第三桜 正しき者の桜
架依は自分の部屋に入るとベットに大の字になって倒れる。困った顔でため息を吐くと毛布を被って寝ようとして目を瞑る。
舞歌は次の桜の場所を探していた。なかなか見つからず苦戦していたところに真楽からの報告。
「マスター。小那姫ちゃんが妖精メイドの記憶を奪う桜を見つけました」
「その小那姫は?」
その言葉は強調している。真楽は数秒目をそらし恐る恐る言った。
「不幸を集めに…」
舞歌はバールのようなものをある空間に投げた。真楽は「ひっ!」とビビる。
十秒ほどすると肩の傷口を抑えながら小那姫が来た。
「サボってるんじゃないわよ」
小那姫は苦笑いをした。
「次はなんだ」
小那姫は呆れた目で舞歌を見つめる。真楽は小那姫に「失礼でしょ!」と小声で言うが舞歌はため息をついた。
「小那姫はこういう子なのよ。気にしないでいいわよ真楽」
「はい」
舞歌は二人に振り返ると次の命令を出した。
「あの子が目を覚ますまでまだ時間があるわ。他の桜を探しなさい」
そして舞歌は自分でも桜を探し始め、小那姫と真楽も桜を探し出した。
博麗神社。今神社にいるのは博麗霊夢とアリス・マーガトロイドと霧雨魔理沙。
「最近記憶がなくなったって騒ぎがあるけど私はそれなんかよりもあの邪神が気になる」
アリスが突然言った。空を見上げていた霊夢は真剣な顔になる。
「あの邪神は私も気になっていたけど…かすかに違う存在を感じるわね。まるで同じ存在が二つのような感じ。二重人格というわけでもない。なんて言えばいいのかしらね。夢符『二重結界』」
突然結界を貼る。しかもスペルカード。三人入る範囲で貼った直後触手が結界にぶつかった。
「危なっかしいわね…」
霊夢は触手がぶつかった方向を見る。結界は壊れかけ寸前で霊夢は結界を閉じた。
「この話はやめよ」
霊夢はお茶を淹れると縁側で飲み始める。
次の日。架依は一人抜けた朝食を食べるとすぐに出かけた。
「桜、桜。線を探せばいいんだよね」
架依は思い出しながら雲の下で線を探していた。
「架依さーん!」
妖夢が架依を呼ぶ。驚いた架依は冥界の入り口の近くに行くと妖夢が焦った表情で架依の手を引っ張ると冥界の中に行く。
「どうしたの⁉︎」
「とにかく来てください!」
妖夢が止まった場所は桜の木がズラリと並ぶ場所の中。その一本が咲いていた。
「だめです…この桜達は綺麗でいるべきなんです…!」
あの時の女の子と同じような女の子。浴衣の色が違い、髪はそのまま伸ばしているだけの女の子。
「突然咲いたと思い駆けつけたら記憶の水が足りないとか言って、返してと言ったらこの有り様で…」
架依は一本踏み出すと女の子に言った。
「スペルカードルールをしよう。あなたが負けたら返して。私が負けたら諦めるから」
女の子はうんと頷く。目的は桜の木を折る。それか勝つということ。