第七十五話……癒やしキャラ加入!
「……。一ついいですか? たすく様は、これまで物理現象、物理学や化学を軸に力の干渉を行ってきましたが、光ではなく、魔壁の『魅力そのもの』に干渉できないですか?
と言うのも、最初にお二人に会った時、『魔力』が一時的に溜められなくなった兵士のことを思い出したんです。魔法が発動する時の力ではなく、発動前の力に最初から干渉できているんです。
『短絡』スキルのように、みかさんによって可視化できなくても、魔力への干渉が可能だったとすると、今回もそれが可能なのではないでしょうか。しかも、今はスキルアップしています。
もちろん、無効化するのではなく、抑える方向で。雲の内と外がどうなっているのかは分かりませんが、外側から抑えるだけでもいいかと」
「おー、流石セレナ。一理あるね」
「よし、やってみるか……。と言っても、具体的にどうすればいいのか……。
あの時、どんな感じだったかな……。『魔法は、やめろ』って言って、『コイツがどうなってもいいのか』って言ったけど……」
今となっては、懐かしく感じる。色々あったからなぁ。まだ一週間も経ってないけど。
「その『コイツ』って私のことね。私を人質にしたんだよ」
「よし、じゃあ……魔壁の輝きは、抑えろ! コイツがどうなってもいいのか⁉️」
「いや、そのまま再現すな!」
「だって、他に思い付かないし……って、本当に抑えてくれたみたいだ……」
『…………面白かった……。不思議……。何も抑えてないのに……』
「じゃあ、苦しくなってもいないってことね。良かった。たすくは、ずっとおせっかいスキルを使ってる必要があるけど」
「元々、使い続けてるからいいよ。それより、君は人間に変身できないのか? 今はみかしか君と話せないからさ」
『……多分できる……。でも、ここだと……』
「全裸状態になっちゃう?」
『……ううん……。目立っちゃう……』
「嬉しいな。そこまで考えてくれるなんて。色々話は聞きたいけど……とりあえず、君に名前がないなら、俺が付けようか?」
「『うん』だって」
「じゃあ……光と輝き、その魅力を活かしたいから、『プリズム』と『カリスマ』の略から取って、『リズ』にしようか。
カリスマの略の方は、性的な魅力のことだから、そんなに良い意味じゃないんだけど、その溢れ出る魅力という名の光をプリズム素子の屈折によって分散させて、濃厚な魅力よりも、ふんわりとみんなを包み込んでほしいという願いを込めて。
ちなみに、人名のエリザベスの略称の一つでもあるから、実はよく使われる名前なんだけどさ。スペルは違うけど」
『……うん……好き……』
「リズって、なんか大人しい感じだよね。ふわふわしてる雲のイメージに合ってる」
「そうだな。かわいいよ、リズ」
『…………嬉しい……』
「……。これだけ言ってもセクハラが止まらないって、やっぱり異常だよね。誰か、何か思い付かないの? スキルの影響以外で。それとも、セクハラに関することだけ認知症なの?」
「みかに気持ち良く怒られるために言ってるのかも」
たすくの冗談はさておき、そこで前国王妃が恐る恐る手を挙げた。
「以前、我が国に殿下が表敬訪問された時、私のことを大変お褒めくださりました。『輝くように美しい』『年齢を聞いて全く信じられないほどの可憐さ』『全世界の王族が見本とするべきお方』など、様々なお言葉をいただきましたが、セクハラに敏感な私でさえ、気分が大変良くなったことが思い出されます。決して嘘はおっしゃらないお方だとも聞いていましたから。
それは殿下の長所だと間違いなく申し上げることができますが、正直に申しますと、少し戸惑ったこともありました。その時、一瞬だけですが。
それは……みかさん、ちょっといいですか? あまり多くの人に聞かれてはいけないことなので……」
「あ、はい……」
「……殿下が『全人類の母のような包容力も兼ね備えておいでなので、童心に帰って是非甘えてみたいものです』とおっしゃったので、私も調子に乗り、『大変光栄に存じます。殿下がお望みであれば、いつでも』と申し上げたところ、『じゃあ……』となり、国賓部屋のベッドの前で殿下が全裸になられて……」
「え⁉️」
「『頭を優しく撫でてくださりますか? お母様』と。そこまでは私も、『ああ、その地位と尊厳から、これまで母親に甘えることが全くできなかったのかな』と思い、快く引き受けたのですが、その後、『おっぱいを吸いたいです。お母様』とおっしゃり……」
「いや、完全に赤ちゃんプレイじゃん!」
「みかさん、声が大きい……! それを断るのもどうかと思ったので、まぁ……その通りにしたのですが、反対側の胸を摘まれて、殿下の舌使いが『ソレ』っぽく……」
「ゴクリ……」
「いや、『ゴクリ』って口に出すか?」
「口に出したら、最後は『ゴクリ』だよね?」
「いや、そうとも限らんぞ。むせ返ってる者もおったからのぉ」
「何の話ですか……」
「私も気持ちが昂ってしまい、『こんなおばさんなのに……。もう殿下になら何をされてもいい……』と思ったところで、殿下が我に返り、『このあとすぐに懇親会がありましたね……。二人で遅れてはいけないので、そろそろ参りましょうか』とおっしゃり、その後は何事もなかったかのように、表敬訪問は終了しました。
『私の昂りはどうしてくれるのですか、殿下!』とがっかりした反面、恐れながら殿下への評価はむしろ著しく上がったという思い出があります。
つまり、何が言いたかったのかと申せば、殿下は最初からそのようなお人柄で、ただし行き過ぎたとしても全く不快にならない、稀有なお方だということです。セクハラ対象から訴えられることはありません。
今思い返せば、フォーリエに対しては、社交辞令はおっしゃるものの、どこか淡白だったような気もします。人を選んでいた印象ですね」
「以前の性格を今も強く引きずってるってことですよね。それは、前にも似たようなことがあったから、あり得なくはないですね。いくら注意しても、根本に声が届かないから、治らないと。
それとは別に、人を見る目も少なからずあるってことか。当時のサルディアさんにも、『羨ましい』って本心で言ってたみたいだから。正体にも気付いていたと。
ちなみに、セクハラ対象から訴えられなくても、セクハラにはなり得るんだよね。極端な例を挙げれば、壁に向かって不快な言葉を投げかけ続けていたら、いいのかってこと。逆にそういう言い訳が通ることになる。『君に向かって話していたんじゃなくて、向こう側の壁に声を当てて、自分がどんな声になるのか聞きたかっただけ』なんて言い訳は、流石におかしいからね。
つまり、セクハラ発言は、その発言が誰かの耳に少しでも入った時点でセクハラになる」
話の後半は、私達の声のトーンは戻し、みんなに聞かせるように普通に話した。
「な、なるほど……。流石、みかさんです。勉強になります」
「いえ、それほどでも……。それにしても、結構ヤってんなぁ、たすく。今夜、甘えてきた時はそれ以上に過激なことしてきそう」
「いや、俺じゃないから! 俺の甘えたい願望は、そういうのじゃないから!」
「でも、たすくお兄ちゃん、ヒソヒソ話をおせっかいスキルで聞いて、下半身ガチガチにしてたよね。ヤりたそうにして。私、全部聞こえてたからヤってあげようか? 身体はムチムチじゃないけど、二人の心はアチアチのエチエチになれるよ!」
「ラピスの発言が、みかの言い回しに近くなってきたぞ。こりゃあ、夜もおちおち眠れんのぉ」
「オチにはなりましたけどね」
『…………面白いね……。私もヤりたい……』
最後のリズの言葉を通訳するか迷ったが、無視したら静かに悲しみそうなので、そのまま通訳した。
おせっかいパーティーに、早くも新たな仲間が加わって、さらにカオスになること間違いなしだが、『絶対強制癒やしキャラ』が増えるのは大きい。ただし、依存症には気を付けよう。
これから一体どんな日々になるのか、期待と一抹の不安を抱えながら、片付けも終わっていない現場の雰囲気をしみじみと感じている私だった。
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