第九十五話……最高のステージ!
「集まったな。一番近いヤツが、俺達の力のことを説明してあげてくれ」
ついにモンスターが全員、魔壁前広場に集まった。数は思ったよりも多くなく、三十体にも満たない。ちゃんと数えると……二十六体か。
魔壁を左横に、私達は右横にしながら、整列している。一言で言えば、広場に入って右側を登壇ステージにしているイメージだ。
ステージを正面あるいは反対にしてしまうと、私達かモンスターのいずれかが魔壁の輝きで眩しいから、という単純な理由だ。
実は、ステージは例えなどではなく、モンスターから私達全員が見えるように、空中を浮いているので、全てがステージと言える。
音声は例のごとく、モンスター一体一体に聞こえるようにしている。
「説明が終わったか。それじゃあプレア、頼む。質問はあとで受け付けよう」
たすくの言葉で、プレアは人間の姿に戻り、服を着た。その方が、モンスター全員、人間の言葉が理解でき、セレナにも内容が分かるからだ。
また、人間の姿になったプレアには、すでに尻尾がなくなっていた。人間に対する知識とその精神性と共に、変身レベルが上がっていたのだ。
それから、たすくはプレアが話者だと示すように、彼女を私達よりも少し斜め前に移動させた。
そして、プレアは深呼吸をすると、真剣な面持ちで口を開いた。
「わしは……私の名前は、プレアです。こちらの人間、たすくさんに名付けてもらいました。私は以前から、人間とモンスターが仲良く平和に暮らせる日々を夢見て、皆さんに協力を訴えてきました。
しかし、当の私自身が怖かったのです。ずっと行動に移せず、半ば諦めながら、洞窟での日々を過ごしてきました。
一念発起して洞窟外に出ても、やはり予想通りの人間の反応。そもそも、言葉が通じず、文字も書けず、ドラゴンではジェスチャーもロクにできない中で、具体的にどうするのかも考えていませんでした。今思えば、全てを諦め、命を投げ捨てていたのだと分かります。
しかし、ここにいる人間達と出会った。私の、私達モンスターの希望の光に。
たすくさん達、『おせっかいパーティー』は、私が人間のことを勉強できるように、快く仲間に加えてくれました。まだまだ、勉強不足のこともありますが、それでも分かったことがあります。
人間とモンスターは絶対に仲良く暮らせる! まだ時間はかかるかもしれない。でも、確実にその時はやって来る!
ここにいるおせっかいパーティーだけが良い人間ではありません。他にも良い人間はいます。そして、その人間がこのサウズ国のトップにいる。そのトップが、モンスターと歩み寄りたいと心から言っているのです。
人間は、上下関係がある組織に所属しています。トップが『イエス』と言えば、その下の者達もそれに従います。それは『責任』と呼びます。
私達モンスターは、組織も責任も存在しません。ただ、圧倒的強者に出会った時は、それに近いことを意識できます。この際、イメージしやすいように、たすくさんとこちらのラピスさんとセレナさんに協力してもらいましょう。
たすくさん、私と二人のオーラを解放してくれませんか?」
たすくは、三人のオーラの無効化を解いた。すると、モンスター達が一斉にビクついた。
「ありがとうございます。もう無効化してもらってかまいません。
今のオーラを目の前にした時に、逆らったらどうなるかを想像できたと思います。人間の場合は、部下が上司に逆らったら、上司から処罰されます。と言っても、殺されるわけでも、痛めつけられるわけでもありません。報酬が減らされることがほとんどです。
当然、報酬を減らされたくないので、命令に従います。しかし、嫌々従っているわけでもないのです。
組織の目的や目標を共有し、お互いに納得できれば、部下は上司の期待以上の仕事ができるのです。そして、その目的に共感して、新しい人間も組織に入ってきます。
つまり、トップが丁寧な説明を行い、それ以外の人間がその説明に共感できれば、組織も人間社会も上手く回る。それが効率の良い組織社会です。
もうお分かりだと思います。なぜ私達がここにいるのか。私達が勝手にここに来て、勝手なことを言っているわけではないことが!
もう進んでいるのです! 人間とモンスターが手を繋いで行ける道を! そして、私達はもう繋いでいるのです! その手を!
それなら安心できるでしょう! 殺される心配は不要でしょう!
私達の後ろを、いや、共に手を繋いで歩いて行きませんか!
具体的な方法と過程は、このあとに説明します!
最後に大事なことを一つ。人間はモンスターを好き好んで殺しているわけではありません。この広場の鉱石が目的です。この中には、人間が何もせず通り過ぎて、それを見過ごした経験がある者もいると思います。特に最近。
それは、今言ったトップの人間がトップになる前に、この国の冒険者に徹底させたことです。人間もモンスターも無駄に死にたくないのです。戦いたくないのです。このことからも、平和の片鱗が見えるのではないでしょうか。
以上です! どうか、前向きに考えていただけないでしょうか!
それでは、具体的な方法以外での質問を、挙手または挙尻尾でどうぞ」
たすくとサーズさんの言葉を混ぜながらのプレアの熱の入った真摯な説明が終わり、少しざわざわしていたが、一体のモンスターが手を挙げた。
例のトロール系モンスターだ。多分、この中でも知能が高い方だろう。
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