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異世界<おせっかい>人情ラプソディ~いや、『おせっかいスキル』で無双って何⁉️~  作者: 立沢るうど


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第六十話……正真正銘のサイコパス

 いよいよ、フォーリエの公開処刑日がやって来た。

 まだ、結果を聞いていないので、予定通り公開処刑となるかは分からない。

 ただ、たすくやビルさんの表情から察するに、予想通りの結果になることは容易に想像ができた。


 私達は、サーズさん、ビルさんと一緒にフォーリエがいる牢屋の前で来て、様子を見守った。


「それでは、学習後王族用社会適合テストの結果を発表する。

 フォーリエ・サウゼリ、五十二点、禁忌二十九問。

 以上。

 合格点九十点には未達、禁忌問題は不正解三問以上。

 これにより、フォーリエ・サウゼリをサウズ王家不適合者と認定し、サウズ王家から追放。王族としての地位および権利を剥奪。

 同時に、国家転覆罪を犯した重罪人フォーリエとして、予定通り公開処刑を行う」


 ビルさんの結果発表には、運用試験の時のような覇気がなかった。

 フォーリエのテスト結果が、余程ショックだったのだろう。

 それはもちろん、期待からのショックなどではなく、想定を遥かに下回った目の前の存在が、これまで自分よりもずっと高い地位にいたことが、本当に信じられないという戸惑いから来るものに違いない。


「待ちなさい! そんなわけないでしょう! 私を貶めるために、結果を偽装したんでしょう⁉️ なんて卑劣な者達なの!

 お父様を呼んでください! こんな茶番、一切なかったことにしてもらいますから!

 もちろん、あなた達は全員死刑にしてもらいます!

 殿下も何とか言ってあげてください! この愚かで陰湿なゴミどもに!」

「フォーリエ……俺はさ、ほんの少し……ほんの少しだけお前に期待してたんだよ。

 このテストも次のテストも合格できて解放されたら、俺が身元引受人になるって言ったよな?

 あんなに俺への愛を元気に叫んでいた子が、万が一、俺の所に来たらどうなっちゃうんだろう。

 いつも俺の腕にしがみついてきて、『離せよ』って言っても、『嫌です! 一生面倒を見てくれると約束しましたよね!』とか言われて、『そうだけどさぁ。やれやれ』とか思ったりするのかな。でも、笑顔だからいいかって、サウズ地方民には限りなく不謹慎だけど、つい思っちゃったりしてさ。

 罪を犯した事実は消えないけど、それを真摯に受け止めて、色々な人達を助けるために、俺と一緒に頑張ってくれたりするんだろうなって。

 俺も一生懸けて、その手伝いをする。そのことに躊躇も後悔もない。

 もしかしたら、他のメンバーが反発したり、時には衝突もするかもしれないけど、俺からの土下座と説得で何とか許してもらって、楽しい旅ができるよう精一杯努力しよう。

 そんな想像と決意をしてたんだよ……。

 だが……あっさりと……! 見事に! 俺の淡い期待を裏切ってくれたな! もちろん、俺の勝手な妄想だよ!

 でも、お前が俺に言った愛の言葉は何だったんだよ! あの時、心から出た言葉だっただろ!

 病気? 障害? いや、違うね!

 お前は、正常な判断力を持ってるよ! ここから逃げ出す手段を、稚拙ながら巡らせているんだからな!

 これが茶番だとしたら、お前が原因の茶番だよ!

 何なんだ、お前は! 答えろ、フォーリエ!」


 たすくは、勇者管理組合支部の化物達に対して怒った時と、同じような憤りを感じているのだろうか。自分の目の前に、理解できない存在がいることに対する……。

 いや……。似ているようだが、状況は明らかに違う。

 今回は、目の前に助けられる存在がいて、お互い手を伸ばしたにもかかわらず、相手から突然『やっぱり、助けてくれなくていいわ』と言われた……いや、それも違う……。

 何だろう……。例えが全く思い浮かばない……。

 『この状況』が唯一無二としか思えないから……。


「殿下、何をおっしゃるのです! 私の愛は変わりません! 私こそ、あなたとのこれからの日々をずっと思い浮かべて楽しみにしてきたのです!

 ですから、殿下のお力をどうか再びお貸しください! 殿下のご賢明な裁きを! この者達にセントラルの容赦なき鉄槌を! どうかお与えください!」

「じゃあ、なぜ勉強を諦めた!」


「諦めたわけではございません! くだらなくなったのです! こんな無知蒙昧さ溢れる方針と問題など、勉強して解くに値しません!」

「じゃあ、なぜ点数が上がったんだよ!」


「私の慈悲です! くだらなくなったとは言え、バカどもが必死に作ったのですから、多少なりとも前回と異なる解答でもすれば、反射的に喜ぶでしょう? もちろん、殿下は除いて」

「だったら、結果の偽装を疑う必要ないだろ! その場限りの感情でデタラメを言うな!

 真面目に勉強して、真面目に解答しなければ、死ぬんだぞ!」


「殿下がいらっしゃるではありませんか。私が愛し、私を愛する殿下が!

 必ずこちらにいらっしゃると思いました。

 さあ、共に参りましょう! セントラルに!」

「……」

「私がフォーリエの代わりに答えてあげようか? 半分は彼女にも言おうか。

 この前も言ったけど、これが正真正銘のサイコパスだよ。

 当然、治療も困難。隔離するにも、その管理は極めて厳重でなければいけない。管理者や接触者に危険が及ぶから。ただでさえそうなのに、スキルや魔法が存在する世界では、さらに無理な話。

 仮に、精神系のスキルや魔法で治療できたとしても、それは別人。元の人間を殺したとも言える。

 サイコパスは精神病質、つまり病気や障害の一種と言われてるけど、私はそうじゃないと思う。それは、社会適合者の一方的な決め付けの論理だよ。

 サイコパスから見たら、私達の方が社会不適合者。それを正当化、いや、最初から正当だと思っている。だから、フォーリエみたいな発言になる。ただし、その社会は限りなく狭い、自分と一部の者だけの社会ね。

 それを簡単に、一般的に言うと、絶対に交わることのない多数派と少数派。ただし、その少数派は『超』が何回も付くほどの過激派であり確信犯。

 だから、多数派に危険が及ばないように排除すべき。ただそれだけ。傲慢と言われようが、かまわない。

 『王族は、適切な理由があれば国民を殺してよい』っていう一問目の対になった問題が、後半に出てきたでしょ? それを提案したのは私。みんなで議論もした。

 答えは○。ちょっと迷うけど、国家持続方針を勉強していれば分かるし、死刑を容認する国なら現実を見ても分かるし、私のような考え方をしても分かる。

 ただ、理由をでっち上げればいいんでしょ、っていう不適合者予備軍みたいな考えでも○になるから、単独で見れば不十分な問題だけど、誠実さを問う別の問題でカバーしてる。

 一方で、一問目を○にしたら、この問題は✕になる。『適切な理由』じゃなくて、『どんな理由』でも殺していいでしょってなるから。無責任な平和主義者や文章のみを理解できる完全な王族サイコパスはこれ一択。前者のようなお花畑人間がいるから禁忌問題じゃない。

 そういう完全サイコパス人間の話に限れば、病気とか障害なんて関係ないんだよ。今の例みたいなのが、ソイツらの『論理』だから。だから、治療しよう、受け入れよう、優しくしようなんて、的外れすぎて意味がない。

 つまり、諦めよう、排除しよう、抹殺しようと言ってほしい。言わなくてもいいから、そうと分からせてほしい。それが私の望む社会で、真っ当な社会。

 じゃないと逆に無責任な社会だよ。そんな奴らを野放しにして、税金や無駄金を使って治療や隔離をして。いつ危害を加えられるか分からない不安を私達に抱かせて。

 たすくのスキルは、それが解消可能だった。でも、それはたすくの側にいる人だけ。社会全体で見れば、成り立たない。

 そして、そのたすくでさえもこんな状態。お互いにコミュニケーションが困難な状態。もし、このまま向き合い続ければ、どうなるのかは想像に難くない。

 たすく、これ以上近づくと、火傷じゃ済まないよ。その時、たすくは私達を助けられなくなる。焼け焦げて真っ黒になってるから」


「黙って聞き流して、少しだけ聞いてみれば、無礼なゴミ虫が分かったふうな口を聞いて!

 しかも、『サイコパス』とか『たすく』とか、訳の分からないことを言って……。

 殿下は、そんな女の言うことなど、一切聞く必要ありませんからね!

 そこの反対側の女も、その汚い手をどけなさい! 何を気安く、殿下の手を握ってるの!」

 「すごいな、フォーリエ。あまり接点がなかったセレナのことはともかく、罵り合った上に、勉強部屋に来たみかのことさえ全く覚えてないんだな。

 じゃあ、改めて紹介する。俺の大切な人達だよ。

 俺がお前の態度に我慢できず怒鳴った時に、強く握り締めていた両手を、優しく解きほぐしてくれた、本当に大切な、俺が心から愛する人達だ。もちろん、その横の女の子達もそうだ。

 サーズ王もビルも親友。そこにいるコーディーも友人だ。プライベートな話は、あまりしてないけど、もっと仲良くなれると思う。

 でも、お前はこう言う。『殿下は騙されているのです!』と。

 もう俺は聞く耳を持たない。俺の大切な人達を愚弄するお前を、俺は許さない。

 俺は……『この言葉』を人生で言うとは思っていなかった……。

 言ってしまったら、俺が俺でなくなってしまうんじゃないかって。

 自分で自分を否定することになるんじゃないかって。

 でも、このままだと前に進めないんだ。この先ずっと、後ろから引っ張られるような気がして……。

 あの時みたいに、他の道も一生懸命考えた。でも、なかった。

 フォーリエ、これは俺からのお願いだ。俺自身のために、俺がこの先、大切な人達と笑い合うために、『この言葉』を言わせてくれ。

 そうすれば、泣きながらでも、苦しくても一歩を踏み出せる。

 お前が俺を強くしてくれたんだ。この先も俺は俺であり続ける。大切な人達がいるから、それができるんだ。言えるんだ。

 間違いなく幻滅されると思う。あとで謝るよ……」


 たすくは大きく息を吸った。

 『その言葉』を言うために。

「面白かった!」「つまらん……」

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最後に、本話をお読みいただき、ありがとうございました!


Xアカウント @tachizawalude

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