第六十三話……公開処刑開始
「先日、王位を継承したサーズ・サウゼリだ。初めに、皆に謝罪したい。
この度は、我が国の大切な民を苦しめ、絶望の淵に追いやり、中には死に至らしめてしまったこと、サウズ地方サウズ国中央政府およびサウズ王家の代表として、深くお詫びする。誠に申し訳なかった。
王は決して謝ってはいけないと言われるが、この際、くだらない威厳や名誉、誇りなど無意味であろう。
皆が先に読んだ国家持続方針と共に、我が国をより良い国家に変革していくことを、ここに誓う。
だが、誓うだけでは意味がない。充実した保障と補償、および賠償に、誠心誠意取り組むことを約束する。
さて、もう少し続けていいだろうか。これは余計な話かもしれないが、是非聴いてほしい。
私は先日、そこのビル・クライツ宰相に、公開処刑開始宣言の台本作成を命じた。正確には、宰相の方から提案してくれて、それを了承した形だ。
そして昨夜遅く。宰相が王室にやって来て、紙一枚を差し出し、『陛下、こちらが台本です。十分な時間があったので、最高の出来映えになりました』と言ったので、それを受け取った。
改めてそれを見ると、一枚の白紙だった。
それと同時に、『最高の臣下に恵まれたな』と改めて思ったのだ。
言うまでもないが、このことは私の責任で私が何を言うか決めろということを意味している。
当たり前だ。このような大事な日の、大事な宣言の中身を臣下に任せるなど、あり得ないのだ。
さらに言えば、国民全員が納得できる宣言にしろという意味でもある。
それも当たり前だ。国民には我が国の未来を共に見てもらい、今日まさにその期待を抱いてもらうのだから……。
それを私から言わずとも示してくれたのが、ビル・クライツ宰相だ。
ちなみに、その紙は開始宣言の台本には使用しなかった。大事な紙なので、私が思い描く国家の理想像を、さらに詳細に記すために使用させてもらった。だから、台本など作っていない。
我が国のターニングポイントが今、この瞬間だ。
私と最高の臣下であるビル・クライツ宰相であれば、最高の国家に導くことができる。マリッサ殿下のありがたきご協力もある。
しかし……国民なくして国家なし!
共に歩もうではないか! 最高の、誰もが安心して、笑顔で暮らせる国家への道のりを!
そして、後世に正確に語り継ぐのだ! 『あの道を歩んでいなければ、今の素晴らしい我が国はなかった』と!
皆と共にあれば、それが可能だ! そんなことは難しいなどと言っていられない! 難しいからこそ、正面から向き合い、我々全員でやるのだ!
私が全ての責任を取る! その責任を果たせなかった場合、私自らこの処刑台に赴こう! この断頭台の刃は皆の力だ! かまわず振るえ!
それが、この公開処刑の真の意味だ! その理解と意志を歓声で示してほしい!
サウズ国王サーズ・サウゼリの名の下に、フォーリエ・サウゼリの公開処刑開始をここに宣言する!」
サーズさんの宣言……いや、演説に大きな歓声と拍手が沸き起こり、周囲は一時、熱気に包まれた。
かと言って、誰からも『早くフォーリエを殺せ!』などの声は上がらず、『熱狂的』にはなってないことが分かる。
みんな理解しているのだ。国家持続方針と、この公開処刑の意味を。
そんな中、ビルさんの説明に次第が移り、今はさらに観覧者の理解が深まっていることだろう。
説明は三十分にも及んだが、ビルさんの説明は観覧者の賛同を所々で煽り、これもまた演説さながらで、全く飽きないものとなっていた。
今日のフォーリエだけでなく、他の王子やロマリ、城内外の悪党に対しても社会不適合テストを行い、処刑の有無を検討するという補足も加えられており、まさに痒い所にも手が届く内容だ。
「……以上が、本公開処刑の詳細である。
さて……いよいよ罪人に対して、各刑の執行に移る! 鞭打ち刑の準備を!」
ビルさんの合図で、執行人達がフォーリエの体勢を変え、正面に彼女の尻が突き出された。
「いやぁ……いやぁぁ……」
フォーリエは、まだ夢だと思っているのだろうか。それとも、これから始まる激痛地獄を想像できていないのだろうか。彼女の声は、消え入りそうなほど小さかった。
執行人が前に出て、横一列に並ぶと、最初の執行人がさらに前に出た。それは、コーディーさんだった。
コーディーさんがフォーリエに向かって左側に立ち、気持ちと構えの準備が整うと、ビルさんを見て、こくりと頷いた。
「それでは、一発目!」
ビルさんの声の後、『ヒュン!』と空気を切り裂く音が周囲に駆け巡った。
「ひぎゃああああぁぁぁぁああああ‼️ ああああぁぁぁああああぁぁぁぁ‼️」
想像以上にものすごい絶叫が、さらに周囲に響いた。
ジタバタというレベルではない。フォーリエは処刑台さえ揺らすほど、その意志に反して体を暴れさせた。
しかし、彼女の身体はきつく拘束されており、のた打ち回ることもできないので、その痛みの逃げ道はほとんどない。
そのせいか、彼女は失禁し、ビシャビシャと音を立てて、彼女の下に備え付けられた木の箱を汚した。このことは想定済みで、排泄物があまりに臭う場合は、箱に蓋をして交換するらしい。
フォーリエの痛みが落ち着くまで、その場で待機しているビルさんとコーディーさん。
痛みが十分に行き渡らないまま立て続けに打つと、罪人が得をするとの考えからだ。
「無理無理無理無理ぃぃぃ! こんなの絶対に無理ぃぃっ! やめなさい! 今すぐ! 人間のすることじゃないでしょ! 絶対に!」
「二発目!」
フォーリエを無視して、ビルさんが容赦なく次の鞭を促した。
「ぎゃああああぁぁぁぁああああ‼️」
一発目と同じように暴れたフォーリエ。今度は、肛門から大便が勢いよく噴き出し、木の箱にビチャビチャボタボタと落ちて行った。
あまりの光景に、観覧者も絶句している。どうやらこの鞭は、現代のように強さを抑えておらず、一発一発がとんでもない激痛を与えるように作られているらしい。
そういう意味では、現代でも一発目で気絶する人がいるらしいのに、フォーリエはよく耐えていると言える。
しかし、すでに臀部からは横一線に赤い血が滴っており、見るからに痛々しい。
「無理ぃ……無理ぃぃぃいいいい……! はぁ……! はぁ……! 殺す! 殺してやるっ! お前ら全員! 殺し……」
「三発目!」
「ぎゃあああああああああああ! ああぁぁぁあああああ……」
コーディーさんが鞭を入れ、フォーリエの絶叫が途切れた直後、左後方の観覧者がざわついた。
「ぼ、妨害者だ!」
「ぼ……妨害者です!」
老若男女入り混じったその言葉の波に、私は驚いて振り向いた。いや、全員が私と同じ動きをしていた。
「みんなありがとう、把握した。まだ少し遠いから、俺がここまで移動させるよ」
たすくはそう言うと、その妨害者……達の体を、おせっかいスキルで暴れないように固定し、その場で浮かせ、私達と処刑の間まで強制的に移動させた。
「え⁉️ 子ども⁉️」
私は再度驚いたが、その映像を観た観覧者もどよめいていた。
「面白かった!」「つまらん……」
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