後での後の話
浮気者大勝利の国の大功労者である元勇者は多情な家族諸共、国営の無料娼館に入れられました。
子どもたちも多情な夫婦から生まれた多情で、親子共々、権力を使って合意を取り付けていた件もあり、その多情さを活かしたお仕事です。
同僚には妻を追い出す際にまともな対応(妻を追い出すことがまともとは思えませんが)をしなかった夫で、時を置かずに再婚した浮気男がいて、寂しくはないはずです。浮気相手だった今の妻も一緒に働いています。
そのことに親族の反対はなかったかというと、ありませんでした。
だって、前妻を追い出して1年も経たずに後妻を迎える行為に嫌悪感を抱かないのは、同類の浮気者だけです。たいていは眉を顰めていたそうです。
そして、追い出された前妻の親族は怒り心頭でした。
権力を使って合意を取り付けられた後妻は、勿論、解放されました。大概は再々婚の相手か、それ以降の再婚相手でした。浮気男は一度、手に入れてしまえば、次の獲物に目が行くからです。
国営の無料の娼館は大盛況。規則を破った罪人への懲罰へ、今日もリストに登録した一家が呼ばれ、パートナーや子どもが受けた仕打ちの仕返しに鞭を奮っています。
姉妹や娘が売られたり、殺された家族は何度もリストに登録して、家族の恨みを晴らしています。
パートナーを権力で弄ばれた者も、鞭を奮いに駆け付けていました。
仕事だからと嫌な相手をさせられる苦痛を、自分が受ける番になって、ようやく、気付くわけです。
被害者とその家族、ついでに無料に惹かれてきたお客で国営の無料の娼館は大盛況。
命を奪われた者もいるのだから、仕方がないですね。償える相手はいないのだから。
そして、浮気者でありながら、前妻に出ていくように言っただけの夫や、実家まで馬車で運ばせただけの夫は、再婚相手と何年、経っても、睦まじく暮らしており、社会的信用が多少、落ちただけでした。
新王は浮気者であろうと、政略結婚した妻と気が合わなかった場合も考えて、正妻と10年、経ってから生まれた第二夫人の子どもは嫡子として、家を継げるようにしました。それ以外では、再婚相手の子どもであろうと、遠縁であろうと、養子縁組を許しませんでした。
また、毒や避妊薬を正妻に盛った使用人は家族連座で処刑することも決定しました。
誰だって、お金は欲しくても、自分だけでなく、家族の命も差し出すリスクまでは負いたがりません。
正妻に避妊薬を盛る策略に加担させられそうになった使用人が国に保護を求める、なんて事件もあったそうです。
正式に結婚した第二夫人以降が正妻が10年、産めなかった代わりに産む。
この法律のおかげで、正妻の死亡率が下がり、金目当ての愛人から逃げ出せた男が増えたそうです。
国営の無料の娼館はその後も妻殺しや正妻に避妊薬を盛った男とその浮気相手を収監して、創設理由だった元勇者一家がいなくなっても存続したそうです。
後での話が見たかった?
魔王降臨は見ないほうがいいです。
後での後の話で充分です。




