冒険者編~上~
私が生まれ変わったのは、王女として殺された数日後でした。
物心付いた頃には、国は変わり果ててました。
まず、王太子だった兄弟ではなく、勇者だった夫が国王になっていました。
勇者の留守中に不貞を働いていた王女と護衛騎士に襲われて返り討ちにし、そんな王家を信用できないと貴族たちが騒いで、勇者に王位が譲られたそうです。
その結果、王のように浮気相手に熱を上げ、妻が出戻ることが当たり前になって、現状を王に訴えた者は不敬罪で処刑されました。王の真実の愛を侮辱した、という理由で。
更に妻を殺したり、娼館に売り払う者すら出てきて、政略結婚は意味をなさなくなりました。
その時点でようやく、貴族たちは自らの過ちに気付きましたが、王が勇者という最強の力の持ち主なので、実力行使もできませんでした。
好色な浮気男から自分の姉妹や娘を守る方法は、未婚のまま実家住まいさせることだけになりました。
庶民もまた浮気しなきゃ損とばかりに、浮気が流行りました。貴族よりも悲惨なのは、政略結婚ではなく、恋愛結婚だというのに子連れで家を追い出されることでした。
女性たちの、女性たちによる、女性たちの為の事業が立ち上げられ、シングルマザーでも子育てできる環境ができました。
その上、浮気男たちは浮気に忙しくて仕事を抜け出すようになっていて、真面目に働くのなら、女性でも構わなくなりました。
そういうわけで、女性たちの職場も増えていったのです。
王女に生まれても、浮気されて殺されたので、今回の私はお一人様として生きていくことにしました。
職業は冒険者。
夫はいなくても、勇者のせいでまた死ぬのはゴメンです。
今度は殺されたくない、と自分の力を付ける為でした。
王女の時は護衛騎士がいても、彼まで殺されてしまいました。夫が旅立つ前に離婚していたら、彼も死ぬことはなかったはずです。
だから、自分の身は自分で守れるようにと、冒険者になったのです。
自分でいうのもなんですが、私、強かったです。
村人だった時に冒険者になっていたら、村に来た刺客を返り討ちにできるくらい、強かったです。
貴族の時の刺客も返り討ちにできたかもしれません。
王女の時は護衛騎士と共闘して、足手纏いにはならなかったはずです。
そして、性懲りも無く、魔王が現れ、新たな勇者が選出されました。
ちょっと、待って! 王まだ現役でしょ!
と、思いましたが、何故か、私が選ばれました。
浮気に忙しい王と王妃がまた行けばいいでしょ!!
本当にそう思いました。
浮気から始まった王家は誰もが多情で、真実の愛って、なんだっけ?状態です。
浮気者大勝利の国だけありますね。
浮気者大勝利の国にしたのも、浮気して妻が邪魔になった王でしたね。
なるようになったわけです。
私が魔王討伐するのは、何か違うと思います。
思うのですが、魔王を放置していると、魔物たちが強くなって、民が困ります。村人の時に見たランクCの魔物が、貴族の時にはランクAでしたからね。
だから頑張って、――思ったより簡単に魔王、倒せました。浮気しながら倒せるはずです。




