範になるべきお前達が『授業中に』騒いでどうする。


お前達が騒いだところで決定に変わりは無いんだからそろそろ黙れよ?」


…薫先生がこめかみに青筋を浮かべてらっしゃる……


「そんなにやりたいなら自分で試したらいい。


…今から実技の会場に移動する!他のクラスの邪魔にならないように黙って歩きなさい!」


「…。」





…結局ボクは置いてけぼりのまま、実技の時間になってしまった。









「それでは只今より、模擬戦闘を行う!!


両者前へ!」


「…はぁ…。」


とりあえず好きな武器を使っていいとのことだったので、適当に剣を二本借りてきた。


まあ、折れることは無いと思うし…一本でよかったかも。



(…向こうはランスか…)


盾がある相手からしたら割と相性は良いだろうけど…


(まぁ、決着がつかない程度にいなしておこう。)


「はじめ!!!」


ハァァァァァッッ!!!と、向こうの子が飛び込んでくる。


「おぉ…速い速い。」


スピードはなかなかだなぁ。


…灰さん程じゃないけど。


向こうの刺突を、丁寧に刃が欠けないようにいなしておく。


「………ふぅ。」


…めんどくさくなってきた…


けどここで変にちゃんとしたら最悪疑われちゃうしなぁ…


…ちょっと攻めるくらいなら、うん。


今までの防御一辺倒なスタイルから一変して、今度は少し前に出てみる。


いなした後に一撃。二撃。


少しずつ相手の子の盾に剣をぶつけていく。


決して斬ろうとはしない。


この盾脆そうだし。


「…ッッ!」


相手の子の顔に明らかな焦りが浮かんでいる。


…ように見えるなぁ。でもなんだろう。なんか、う〜ん…。


一歩前に出て、少し強打を撃ち込もうとする。


その時


「かかりましたわ!!!


喰らいなさい!!」


相手の子の盾がこれでもかというほど良いタイミングでこっちに吹っ飛んできた。


「…ッ。シールドバッシュ…!」


頭で考えるより先に、身体が動いてしまう。


身を引いても無駄だ。


今更盾を止められそうにもない。


思考より先に、脚が盾を蹴り上げていた。


「………え?」


その流れのままガラ空きになった相手の子の胴に、抜き放った二本目の剣も合わせて突きつける。


まるでハサミのようにして、相手の子を捉えてしまう。



…蹴り上げた盾が、放物線を描き、大きな音を立てて背後で落下した。


「……やってしまった…」


ボクは、衆人監視の中、セーブしていたのに最後の最後でやらかし。


これからどう取り繕おうかと、顔に引きつった笑顔を貼り付けていた…。

次回は説明回となる予定です\(´・∀・`)/んバッ

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