家族愛
そろそろ2人の正体が明らかに…?
サリアさんにマトイ育成日本校の中を案内してもらう。
「そういえば貴女は、どこの生まれなの?
すごい綺麗な銀髪だから気になっちゃって…。」
確かにボクと妹の髪の色はとても特徴的だ。
この国、日本にいたらまずお目にかかることはないだろうといった色をしているからなぁ…。
しかし、馬鹿正直にはいロシアです。と、答えていいものだろうか…?
まあ、為せば成る。
「ボク達の生まれは、多分サリアさんと一緒だですよ。
オーレタム家の名前はロシアでは有名ですからね。」
当たり障りのない返事になるように務める。
現段階では、これがベスト。
「…驚いたわ。
同じ国の生まれだったのね…。」
本当に驚いたようにしている。
まあ、日本でロシアのマトイが見られることはそう無いだろうし。
無理もないか。
「ここ。実は学園長もロシアの生まれなのよ?知ってた?」
もちろん知っている。
だって、ここの学園長。ウルマ姉さんはボクの実姉だから。
だがそれが知られてしまうと僕の正体が間違いなくバレる。
それは好ましくない。
とりあえずここも当たり障りの無い回答を…
「はい。知ってますよ!
昔からご縁があるみたいです。今回この日本校に編入させていただいたのも、ウルマさんのおかげですから。」
それにしても女の子ばっかりだなぁ…。
ボクの妹はとても大人しい。
本当に家族にしか口を聞かないんじゃないか、ってレベル。
特にボクには何故かすごい甘えてくれる。
今回ボクが日本校に来ることになった時も、ボクと一緒に行くと言って聞かなかった。
お父様はとても寂しそうにしてたけど。
まあ会えなくなるわけじゃないし問題ないよね。
「貴女ホントに不思議な子ね。
学園長と面識があるなんて…
知ってるかどうかわからないけど、学園長はこの世界に9人しかいないレートS以上のマトイの1人。
ロシア支部長であり皇帝の娘さんなのよ。」
知ってるに決まってる。
これでわかったと思うけど、ボクもその子供にあたる。もちろん妹も。
「はい。存じてますよ。」
とりあえずここまで案内してくれたことに感謝しよう。
あとは学園長室だけ聞いて、二人で行こう。
知られると厄介すぎる。
「サリアさん。
本当にここまで案内してくれてありがとうございます。
任務報告とかしなきゃいけないこともあると思うので、後は2人で学園長室に行こうと思います。」
「…そうね。
こちらこそ2度も助けてくれてありがとう。
編入って事は、私は一番上のクラスだから一緒にはなれないと思うけど。
また喋りましょう。」
…あれ?ちょっと残念そうな表情をしたように見える。
それに、ボクもおそらくそこのクラスに入れられるんじゃないかなぁ…
姉さんのことだし。
「学園長室は、1階の入ってすぐ左の通路の奥にあるわ。
それじゃ。またね。」
ここでサヨナラじゃなくてまたねと言ってくれたということは、本当にまた会った時に良くしてくれるということだろう。
いい人で良かったなぁ。うん。
そうゆうわけで、妹と2人で学園長室に向かうことにする。
…もう何年も姉さんとは会ってない。
姉さんもなんだかんだレートAを超える実力者だ。
日本支部の幹部でもある。
国に戻ってこれないのも当たり前で、今回ボクはそんな姉さんの様子を見に来たっていうのもある。
まあ多分一番の目的は、別のところにあるんだろうけど。
「…入ろう。」
コンコンコン、と3回ノックをして返事を待つ。
『はぁい。どなたぁ?』
…全く。相変わらずだなぁ姉さんは
おっとりしてるというか、のほほんとしてるなぁ。
「失礼します。」
「え?その声…」
入って即座にドアを閉める。
多分、姉さんは驚くだろうから。そこに騒ぎが聞こえちゃまずいし。
「え?え、え、え。
アトーーーっ!!!!」
いつものおっとりした動作とは裏腹に机を飛び越えて抱きついてくる。
そう。抱きついてくる。
姉さんは自分のスタイルがものすごくいいことを自覚してほしいなぁ。
身長は小さいけど。
「姉さん…
元気そうで何よりです。」
「アトも!元気!良かったぁ〜!!
ロマも元気そうで何よりだよ〜!!」
そう言いながらも抱きつくのをやめない。
すると、口をばってんにしながら妹が…ロマがボクの服の裾をグイグイ引っ張ってくる。
「姉さん。
ロマが離れろって。」
「そんなっ?!」
負けじとロマがボクに引っ付いてくるけど、幾分ちっちゃいからなぁ。
うん。かわいい。ベリーキュートだ。
「そんなぁ…ロマぁ…お姉ちゃんにもちょっとくらいアト分けてよぉ…(シクシク)」
「ちょ、姉さんいい歳して泣かないでよ…」
「アトと3つしか変わらないよ!そんなオバサンみたいに言うな!」
切り替えが早いなぁ。もうプンプン怒ってるし。
「そんなこと言ってないよ。
第一、姉さんはめちゃくちゃ可愛いんだから。
泣くより笑ってた方が可愛いよ?」
姉さんは昔から褒め言葉に弱い。
それも何故かボクだけ。
そればっかりはどうしてかわからないけど、なんだかんだ可愛い姉さんだ。
「…。
アトちゃん。ズルイね。」
顔を真っ赤にした姉に怒られてしまった。
とりあえず本題に入る。
「これからどうしたらいいかな?」
姉さんもようやく普通の状態に戻ってくれた。
「とりあえずうちの学校の一番上のクラスに編入。って形になるけど、それでも大丈夫よね?」
その場合一つ気になることがある。
「ロマも一緒にいれる?」
これが一番重要。
まあ、聞くまでもなくいれるだろう。
だってボクとロマはマトイとマトワレ。
一緒に行動することが当たり前なのだから。
「うん!そこは大丈夫よ!
ほかのみんなにもちゃんと説明してあるもの!」
安堵する。
「ならそれでボクも大丈夫…
ロマもそれでいい?」
「…うん。にいさまといっしょ。」
了承も得た。
「突然のことでごめんね、姉さん。
…その、ありがとう。」
ボクがそう言うと、姉さんは
花が咲いたような明るい笑顔で
「うん!」
と、言ってくれた。
さて。どうしよう。
ウルマは考えていた。
アトをうちに編入させるのは簡単だった。
特に何を言われるまでもなく、父さんの力で行けちゃったから。
でも問題がある。
…まあ何とかなるかな!
ウルマは考えることを放棄した。
「…さぁて。アトちゃんとロマちゃんのためにも、早くお仕事整理して二人の部屋作らなきゃ♪」
可愛い自分の妹達のことに、張り切るのだった。
この2人…!!
はい。実はそうですそうなんです。
まぁ、今後の展開にも大きく関わってきますからね。はァい!