出逢い
「うぉら!!」
「ぐほっ」
「かはっ!」
・・・・・・すごい・・・。4対1なのに最後に立ってたのは、1人の少年だけだった。だが、途中で4人のうちの1人が使った石で頭からは血が流れてた。
「こらっ!!またおまえか!前原!!」
1人の先生がすごい形相で走ってきた。だが、その少年はその先生を一瞥もせず、スタスタとどこかへ行ってしまった。
「ちょっ、お前血が出てるじゃないか!」
先生がそれに気づいたときは既に少年はいなくなっていた。
・・・・・・バイオレンスだ
私の頭のなかにはそれしかなかった。
「さて、今から朝礼を始めます。でも、その前に転校生を紹介します。ほら、入ってきなさい。」
教室が盛り上がっているなか私は緊張ぎみに自己紹介をした。
「えっと、海野赤羅です。よっ、よろしくお願いします。」
・・・・・・つっかえた・・・。でも、みんな優しそう。よかったぁ~。
「ねえねえ、赤羅ちゃんってどこから来たの?」
「赤羅ちゃんってさぁ・・・・・・」
とまぁこんな風にクラスメートからの質問づめに合った私はすっかりとくたびれてしまった。放課後にはクラスメートのお誘いを丁重にお断りして一人ゆっくりと校舎を見学した。
「へ~、結構広いんだね・・・・・・」
学校は・・・・その・・・・なんというか・・・・・・物凄く広かった。だから・・・・その・・・・・・
「迷ってないよ!!うん!!ただ、・・・ね。」
・・・・・・泣きそう・・・・・・、クラスメートの人たちの話ではなんかこの学校・・・・・・でるみたいだし・・・
「うっ!!」
「ひやっ!!」
・・・変な声出ちゃった。おそるおそるうめき声があった場所を見てみると、草むらの中で先程の少年が倒れていた。
・・・・・・えっ?
物凄く辛そうだ。
「あの・・・大丈夫ですか?」
声をかけてみた。すると、意識はあるようでなにか呟いた。しかし、あまりにも小さい声だったので聞き取りずらかった。口元に耳を近づけると
「・・・・・・ほっ・・・とけ・・・」
とかろうじて言っているようだ。
・・・・・・ほっとけと言われてもな。明らかに大丈夫そうじゃないしな・・・
「・・・・・・やめろ・・・・よけいな・・・・ことするな」
近くにあった水道場でハンカチを濡らし、それで血を拭いた。
「・・・・・・おまえ・・・・俺が怖くないのか?」
ぼそっと少年が言った。
「私は今日初めてあなたに会ったので、あなたが怖いかどうかなんてわかりませんよ?」
・・・・・・ん?なんだろう?なんか・・今頭をよぎった・・・
「うっ!!」
「痛むんですか!!」
・・・傷じたいは大したことないけど、頭を石で殴られてたよね・・・
・・・・・・・・・やっぱり、先生を呼んで救急車呼んだほうがいいよね。
急いで立ち上がって、呼びに行こうとしたが
「・・・待て・・・」
少年に呼び止められた。
「・・・・・・怪我はたいしたことない。だから・・・・もう少しだけそばにいてくれないか?・・・・・」
・・・・・・たいしたことない?大丈夫そうには見えないけど・・・・・・。
私が迷ってると、
「・・・・・・たのむ・・・・」
と少年が言ったので、
「・・・分かりました。」
と私はただそういうしかなかった。