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異世界<おせっかい>人情ラプソディ~いや、『おせっかいスキル』で無双って何⁉️~  作者: 立沢るうど


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第九十六話……最高の輝く星

「『人間に殺されない』以外の俺達のメリットは? 絶対に殺されないわけではないだろ? 処罰があったとしても。いや、処罰があるんだから。

 つまり、処罰がなかったら、命令に従わない人間が多いということだ。隠れて命令違反を行う場合もあるだろう。そんな人間を信じろと言うのか?」

「素晴らしい質問です。メリットについては、そもそもモンスターがなぜ洞窟の外に向かうのかを考えれば分かると思います。人間のことを知りたいから外に向かうのでしょう? そして、人間に殺される不安とこの魔壁の心地良さを天秤にかけて、ここに戻って来る。そして、また同じことを繰り返す。

 答えは、『外に出ることができる』『人間を知ることができる』。私のように、『人間に変身することができる』も含まれるかもしれません。

 そうすれば、殺される確率もぐっと減ります。まぁ、殺されることはないでしょう。

 なぜなら、冒険者は洞窟に準備万端で入ってきます。ここで戦闘が起きても周囲に被害はありません。

 では、モンスターが外を自由に歩けたとしたらどうか。戦力や攻撃が分散され、かつ周囲にも大きな被害が出るので、モンスターに圧倒的有利です。

 そもそも、この洞窟のモンスターに勝てる冒険者パーティーは多くありません。したがって、戦闘が起きない。

 それともう一つ。人間を全面的に信じろとは言っていません。人間さえも人間を信用しておらず、人間同士で殺し合いもするのですから。もちろん、悪人もいます。

 しかし、助け合えることはあるのです。最初は利害関係でかまいません。そこから信頼関係に発展していくのだと思います。

 先程述べた通り、モンスターの方が圧倒的に有利で強者ですから、最初は人間に恐れられると思います。それは避けられません。

 しかし、それはモンスターが人間を恐れていることと同じ。私はそこが『鍵』だと思っています。『実は、俺もお前達が怖いんだよ』と打ち明ければ、『あ、そうなんだ』と気付いてもらえるはずです。正直な、素直な気持ちを共有することが重要だと思います。

 もちろん、私達も事前にそういう情報を公開しますが、今日はそのための準備の場です。

 私達モンスターには、動物に比べて高い知能があります。怒りを解消する方法も存在し、たすくさんが教えてくれます。犬や猫、馬といった一部の動物でさえ人間と仲良くできるのに、私達ができないわけはないではありませんか!

 これらのことは、『誰かと一緒にいると楽しい』感情に繋がるのですが、今ここでそれを言っても理解できない可能性が高いので、説明は後ほどにします」


 すると、スライム系モンスターが、手を挙げるように頭からビヨーンと一部の体を伸ばした。


「あ、あの……! その人間の『楽しい』って感情だけど、私が洞窟の端に寄ってたら、『姿だけ見るとかわいいんだけどなぁ』『体も適度な硬さだったら、上に乗ってぴょんぴょん跳ねられて楽しそうだけどな』って冒険者が言ってたんだけど、その時はよく分からなくて、そのまま行かせて……。

 思い出して反芻してたんだけど、それって、一人でも楽しいってことだよね? どういうこと?」

「では、良い例が出たので、この際、お話ししましょう。『楽しさ』は、一人でも二人でも、大勢でも感じることができます。それは『安心感』と『意外性』、そして『興味』から来るものだ、と私は思っています。

 どちらかと言うと、安心感が多くを占めていますが、他の二つも決して欠けてはいけません。

 皆さんは今、一定の安心感を得ています。仮に、他の冒険者がここに辿り着いても、たすくさんの力と信念が皆さんの命を守ってくれるからです。実は、もうこの洞窟は立ち入り禁止になっているので、さらに安心です。

 意外性もあるでしょう。『コイツらは何を言っているのか』と。

 しかし、興味がまだ薄い。『人間とモンスターの平和な日常に向けて』がテーマである私の話を信じ切れていないからです。そのテーマに興味を持っているなら、『面白い話だ』『どんな議論になるんだ?』と思えて、それが『楽しさ』になります。

 この三つの要素を先程の例で表すと、冒険者はスライムが何もしてこなければ、安心感を得られ、その場合は、『普通、モンスターは襲ってくるのに』という意外性があり、『だとしたら、スライムで遊べるか? いや、でも……』という興味があるから、『楽しい』かもしれないと思ったのです。

 それは、どんな状況でもできるだけ安心感を得ようとする人間の知恵とも言えます。

 一方、モンスターは人間に興味があり、対峙すれば意外性を覚えつつも、安心感を絶対に覚えないため、楽しさを感じられないのです。戦闘が終わればホッとして安心しますが、他の条件を満たさなくなるのです。

 さらに、モンスター同士はほとんど会話しない。『誰が殺されて復活した』程度です。しかし、もしこんな会話があったらどうでしょう。

 『この前、見た人間がさぁ。私のこと、かわいいって言ったんだよね』。

 『へぇー、俺は気持ち悪いって言われたんだけど』。

 『何がかわいくて、何が気持ち悪いんだろうね』。

 『うーん、分からんなぁ。他のヤツにも聞いてみるか。どんなことを言われたか。そこから何か分かるかもしれない』。

 このような会話が日常的にされていたら、きっと楽しいと感じるのではないでしょうか。これは人間を話の『ネタ』にすることで、人間にさらに興味が湧き、他のモンスターにも興味が湧く例ですが、そのことで『一体感』を得られ、安心感に繋がる例でもあります。会話では意外性もあります。単純に相手が何を話してくるか分からないからです。

 『心地良さ』も安心感に繋がりますが、この広場では他の意外性や興味が薄れてしまって、楽しさは感じません。

 では、なぜこの『楽しさ』を説明したのか。それは、人間に歩み寄り、会話し、一緒に過ごすことで、楽しいと感じ、『この楽しさがずっと続けばいいな』となんとなくでも思い、『じゃあ、どうすればそれを持続できるのか』と必然的に思考する。

 それがまさに、『平和』に繋がるからです」


 そこで、再度トロール系モンスターが挙手した。


「その会話の方法は今後説明されるとして、それから進んで、仮に俺達が人間に変身できて、コミュニケーションできた場合、それはモンスターと人間が仲良くなったと言えるのか? ほとんど人間と人間だろ。

 つまり、お前達がこの国のトップと手を繋いだことも、人間同士だからできたことで、『その道』を安心して進めるという前提が崩れることになる。人間に変身できないモンスターが不幸を見るんじゃないか?」

「本当に素晴らしい質問で、涙が出てくるほどです。私は言えると思います。『お互いに歩み寄る』とは、そういうことだからです。

 モンスターが人間に近い存在となり、人間がモンスターに近い存在となる。姿形を言っているのではありません。精神と思考さえ歩み寄れば、それで目的は達成できるはずです。

 人間との会話はその手段の一つでしかありません。もっと言うなら、会話できるモンスターが、会話が苦手なモンスターを助ければいいだけです。

 そこに何のメリットがあるか。一人よりも二人、二人よりも大勢の方が『楽しい』からです。

 私は先程、動物の話をしました。実は、人間と動物は、この点で一線を画しています。仲良く見えても、人間が動物を使役していたり、愛玩動物としてしか見ていなかったり、逆に餌をくれる存在にしかすぎない場合が多いからです。

 全てのケースとは言いません。そこは、私も確認できておらず、家族同然で暮らしている場合もあるかもしれませんが、一線を画していることは間違いありません。その知能から、歩み寄りは限定的だと容易に想像できますから。

 それともう一つ。人間がモンスターに歩み寄ることもそうですが、モンスターが人間に大きく歩み寄る方が効率的です。人間には、すでに社会があるからです。モンスターには何もない。個体でしかないのです。人間がモンスターに合わせて社会を捨てるなんて馬鹿げています。

 それを理解する必要があります。『まぁ、当然だよね』『仕方がないか』と思うことが肝要です。でも、当然ですよね。私達モンスターには捨てるものなんて何もないのですから。そこに、デメリットは存在しません。あるとすれば、人間に歩み寄る努力をする労力のみですが、それも後に必ずメリットに変えられます。

 私が人間と人間社会のことを勉強しているのも、そのような歩み寄りが必要な点がどれほどあるのかを皆さんに伝えるためです。

 しかしその点は、これから説明する『とある方法』により、その多くを効率的に知ることができます。

 質問の答えになっていましたか?」


「……。ああ……。まずは全てを聞いてみる。ここまで聞いて理解できれば、手段の方が大事だと分かったからな。

 そして……『面白さ』『楽しさ』が、なんとなくだが分かった気もする……。このやり取りだけでなく、感情と論理で話すお前に、俺達を騙す気がないと分かった安心感が大きかったか……」

「ありがとうございます! その通りです! 他にも不明な点があったり、話が早すぎて理解できなかったりした場合は、遠慮なく言ってください! 時間は十分に取りますから!

 私達は本気です! 誰一人、置き去りにしません!」


 それから、もう一度いくつか説明してほしいと他のモンスターから要望があり、プレアはそれに答えていた。


「二つ目のハードルはクリアしたかな」

「まだまだ先はあるぞ。でも、プレアなら、俺達なら絶対に大丈夫だと改めて確信したよ」

「人間とモンスター、一丸となって乗り越えましょう!」


 私達の会話とプレアの回答が噛み合い、この先がより楽しみになってきた。


 プレアの熱意に共感し、この場の全員の心が一つになろうとしているのだ。

 そうでなければ、質問など起こり得ないし、私達もこれほど安心していない。周囲を冷静に見る余裕さえ生まれる。


 しかし、最も目を惹き付けたのは、その白金色の輝きと笑顔、そして頬に光る嬉し涙だった。

 それは、魔壁よりも何よりも誰よりも綺麗に思えて、とても嬉しくも思えた。


 みんな、これが私達おせっかいパーティーの仲間、プレアだよ。


 そして……『最高のプレアデス』だよ。

「面白かった!」「つまらん……」

「続きが気になる!」「次回作に期待!」

「おせっかいすぎ!」「言うほどおせっかいか?」


と思った方は、以下の「☆☆☆☆☆」から、応援をお願いします!


星一つであっても、皆さんの反応が大変励みになります。

星五つであれば、なおのこと!


ブックマークもよろしくお願いします!



最後に、本話をお読みいただき、ありがとうございました!


Xアカウント @tachizawalude

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