表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

女の対決

作者: ゆめうさ
掲載日:2016/08/19

 お菓子を口にしながら妙子は相手を見た。

どうやら本気らしい。

 ロシアンルーレットをやる準備をしている。

外れたら、お菓子が食べれるので、妙子はそこまで気にしていない。


 高校の校舎の窓から差し込む夕日。

理香子はどうやって持ってきたのか、模造拳銃に玉を込める。

勿論実弾ではない。


 これは単なる遊びなのだ。

どちらかが彼の恋人になるかの。


 妙子は面倒臭げに理香子を見る。

準備は整った。


「まず。私から」

 理香子が頭部に拳銃を当てる。

リボルバーを回して、安全装置を外す。

「行くわよ」

そう言って彼女が引き金を引く。


 パシッ。と音がして、模造玉がHITした。


「ちょ、なんなのこれ!」

 理香子は腑に落ちないように、リボルバーを開いてみた。

だが、他の充填部分は空だった。

「何よ、ゲームにもなんなんじゃない!」


 妙子は「好きにすれば?」と言ったのだが、言い出した理香子が納得しなかった。

「仕方ないわ。善行くんは貴女にあげる」

「あ、そう」


 興味もなさ気に妙子は口にしたチュッパチャプスを、ガリガリと噛んだ。

所詮女子同士の、恋愛の奪い合いなんてこなんものである。

一瞬で決まってしまうのだ。


「善行くんを不幸にしたら、許さないんだから!」

 それだけ言い捨てると、理香子は教室から駆けて行った。

もしかしたら、泣いていたのかもしれない。


 善行と妙子は幼馴染で、恋愛感情もない関係なのだが、周囲には付き合っているように見えるらしい。

 ロシアンルーレット用のお菓子を紙袋に入れて、鞄に放り込んで、妙子は教室を出る。


 帰り際善行に会った。彼は生徒会の書記をやっている。

「お腹すいてない?お菓子ならあるけど」

のんびり言う妙子に善行は、何で貰ったか分からぬお菓子を口にして、帰路へと着く。


「できればもっと腹もちのいいお菓子がいいなぁ」

「贅沢言わないの!」

 妙子は善行の頭をポカリと殴って、黙らせる。

 

 結局ロシアンルーレットをしなくても、妙子と善行は変わらない。

何時もの通りだ。


「今度の差し入れ、クッキーが良いな」

「馬鹿、贅沢言ってんじゃないわよ!」

そんな会話が続いているのは、理香子のおかげなのか?


「なあ、妙子。そろそろさ」

「何?」

「真剣に付き合わねぇ?」

「何いってんの、バーカ!」

「そうだよなぁ、今更だよな」

「ま、良いんじゃない、このままで」


 妙子は善行の言葉を流して理香子の事を考えた。

可哀想に。見込みのない恋をするなんて。

しかし、それを止めることは誰にも出来ない。


 善行が次のお菓子を強請ったので、飴を取り出すと、妙子も早速口にする。


「なぁ、この飴、交換してみない?」

 唐突に言われて、きょとんとした妙子に善行の顔が近づいてくる。

彼は口移しで妙子と自分の飴を取り替えた。

「ん、こっちも結構美味いな」

 固まる妙子を残して、先に進む善行。

 妙子は5秒ほどして彼を追いかけて、思い切り後頭部をぐーで殴った。

「このくらいで、許すと思うなよ……」

「ってぇ、はいはい」


 ゆらりと善行の後を歩く妙子は、どう仕返しするか考える。

幼馴染なんて、女同士が対決してもあまり意味は無いのだ。

理香子にそれを分からせるには困難だろうが……。


 まぁ、今が今ならそれでいいと妙子は思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ