第八十四話……無関心スキル!
「お忙しいところ、失礼いたします。この度、陛下の婚約者となることが決まり、英雄であるおせっかいパーティーの皆様にご挨拶に参った次第でございます」
「……。わざわざどうも。俺がたすく、こっちがみか、セレナ、ラピス、プレア、リズだ。よろしく」
「よろしくお願いいたします。陛下からお話は伺っております。とても素晴らしい方々だと」
「……」
『普通、自己紹介の時は名前を言うよね? この城社会なら当然、一番最初に』と思った私は、彼女の頭上に表示されている『モノ』を見ながら、どういうことなんだろうと改めて疑問に思った。別にそのままでもいいけど……。
たすくは、そんな私を見て察してくれたようだ。
「『ユア』さんか。素晴らしい名前じゃないか。隠す必要なんて全くないよ」
「っ……! へ、陛下のおっしゃっていたことは、こういうことだったのですね……。『彼らなら何も心配することはないよ』と。
ありがとうございます。嬉しいです……。そうおっしゃってくださったのは、他には陛下とビル様だけですから」
「あー、英語圏だと名前でバカにされる感じ? 私達もそういう経験あるからね。名前でバカにすることなんて絶対にないよ。そもそも、日本では普通のかわいい名前だし」
「その通りだ。大体、そういうのは十五歳ぐらいまでだからな。それでも遅いぐらいだ。みかも前に言っていた通り、それは幼稚さから来ているものだ。成長するにしたがって、そういう嫌な経験はなくなっていくんだよ。本来な」
「私は子どもの頃にその経験をしたことがずっと嫌で、それから他人と話すことを避けていました……。だから、友達は一人もいません。ずっと一人だったのです。
なぜ、お父様とお母様は、私にこんな変な名前を付けたのかと、ずっと恨んでいました……。
でも、陛下は……当時のサルディア様は、そんな人達とは違いました。本当に嬉しかったんです。その時は、涙が止まらなかったほどです。
部署が違っても、彼が一つ先輩でも、勇気を出して声をかけて良かったと、心の底から思いました。
その話がビル様にも伝わり、同じく褒めていただいたという経緯です」
「まぁ、ビルさんは結婚してるから別にして、イケメンで仕事もできて、国のために脇目も振らずひたすら真剣な人を見たら、好きになるのも当然だよね。
でも、ユアさんだって、めちゃくちゃ美人で、まさに透明感もあるんだから、男が放っておかないと思うんだけど。それこそ、その名前を褒めて落としてくるよ。
あるいは、ユアさんを利用して、一緒にいることでおこぼれをもらおうとする邪悪な女どもが近づいてきたりさ。私の時みたいに」
「この城内だと不良王族や不良兵士もいるからな。本当に良かったよ。サーズと最初に巡り会えて。その後も何もなくて」
「はい、本当に。ですが、そもそも私は全くモテないので、その心配は全くしていませんでした。性格が暗くて、それが滲み出ていたからだと思います。今もそんなに変わっていないとは思うのですが……。だからこそ、皆様に名前を隠してしまったのです」
「うーん……なるほどね……。そういうことか……。ただ、これは伝えておいた方が良いかな。そうじゃないと、サーズさんもサウズ国も不幸になる」
「……。それじゃあ、みかから頼む」
「え⁉️ ど、どういうことでしょうか⁉️ 陛下も我が国も不幸になるとは……私が原因で、ということですか⁉️」
「そうだよ。性格が暗いとか、男にとってはそんなことどうでもいいんだよ。本当に酷かったら、それから捨てればいいんだから。男女が出会った瞬間、男は女を穴としか見ていない。だから、どう考えても誰も近寄ってこないのはおかしい。
それは、ユアさんのスキル。本質名で言うと『無関心スキル』が原因。おそらく、過去の経験から、誰にも近づいてほしくないという強い思いによって発現した後天的スキルだと思う。他者がユアさんに対して、程度の差こそあれ無関心になり、それ以上、踏み込んでこない能力かな。
ユアさんは無意識にそのスキルを使っていた。だから、友達もできなかったし、男から言い寄られることも、利用されることもなかった。さらに言うと、フォーリエからもね。
私から言うのもなんだけど、それはすごく良いことだったと思う。だからこそ、サーズさんと一緒になれたっていう意味で。
サーズさんには、自分で近づいたから効果を発揮しなかったんだよ。別に、自分を惚れさせる能力じゃなく、スキルを利用してズルして仲良くなったってことでもないから、そこは気にしなくていいよ。妹のフォーリエ以外の女をサーズさんから遠ざけていた可能性はあるけどね。
でも、このまま無意識でスキルを使い続けると、ユアさんはある時、ふとした拍子に、サーズさんから一切興味を示されなくなる。そのことにユアさんは傷付き、その性格から自傷行為に発展する可能性もある。
すると、サーズ王が批判の目に晒され、国家の信頼が地の底に……っていうのは最悪の場合だけど、あり得なくはない。だから、このことを伝えたんだよ。
当然、たすくにはスキルが効かないから、この話ができた。私だって気になってたけど、別にいいかと思い始めてたからね。無関心スキルの特徴を表すように、ユアさんがお化けみたいに透けて見えていたのに……。今は透けてないけどね」
「ユアさん、そのスキルを意識的に扱うことはできるか? もしできないようなら訓練しよう。俺も協力するから」
「私がスキル所持者……? 全く気が付きませんでした……。みか様、誠にありがとうございます。たすく様、お恥ずかしい限りですが、どうかご協力をお願いいたします」
「もちろん、私も。って言うか、私がいないと進まないと思う。
あ、それともう一ついい? ユアさんは双子を妊娠してるから、あんまり無理させないように」
『ええええええええ‼️』
私以外の全員が驚いた。たすくもそこまでは私の考えを読んでいなかったようだ。
「面白かった!」「つまらん……」
「続きが気になる!」「次回作に期待!」
「おせっかいすぎ!」「言うほどおせっかいか?」
と思った方は、以下の「☆☆☆☆☆」から、応援をお願いします!
星一つであっても、皆さんの反応が大変励みになります。
星五つであれば、なおのこと!
ブックマークもよろしくお願いします!
最後に、本話をお読みいただき、ありがとうございました!
Xアカウント @tachizawalude




