第五十二話……普通の公開処刑じゃないの⁉️
本話から「R15」「残酷な描写あり」となります。
「たすく、確認したいことがある。いいか?」
「ああ……」
朝食後、王室に集まった私達は、王室内左にあるソファに座り、対面のサーズさんと、背もたれを越えて、その後ろに立っているビルさんと向かい合っていた。
サーズさんから話を切り出されると、たすくは神妙な面持ちで答えた。
「すでに内容は分かっていると思うが、私の責任でこの場の全員に共有するために、あえて話す。
たすくは、今回の公開処刑が『どれだけ惨い状況でも、それを見届ける』と言った。
この言葉に二言はないか?」
「ない」
「では、マリッサ・センティネリ殿下の了承済みとして、最終決定の公開処刑内容をこれから話すから、聞く者を選別するならそうしてくれ」
「いや、全員に聞いてほしい。当日でもそれ以降でも、何かのキッカケでそれを知った方が、ショックが大きいと思う。別件だけど、そういうことをセレナが経験してしまったから。
だからみんな、心して聞いてほしい。限界だと思ったら、そう言ってくれ。話を止めてもらうから」
「え……? 普通の処刑じゃないの?」
「では、ビル宰相」
「はっ!」
ビルさんが一枚の紙を片手に、それを読み上げ始めた。
「まず、牢屋から正門、正門から処刑台までの三百メートルの区間において、牢屋時点で、現フォーリエ殿下を全裸で開脚、性器と肛門を露出させ……」
「ちょっ……! ちょっと待って!」
「どうぞ」
「いや、さっきも言ったけど、普通の処刑じゃないの? 冗談で言ってる……わけではないとしたら、そんなエロ漫画みたいなことする必要ある?」
「『漫画』が何なのかは分からないが、絵画みたいなものだとして……みかは普通の処刑……今回の場合、普通の公開処刑をどうイメージしている?」
「え……近代化前の西洋であれば、囚人服で処刑台まで連れて行って、国民の前でギロチンにかけて……切断された頭部を掲げて見せる、とか? コイツは、こんなことをされて当然の悪いことをしたんだぞって」
「その場合、罪人は全く苦しまないだろ? 絶命するまでの恐怖も短すぎる。ほとんど救済しているようなものだ。無駄な見せしめだよ」
「それはそうだけど、辱める必要はあるの?」
「現フォーリエ殿下が、誰も辱めていないのであれば辱めない。
しかし、そうではないことが他者の証言、並びにセントラルへ流出させた国民の状況から分かっている。当然、鞭打ちや、一部火あぶりも行う」
「たすくが考えている『目には目を、歯には歯を』ね……。それは私も賛成だけど、国民にそれを見せたら、トラウマにならない? 真似しちゃう人も出るかも」
「その懸念はある。だから王家持続保護法にも、その方法を公にすると書いた。たすくが言うように、事前に知っていれば、ショックも比較的小さい。
模倣犯については、誰でも想像できる範囲だから想定しても意味がない。当然、その罰は同じ内容になる」
「うーん……。なんでこんな質問をしているかって言うと、処刑方法はともかく、その後のことについても、もう少し配慮してもいいんじゃないかって思ったんだよね。子どもへの教育とかさ。
一度見たことを思い出すことと、一度も見たことがないことを想像する難易度の違いは、フォーリエを見れば明らかでしょ?
まだ社会不適合者が首都内に数え切れないぐらいいる状況では、被害も二次被害も出やすいのかなって。
それに、成長過程でどうしても想像力の未熟な子どもが大人の真似をして、他人の子どもに対して、そんなことをしているのを見たら、双方の両親が激怒して、子殺しを含めた殺人事件が簡単に起きちゃうよ。子どもより将来の想像力があるとされる大人だって酷いことをするのに。
でも、そういうシーンを見せないように、完全に規制するのも良くないんだよね。それこそ、想像力が養われなくなってしまうことだってある。
結局、どっち付かずの無責任なこと言っちゃったけど、それほど間違ったことは言ってないんじゃないかな」
「みからしい、素晴らしい意見だよ。サーズ、ビル。処刑方法の最終決定はそのままでいいとしても、みかが今言ったことを考慮した上で、『但し書き』や『附則』で追記できないか?
子どもと親の責任について、どんな既存の法律があるかは分からないけど、例えば今回の方針を踏襲しつつ、子どもがいる家庭に対しては、『処刑を子どもに観覧させる如何にかかわらず、その子どもが処刑方法を模倣し、成人犯罪相当の行為をした場合、全ての責任をその家族全員および関係者が負うこととし、一家全員同様の方法で処刑する。したがって、その教育は親の責任で十分に行うこととし、その方針を明確にした上で、親は公開処刑を観覧すること』とするとか。
条文みたいな書き方は普通の国民は理解できないから、一緒に具体例も挙げて、『質問です。公開処刑を子どもに見せなかったのに、友達からその話を聞いて真似をし、被害者を出してしまいました。どうなりますか? 答え、友達とあなたの一家含めて全員同じ方法で公開処刑になります。絶対に真似をしないよう教育してください。ただし、決して怒ったり手を上げたりせず、しっかり理解できるように優しく説明してください』とか。
見せる場合も、どういう観点で見せるべきなのかを示して、それを親が子どもに説明する。
そうすることによって、この処刑方法は本当に必要なものなんだと親子共々理解してもらうんだ。
子どもに限定しなくてもいいかもしれないけど、あまり考える時間がなかったから、あくまで例えばの話。補足すべき点は、かなりあると思う。
あ、大事なことを早速補足すると、処刑観覧後の精神ケアが必要になるはずだ。みかが言ったトラウマのことだが、直接の被害ではないものの、これを『心的外傷後ストレス障害』と呼ぶ。
親でもケアしきれない場合は、国が責任を持ってケアしなければいけないと思う。その心理療法は俺が知っているから、医療班に伝授するよ」
「そうだな……。二人とも、流石だよ。すでに、長期的な視点で我が国のことを考慮してくれている。私も国民に配慮したつもりではいたが、いや、まだ不要だと思っていたが、間違いだったな。
殿下、申し訳ありません。このあと、至急附則を追加し、公開いたします。首都民には、より広く知らせるため、地域のキーマンにも協力を依頼します。その際の報酬は予算内ですので、ご安心ください」
「ああ、頼む」
「私は、それこそ自分の経験から意見を言っただけだよ。もし、いじめられてなかったら、思い付かなかったかもしれない。
たすくならこう言うかな。『嫌な経験をバネに、後に活かすスキル』って。私が本質スキルに気付いた時も似たようなこと言ってたね。
嫌な経験を乗り越えるなんて、簡単に誰にでもできるわけじゃないけど、それも自分がどう考えるか次第だね。
ああ、あと追加で、親を憎んでいる子どもとか、夫を憎んでいる妻とかがいた場合、それを利用して一家を処刑に導き、自分は普通に自殺するとかも考えられるから、それも検討してほしいかな。
これは私の経験じゃないよ。破滅思考に陥る人もいるってことね」
「みかは成長してるよ、間違いなく。俺も見習いたいな。
とりあえず、ビル。続きを頼む。国民が理解する時間がなくなるぞ」
「ああ、急ごう。性器と肛門を露出させ、のあとだな。
鉄柱に縛った後、特殊な金具で両側大陰唇を強力に挟み、膣口を露出させるように広げ……」
「ちょっと待ったぁ!」
「時間がないが、どうぞ!」
「それ、必要ある⁉️」
「面白かった!」「つまらん……」
「続きが気になる!」「次回作に期待!」
「おせっかいすぎ!」「言うほどおせっかいか?」
と思った方は、以下の「☆☆☆☆☆」から、応援をお願いします!
星一つであっても、皆さんの反応が大変励みになります。
星五つであれば、なおのこと!
ブックマークもよろしくお願いします!
最後に、本話をお読みいただき、ありがとうございました!
Xアカウント @tachizawalude




