第七十八話……本能!
「…………分からない……無意識だから……。でも……今考えてみると、少し違うような気がする……。たすくの中の黒い霧は別物……みたいな……。
もし、私がたすくの中に入っていたら……私は消滅していたかもしれない……。そんな気がする……。それが悪魔だと言うなら、そうなのかもしれない……」
「……。図らずもリズを助けたことになるのか……。他の人間にもリズのような存在が入っているのか?」
「……入っているともいないとも言える……。そのほとんどは黒い霧に満たないから……。たとえ黒い霧になっても、近くに相応の人間がいないと、すぐに消滅してしまう……。私が入っていると、近くの他の黒い霧は消滅してたから……。多分、私が強すぎたんだと思う……。
正確には見えなくなっただけで、本当に消滅しているのかは分からないけど……」
「リズは俺に入れなかったあとに、洞窟Aや泉に向かおうとしてたんだけど、無意識でも何か分かったりするか?」
「……分かる……。私は優れた冒険者の中に入っていたこともあって、彼のパーティーが洞窟Bの魔壁に辿り着いた時に思ったことがある……。いつか私はこの中に入るんだろうなって、本能的に思った……。近くに入る人間がいなければ、そこに向かうのは自然……。
ちなみに、その冒険者はその仲間に殺されて、その仲間は全く別の人間に殺されたから、それ以来、私の外側の人間が魔壁に近寄ることはなかった……」
「……。なるほど……リズの考えを読むと、殺人の連鎖を見ることと同義なのか……。寿命や病気で死んだ人はいないようだし……。その冒険者は悪党を殺したか。
それはともかく……リズのような存在が魔壁やモンスターを構成している可能性が高いってことだな。ありがちと言えば、ありがちか。
人間が存在するからモンスターが存在する、みたいな話。だから、生まれた時点で知能が高くなるのか? まぁ、ニワトリと卵のような話でもあるけど、それも置いておこう。
まだ聞きたいことはある。俺が勝手に名付けた『バッドヴェノムドラゴン』になったのも無意識なんだよな? 本来は、魔壁に入ることで完全な『ヴェノムドラゴン』になって出てくるような気はする。でも、それを倒したら、なぜ今のリズになるのかが分からない」
「…………私も分からない……。けど……私が再び意識を取り戻した時……『あ、この人間達に付いて行こう。この人間達の役に立ちたい』と思ったことは間違いない……。
なんとなくだけど、神様がそう決めたんだと思う……。仮に、完全なドラゴンになって、魔石になってもそうだった気がする……」
「そうなのか……。だとしたら、特別な魔石もあるのかもしれないな……。不完全だったからこそ、今のリズがあるとも言えるか……。
そう言えば、神様の存在を信じてるんだな。今更だけど、ラピスとプレアは俺達に会う前は神様を信じてたのか?」
「…………信じてる……」
「もちろん、信じてたよ。だって、モンスターの習性を考えたら、いないと考える方がおかしいよ」
「ラピスの言う通りじゃ。わし達は、明らかに神様に創られておる。しかし、それでも『わし』が『わし』であることに変わりはない!」
「その通りだ。仮に、俺達全員が神様の作り物だってかまわない。俺達が笑い合えればそれでいいんだ。
あ、そうだ。リズはラピスとプレアがモンスターだって分かるのか?」
「……分かる……」
「まぁ、魔壁とモンスターの関係は、親と子の関係みたいなものだから当然なのかもな。
ということで、あとは……なんでそんなにみかのことが好きなのかってことかな」
「……面白いから……。突然ゲロ吐いたし……」
「いや、あれ結構シリアスな場面だったんだけど!」
「第三者から見れば面白かったのかもな……」
「あと……プレアが窓突き破って水を捨てたところとか……。普段何も考えてない私だけど、流石に笑っちゃった……。そのあと、サーズが修繕のことを考えてたところとか……。思い出す度に笑っちゃう……」
「ほとんど同じ場面だし……」
「その一連の流れでファンになったんだな」
「……ん……。『面白パーティー』だよね……」
「あ……」
ラピスを見ると、ニヤリとしていた。
『面白』は『お笑い芸人』と被るんだよなぁ……。
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