第六十七話……苛酷な公開処刑
フォーリエが気絶してから目覚めるまで、三十分ぐらい経ったのではないかとセレナが言っていたが、予期せぬ妨害者がいたこともあって、それほど長くは感じなかった。
再開に先立ち、喉が枯れないようにと、執行人に水を無理矢理飲まされたフォーリエは、ゲホゲホとむせ返っていた。
「では、三発目!」
「ま、待ち……! さっきも三発目……いぎゃああああぁぁぁぁああああ!」
痛みを十分に感じる前に気絶したら、ノーカンになることをフォーリエは知らないので、その不意の一撃は先の三発よりもずっと痛かったことだろう。
中断の時間で固まり始めていたカサブタごと、さらに肉を鞭で引き裂かれ、血がダラダラと太腿を伝っていた。
「回復班!」
「はっ!」
出血を止めるための回復魔法がフォーリエにかけられたが、これは鞭によって血が飛び散らないようにするためでもあり、コーディーさんが用意された布で出血部を抑えるように拭いていた。
「どうして……どうして、この私が……! こんな目に遭わなければいけないの……!
お前達のようなゴミクズカスの命なんて、どうだっていいのに! お前達こそ受けてみろ! 人間にも満たない奴隷国民が! これがその証拠だろ!」
「回復完了!」
「では、四発目!」
「やめなさ……いいいいぎゃああああああああ!」
フォーリエの言うことなど、全く聞く耳を持たないと言わんばかりに、執行人とビルさんは、無情にも刑を進めて行く。
子ども達は大丈夫だろうかと思って見てみると、身を寄せ合い、振るえながらも目を逸らさず、一生懸命にフォーリエを見ている。
さらに一歳未満の子も、彼女の絶叫を聞いて泣くこともなく、お姉ちゃんの胸にしがみついていた。本当に強い子達だと感心させられる。
一方、私はと言うと、絶叫の度に震えが大きくなりはするものの、精神的には思ったよりも落ち着いている。フォーリエが化物の姿で、刑自体もまだ序の口だからだろう。
四発目が終わって、コーディーさんから次の執行人にバトンタッチし、五発目が打たれたところで、再度フォーリエが気絶した。
百発に達するまでは、相当時間がかかりそうだ。
それから二時間が経過、処刑開始宣言から合計三時間となり、フォーリエが気絶したタイミングで、十五分の休憩に入った。こういう所も地味に効率的だ。
観覧者は、近くの未使用嘔吐箱に順番に座るなどして、脚を休めている。今のところ、誰も吐いてはいないようだ。いきなりグロテスクな場面を見せられたわけではなく、一部始終を見ているからだろうか。
特等席の私達は、近くに立ちっぱなしで辛そうにしている人がいたので、休憩の間だけでも席を貸した。それに倣って、他の特等席の人達も席を貸していた。
本当は、ずっと貸していてもいいのだが、それはそれで公平性に欠けると言われるので、再開時には私達がまた座った。
処刑台前のスペースも利用して、休憩時間中は子ども達のように地面に座ってもいいとビルさんの許可を得たので、順番に観覧者が前に出て、座るなり体操するなりしていた。
ここまでで、鞭打ちの回数は四十七回、半分にも満たない。ただ、短い気絶が相当数あったので、実際には六十回を超えているはずだ。日没までに全て終わらせる予定なので、フォーリエの頬を軽く叩いて、無理矢理目覚めさせるようなこともしている。
結局、観覧者から執行希望者は誰一人現れず、城内執行人だけで鞭打ち刑を行っていた。
実際、精神的疲労から来る発汗は相当なものらしく、宣言通りコーディーさんも両膝をついて、水筒の水を大量に消費し、水魔法で何度もおかわりをもらっているほどだ。
ただ、それに関しては、フォーリエを除く処刑台上の人達全員に言えることだった。至近距離ということもあって、水がなければ血の匂いで吐いてしまうのだろう。
それもそのはず、すでにフォーリエの尻の肉はほとんど抉れ、胸部も骨が見えそうな所まで来ている。肋骨は折れているか、ヒビが入っているかもしれないから、次からは背中に移ると思われる。
真っ赤な布が数枚、処刑台にあることから、回復魔法がなければ、フォーリエはすでに大量出血で死んでいることも明らかだった。
もはや彼女に叫ぶ気力もなく……なってはおらず、鞭を打たれる度に、絶叫を周囲に残している。恨み節も毎度のように聞こえ、どこからその力が沸いてくるのだろうと感心するほどだ。ダブル回復魔法の恐ろしさを誰もが知ったところだろう。
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