第五桜 嘘つきの桜
そんなことも知らず、架依はばたりとベットに倒れる。現代に居た時、高校の修学旅行の記念写真を手に取る。センターに架依、右に舞歌、左に蜩。こんな日々が戻ればいいのに。だがここは幻想郷。
小学校の時は六年の時に七不思議に会って振り回された。
(まだ二時だしどこに行こうかな…)
立ち上がると架依は家を出て行く。
博麗神社に向かっていた。桜はなく、平凡な道。
架依は階段を上がれば博麗神社、というところで霊夢が下りてくるのに気がついた。
「あら、架依。どうした?」
「いや…ちょっと疲れたから…」
目をそらして神社の方を見る。
桜は咲いていないのでまだいいが…。
「神社には誰もいないわよ」
と言って人里の方に行ってしまった。
それでも架依は階段を上がり、本当に桜が咲いていないかを確認する。
桜はなかった…が、桜の花びらが一枚、あった。
「あら、架依じゃない」
と言って出てきたのは___________霊夢。
「さっき人里に行ってなかった?」
「人里?賽銭がないからそんなところ行かないわよ」
霊夢は中に入ってしまう。茶菓子でも取ってくるのだろうか。そこに来たのは魔理沙。魔理沙は放置されていたお茶を勝ってに飲んでしまう。さらに一杯お茶を淹れ、飲みきると架依に「よぉ」と言い飛んで行ってしまった。
数分後。霊夢が階段から上がって来た。
完全に架依は頭の中がごちゃごちゃになって来た。なぜ霊夢は人里に行ったのに神社に居たのだろうか。なぜ魔理沙は霊夢に会わなかったのか。なぜ桜の木がないのに花びらだけがあったのだろうか。
そんな時に来たのは小鈴だった。
「霊夢さん、荷物忘れてましたよ」
小鈴は霊夢にカバンを渡した。鈴奈庵にでも行ったのだろうか。小鈴はせっせと戻って行った。
霊夢は縁側に置いてあった木の葉をはらう。中に入ってお茶と茶菓子を持ってきた。
さすがに立ってると足が痛くなってきたので、お茶をもらうことにした。
縁側に座ると、桜が見えた。その桜の近くに_______霊夢が見えた。
その霊夢はだんだんと形を変え、浴衣を着ているショートカットの女の子になった。
その女の子は架依を向くと架依を睨む。架依はその桜の方向に走っていった。
瞬きをした瞬間、その桜は普通の木に戻り女の子も消えていた。また瞬きをしても何もない。
しぶしぶ架依は縁側に座る。また女の子と桜が見えた。
そして、女の子は架依に言った。
「お姉さん、さくを見破れますか?」
さく…桜…自分のこと?
瞬きをせずともまた桜まもとの木に戻り、女の子も消えていた。