第九十三話……モンスターとの共存作戦開始!
洞窟Aに到着し、おせっかいスキルでセレナとラピスとプレアのオーラを無効化すると、私達は全員で宙に浮き、ものすごいスピードで魔壁に向かった。
バッドヴェノムドラゴンを倒した時のセレナのように、何の風圧も慣性も感じない。周囲の景色が、ただ後ろに過ぎ去って行くだけという奇妙な感覚に陥った。
そして、魔壁前の広場に着いた。
「いや、早すぎでしょ、着くのが! 三十秒も経ってないよ⁉️ ほとんどワープでしょ!」
「初めてだから抑えたけど、次はもっと早くできるぞ。もちろん、絶対に安全なようにしてる」
「もう何も驚きませんよ」
「えーと、誰もいないみたいだね」
「驚いて逃げちゃったかな?」
「まぁ、すぐに来るさ。それじゃあリズ、魔壁の輝きは思う存分発揮してくれ。コイツはどうなってもいいから」
「…………ん……」
「やっぱり、それ必要なんだ……」
リズの輝きを私達にはそのまま届かないようにして、圧倒的強者達のオーラも無効化すれば、モンスター達は居心地の良さを求めて魔壁に集まってくるだろうという算段だ。
さらにその輝きは、洞窟の入口付近まで届くように、たすくによって増幅されているので、モンスターがどんな所にいても、その光を目にし、もっと強い方向に引き寄せられるようにもしている。
もし、リズがいなければ、力で無理矢理移動させる他なく、モンスターの心象は悪くなっていただろう。
この方法をみんなで思い付いた時は、なんとなく運命を感じた瞬間だった。
それから数分後、ドスンドスンという足音と共に、二体のモンスターが魔壁前の広場に早速姿を現した。
この広場は異常なほど広く、それこそバッドヴェノムドラゴンが自由に動けるぐらいの余裕があり、プレアによると、洞窟Aの全モンスターが集まっても余りあるとのことだった。
プレアが人間からプラチナドラゴンの姿に戻ると、モンスター達は驚いたように体をビクつかせ、臨戦態勢に入った。
そのモンスター二体も、今のプレアと同じぐらいの大きさで、片方は熊系モンスター、もう片方はトロール系モンスターだった。
そこで、やっと分かったことがある。本質スキルでも、モンスターはモンスターに見えるということだ。それは、ラピスとプレアが例外であることを意味していた。
「おい、どうなってやがる! お前、人間に変身できたのか! しかも、そこのガキもモンスターじゃねぇか!」
「なぜ人間といるんだ! 俺達を殺しに来たのか! この場所も汚しやがって!」
人間の姿に見えなくても、私にはモンスターの言葉が分かるようだ。もちろん、たすくも分かっていることだろう。
この際、セレナへの通訳は我慢してもらうことにした。最初の内は、やり取りが激しくなる見込みだったからだ。
「前に言ったじゃろう。人間との共存を望む心が、この状況を作り出したのじゃ! 皆が集まってから、全て説明したい! もう少し待ってくれるか?」
「俺からも頼む! 俺は、たすく。こっちは、みかとセレナ。俺達は人間代表で来たんだ!」
「……。おい……」
「……。ああ……待ってやるか……」
「お、おお……! 分かってくれるか!」
「いや、違う……。お前達、ここにどれだけモンスターが集まってきても、俺には勝てないぞ」
「っ……! くくく、何を言ってるんだか……。そんなチンケなオーラで。念には念を、だよ」
「……。いや、それより……なんで俺達と普通に会話できてるんだよ。今までそんな人間いなかったぞ?」
「たすくの言う通りじゃ! たすくとみかは、お主達の言葉が分かる! そして、たすくは世界最強の人間じゃ! オーラも関係なく、この洞窟のモンスター全員を一瞬で殺せることができるほどのスキルを持っておる!
だが、殺さない! 心優しい人間であり、平和を求めておるからじゃ!
頼む! そのまま待っておってくれ! ちゃんと説明するから!」
「もちろん、騙すわけでもない、利用するわけでもない。普通のモンスターに楽しいという感情があるかどうかは分からないが、まずは話し合いたいんだ!
いつ人間に殺されるか分からない不安に怯える毎日は終わりにしよう! お前達は慎重なはずだ! だったら、襲いかかるより先に、俺の力を確認した方が良いんじゃないか?」
「……。じゃあ、見せてみろよ」
「どうやって見せるつもりだ? お前から提案してみろ」
やっぱり、モンスターは慎重なんだ。力を確認するだけでなく、たすくから提案させることで、その知恵も確認するつもりなのだろう。
この間にも、次々にモンスターが集まってきており、最初のモンスター達が交互に、そのモンスター達に状況を説明していた。
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