第七十九話……説明責任!
「サーズ、ビル。首都民へのリズの説明はどうする?」
「少し時間稼ぎをするか……。『輝く雲は消えたが、その代わり新たに機密事項ができた。それを開示するに当たっては、ある条件を国民側で満たさなければいけない。その条件を満たすための施策を行っていく。その途中で気付いた者がいても、黙っているように。まぁ、とある場面を一目見れば、明らかに分かると思うが……』と言えば、納得してもらえるんじゃないか?」
「恐れながら、面白い説明だと思います。陛下のお人柄、と申しますか、国柄も分かりますね。公開処刑の場で、すでにこの輝きを皆が見ているわけですから、輝きが抑えられているとは言え、リズが歩いている姿を見れば一目瞭然。
ただし、その正体が公になってしまうと、モンスターや洞窟に対して、国民がいらぬ不安を抱いてしまう恐れや、意図的にリズのような存在を生み出そうとする者も現れかねません。
特に後者を徹底防止するために、改めて公開処刑の模倣をしないように、忠告を加えるのもよろしいかと」
「流石だな。俺もそれが良いと思う」
「よし、任せる。悪いが、少し早めに頼む。ただ、ビルは流石に休め。お前が倒れては元も子もない」
「はっ! 寛大なご配慮、誠にありがとうございます! 直ちに、連絡書の作成を部下に指示し、明朝の配布を目途とします!
なお、その部下とはコーディーではありません。コーディーについては、此度の公開処刑を無事に成功させた功績、並びにセントラルとの裏取引ルートの実態調査の実績により、防衛大臣に推薦いたします! 評価シートは、ただ今お持ちいたします!」
「おお、四年目でいきなり防衛大臣かー。普通はあり得ないよな」
「評価シートは明日でいい。私もそう思っていたからな。まずは休め。辞令も明日の午後にする」
「はっ! ありがとうございます! では、失礼いたします!」
ビルさんは、一足早く王室を出て行った。
「コーディーに関しては、王家持続保護法にある『王位継承直後の安定政治義務条項』を利用すれば、問題なく大臣にできる。他の執行人も、これで大臣や政府中枢に任命するつもりだ。
そうじゃないと、普段の役割や仕事を放り出して、それを大幅に越えた者だけが得をしてしまうからな。
だから、任命後に実績を上げられないままだと、早期更迭もあり得るという、それなりに厳しい条項でもある。まぁ、そんなことにはならないさ。俺もビルもフォローするから。それも責任だ」
「任命責任と教育責任を理解している上司がいるのは素晴らしいな。組織のあるべき姿だよ。
先輩が後輩に教えることが最も効率が良いし、面倒だと言ったり、後輩の才能を恐れたりして何も教えなければ、先輩としての価値はない。ただ後輩よりもちょっと仕事ができるだけ。
その後輩のしたことに責任を取ろうともしないだろう。その必然性がないんだから。それなら、外部の人間にモノを頼んだ方が良い」
「『俺が苦労したんだから、お前も苦労しろ。その方が成長できる』みたいなこと言う人もいるけど、自分が教育できないことを棚に上げる非効率なバカだよね。
教えることによっては、苦労して自分で答えを見つけないと、真に理解できないこともあるだろうけど、そんなのほんの一部でしょ」
「二人も分かっていると思うが、そういう話は、やはり職人でありがちだな。あとは、身体能力に関係する分野。それこそ、兵士の剣術や魔法操作なんかが当てはまる。
職人については、キツイ仕事で離職率も比較的高く、技術継承をしたくても、する弟子や従業員がいないということで、年齢が上がると共に廃業する者も少なくない。
兵士については、誰も教えてくれなくても有事にならない限り生活はできると言って、怠ける者が多い。結果だけ見れば、城内従事者も同じだな。
まぁ、そこも法律や評価システム、雇用政策で改善していくさ。
さて、俺達も休もう! 今日は本当に助かった。ありがとう」
「いや、サーズもすごかったよ。もちろん、ビルも。本当に、感動するほど素晴らしかった。
おかげで、思った以上に俺達の、いや、俺達だけじゃなく観覧者全員の精神も安定していたんだと思う。ありがとう。
それじゃあ、おやすみ」
そして、みんなでサーズさんに手を振って、私達は国賓部屋に戻った。
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