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異世界<おせっかい>人情ラプソディ~いや、『おせっかいスキル』で無双って何⁉️~  作者: 立沢るうど


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第九十二話……みんな大好きパーティー!

 次の日、朝食を食べ終わり、『国王妃魔壁前出産計画における医療体制および医療設備詳細書』の複製をコーディーさんから受け取った私達は、洞窟Aに向かった。

 コーディーさんには交換で、残りの資格試験問題と参考資料をビルさんに渡してもらうように頼んである。


「この詳細書、ここまで詳細に書く必要あったかなぁ。紙一枚で良かったと思うんだけど」

「官僚らしいんじゃないか? あとで『必要なものがないじゃないか!』って怒られるより、『無駄なものがあるだろ!』って言われた方が、責任が軽いんだよ。文章も内容も」

「でも、その文章も内容も分かりづらいんですよね。これを見て、『じゃあ、説明してください』と言われても、普通の国民にはできませんよ」

「しかし、防衛省側が作成したと思われる箇所はシンプルで分かりやすいんじゃろ? トップの差かのぅ」


 私達は洞窟門を抜けて辺りを見回し、誰もいないことを確認した。


「いや、今回は厚生大臣も優秀な人、公開処刑での回復役の魔導兵士の人だな、その人が抜擢されたが、内部がそこまで変わっていないから起きたことだろうな。

 防衛省は、ビルが次官の時に、すでに改革済みだった。ビルの左遷後に、その一部は再腐敗したが、今回はそこには頼んでいない。

 これはコーディーが心の中で俺にサッと話したことだが、その詳細書の分かりづらさについて俺に謝ってから、コーディーと厚生大臣、そしてビルとの間ですでに話が付いていて、厚生省の早期改革実現のため、無能な部下を洗い出すために、この機会を活かした、と説明してくれた。ビルが左遷された時と同じような作戦だな。

 それをビルの責任でサーズに報告するようだ。国家持続方針を読んだにもかかわらず、その真意を理解できずに、従来の仕事のやり方を変えることができない、新生サウズ国の足を引っ張るマヌケが見つかったってな」

「怖いねぇ。政治の世界は」

「本来は、各々がしっかり仕事をしていれば、そんな政治など必要ないんですけどね。勇者管理組合でもありましたよ。そういう組合内政治みたいなのが。

 ビルさんのような改革のための政治なら良いのですが、そうじゃないですからね。政治のことしか考えられない人には、業務をしてほしいんですけどね。それはそれで足手まといになるんでしょうけど」

「国家の政治だけでなく、部分的な政治も勉強せんといかんのか……。どれだけ必要なんじゃ、人間を知るには……」

「おせっかいパーティーじゃなかったら、知ることはなかったよね。みんないろんな知識や経験があって、すごいなぁって思う。それをちゃんと話してくれるからね」

「…………どうしたの、ラピス?……真面目……」


 確かに、ラピスの表情がいつになく真剣だった。

 私とリズは、そんなラピスの手を握った。


「うん……。プレアお姉ちゃんだけじゃないんだよ、この日を待っていたのは。私も本当に嬉しいからさ。人間とモンスターが歩み寄れる機会が、ついに来たんだって。

 でも、それ以上に不安でもあるんだよね。みかお姉ちゃんが言っていたように、『どちらも』歩み寄らないといけないんだよ。私達は歩み寄る。それは間違いない。

 でも、モンスターはどうかな。さっきの話みたいに、簡単には変わらないんだよ、きっと。やっぱりダメでしたってなった時に、その道は二度と歩めなくなる。人間が。

 どうにもならないと分かった時には、一生そのまま。だって、変わらないんだから。モンスターが。

 私はその時、どうするんだろう。怒ってモンスターを殺したって、また沸いて出てくるんだから意味がない。むしろ、記憶がリセットされて、状況は悪くなるだけ。

 もしかしたら、モンスターにがっかりする未来しか見えなくなっちゃったのかも。城ではそんなことなかったのにね……。怖い……のかな……?」

「……。そうだね、ラピスは怖がってる。でも、それは仕方がないことだよ。期待が大きい分だけ、ダメだった時の落差が激しくなるんだから。誰にでもあるんだよ。自分の期待を裏切られる怖さ、そして自分が期待を裏切ってしまう怖さも。

 ラピスはきっと、その怖さのどちらも持っているから、今の状態になっている。ラピスは、人間にとってもモンスターにとっても特別な存在だからね。

 じゃあさ、こう考えるのはどう? ラピスが言った通りにするんだよ。ダメだった時は、モンスター全員殺そうよ」

「みかさん⁉️ ……と、以前の私なら驚いていたでしょうね。それは良いアイデアだと思います」

「ああ、俺もそう思うよ」


「ど、どういうこと⁉️」

「記憶がリセットされるのは、むしろ好都合なんだよ。余計な知識や不安や妄想を抱えていないんだから。どうせ復活するんだから、そんなに悪いことじゃないし。

 ラピスは他者を殺すことが悪いことだと私達と一緒にいて学んでいたから、その選択肢を排除していた。

 もし、記憶のリセットがその個体の死だと言うなら、『じゃあ、死にたくなければ、ちゃんと理解してね。賢ければできるでしょ。ちゃんと丁寧に説明するから』って言うだけ。公開処刑の時と同じだよ。

 でも、それが人間と違う、モンスターの良い所だと思う。

 人間は死んだら終わり。体も朽ち果てる。

 モンスターは死んでも復活する。そして、一から再チャレンジできる。

 一からって言っても実はそうじゃないんじゃないかとも私は思ってるんだよね。きっとベースはあるんだよ。そうじゃないと、洞窟毎に賢さは変わらないはずだから。でも、洞窟Aのモンスターは賢いって言われてる。

 だから、死と言っても本当の死じゃないと思う。まぁ、プレアみたいに洞窟を歩き回って、それこそ冒険者を観察して、いろんな経験をした記憶がリセットされるのは、流石に死に近いと思うけどね。

 でも、他のモンスターはそんなことないんでしょ? プレアは前に、モンスターは浅い歴史だと言った。だったら、思考パターンは基本的に同じだよ。多様な誰かに育てられてるわけでもなく、洞窟をうろついてるだけなんだから。

 個性は多少なくなるかもしれないけど、その違いを出していくのは、これからでも遅くない。切り替えるなら早い方が良い」

「無論、『説得できなかった場合』ですけどね」

「その通り。説得してみせるさ。でも、選択肢があって、予め気持ちの整理ができると、余裕が生まれる。それは、説得する時にも役に立つ。

 無関心スキルの検証の時に俺がやろうとしてたことだ。だから、計画や想定も大事なんだ。ラピスもそれが分かっていたから、色々と考えていた。そうだろ?」

「……ラピス……よしよし……」

「ラピスは人間社会においては、わしの先輩じゃが、かわいいかわいい仲間じゃ。皆、心配しておると同時に、その気持ちを正直に話してくれたことが何より嬉しかった。

 わしの時は頼むぞ。愛すべきラピス先輩よ!」


「うん……。えへへ……えへへへ! みんな大好き! 『みんな大好きパーティー』!」

「『みんなもラピスのことが大好きパーティー』だよ」

「またパーティー名が長くなってしまいますね」

「問題ないさ。それを思い出す度に嬉しくなれるんだから。いや、それが分かってるからラピスはそうしてるんだ。パーティーの思い出がそこに詰まっているから」


 新しいことにチャレンジするのは勇気がいる。

 成功か失敗か、期待に応えられるか裏切ってしまうか。どうなるか分からないから。


 それでも、私達には関係ない。

 どんな時でも、フォローし合える仲間だから。

 それが、私達が考える勇気を備えた者、『勇者』なのだから。


 それが私達、『最高のおせっかいサイコパス甘えん坊泣き虫おせっかいすぎる淫乱変態お笑い芸人面白個性派勢みんな大好きみんなもラピスのことが大好きパーティー』なのだから……。



 やっぱり、どっちも入れちゃったか……。微妙に追加されてるのもあるし……。

 まぁ、いいけどね。その分、笑顔が増えるんだから。

「面白かった!」「つまらん……」

「続きが気になる!」「次回作に期待!」

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最後に、本話をお読みいただき、ありがとうございました!


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