第六桜 すべてがすべて、偽物
そろそろ卒業式シーズンですねー。
そこに霊夢がお茶を淹れてきた。「はい」と架依に緑茶を渡す。その緑茶は飲む気になれない。
数秒して魔理沙が来た。架依は魔理沙を警戒する。
「珍しいじゃないか」
魔理沙は縁側に座る。魔理沙が座ったと同時に霊夢は中に入っていった。
また数秒して霊夢が出てくる。
「あ、ここにあったのね、湯のみ」
霊夢は水が入った湯のみを持ち中に入る。
ここでまた違和感を感じたが言う気になれなかった。
「霊夢、お茶早く淹れてきてくれ!」
何かを急ぐかの様に魔理沙は霊夢に声をかけた。「はいは〜い」と中から声がして、霊夢は中からお茶を持ってきた。
「やっぱり霊夢が最高だな!」
架依は二人を注意しながらも桜がないかを見る。もちろんない。
襖が開き霊夢が出てくる。
「さっき人里に行った時茶葉買うのわすれてた…」
「霊夢出かけるのか?」
「ええ、茶葉を買いに行かないといけないから」
「ついていくぜ!」
と言って二人で人里に行ってしまった。架依一人になった、あまり問題はないが。
何かの気配。とっさに架依は構える。
…ただの蛇だ。いやただのじゃない!いや毒蛇だ!
「え、えぇ。わ、私記憶無いと武器作れないのにぃ!」
もう毒蛇は架依の目の前。幽霊になろうとしても時間が間に合わない。駄目元で目を閉じながら幽霊になろうとする。
ダン
ものすごい音がした。
「お姉ちゃん」
目を開くと、恋音が大鉈を持っている。その横にあったのは、真っ二つに折れている刃が付いた蛇のおもちゃだった。
次に恋音は博麗神社の裏に行った。「助けてー!」や「逃げるよ!」などという声が聞こえる。
「お姉ちゃんこいつらだよ」
「ち、違います。今からいたずらしようとしてただけです」
記憶を見てみる。_本当だ。
「恋音は三妖精連れて牢屋の中に入れておいて」
「もう、あの桜に行くから、帰って」という意味。架依は到底そんな風には言えない。
恋音は言われた通りに家に帰った。
気づけばもう夕暮れ時。
桜があった場所に向かい、一度瞬きをすると、桜と女の子が立っていた。近くなったところで架依は止まる。
「お姉さん、よくわかりましたね」
「ええ。だってここ、そもそも」
________博麗神社じゃない、偽博麗神社に来てから見たものすべてが偽物。
女の子は不気味に笑う。
「では、約束通り記憶は返してあげますよ。またこのような頭脳勝負ができることを楽しみにしています。またいつか」
その言葉は、本物にしたくない。この記憶は自然たちのだった。
偽博麗神社は元の平野に戻り、桜だった木一本だけが残った。