第四十八話……指定重要機密スキル⁉️
「三十点です……」
「え……?」
「三十点しか取れてないんですよ! 禁忌問題に至っては、七割踏んでいます! フォーリエ・サウゼリという化物は……!
し、失礼しました。サウズ王家の御前で……」
「……」
セレナと王室で待ち合わせし、先代も合わせて結果を聞いた私達は、全員唖然としていた。
「いや、かまわない……。解答がずれていた、とかはないか?」
「はい。何度も確認しましたが、フォーリエ殿下の性格を考慮すると、納得できる解答ですから……。
そもそも、第一問目の禁忌問題、『王族であれば、どのような理由であっても、国民を殺してよい』からして不適合です……。
自信満々に答えていたんですよね? 最後まで余裕の表情で答えていたんですよね? これが社会適合テストだと知っていたんですよね?
逆に、六十問も合っていたのかと、不思議な感覚になります……」
「俺がスキルで観察してたんだけど、外交的な問題は適合率が高かった。他国の同じ王族に対しては、本音と建前が使えると。実際に経験したからだ。
経験した以外の他の問題は、想像力が圧倒的に足りていない。
これは単なる疑問だけど、どういう教育がされてきたんだ?」
「少なくとも、初期は俺と同じだ。父上にも確認した。情操教育も含めて、哲学や帝王学も学んでいる。
セントラルに影響されたか? それとも逆にスキルを受けたとか」
「『セントラルの皆様に憧れて』とはおっしゃっていましたね。その影響は多少あるとは思いますが、スキルを受けた可能性は低いと考えられます。
勇者をよく知り、多くのスキルについて知っている私から申し上げれば、特殊系である精神系スキルは、その個性に強く影響され、後天的に、しかし早い時期に発現します。
フォーリエ殿下のスキルは、『短絡』スキルとみかさんには見えていますが、みかさんは本質を見抜くスキルなので、一般的に言えば、『騙し』スキル、あるいは『誘惑』スキルと認定されるはずで、いずれも『指定重要機密スキル』に分類されます。
セントラルでは、指定重要機密スキル保持者を認識した場合、直ちに報告しなければならず、違反すれば死刑となります。
なぜなら、そのスキルによって世界の根底が即座に揺るがされる恐れがあり、勇者管理組合および中央政府が徹底的に管理する必要があるためです。
したがって、指定重要機密スキルの情報は、他国には一切公表していません。ノウズ地方は元セントラルと言ってもいいので、周知の事実かもしれませんが。
たすく様がセントラルを変革することがなければ、お話しできなかった内容ですね。
話を元に戻して……一言でまとめると、指定重要機密スキル保持者であるフォーリエ殿下は、最初からそういう人物だったということです」
「ある時期から、簡単すぎて勉強をすっ飛ばす癖があったみたいだから、教育担当者を騙して、授業も教育も終わったことにしたんだな。そしたら、『短絡』も説明が付く」
「みか、今のセレナの話と国防の観点、いや、リスク管理の観点から、心から信頼できるスキル所持者でない限り、すぐに殺す敵であっても、その本質名を伝えない方が良い。
場合によっては、指定重要機密スキルにカテゴリアップすることも考えられるし、想定外のことが起きてしまう。
そうすると、勇者管理法だけでなく、今みたいな裏の決まりで、また厄介なことになり得る。
指定重要機密スキルの話自体にも触れない方が良い」
「了解。例えば、『短絡』スキルを極めたら、物理的に短絡させられるかもしれないからね。ワープとか通り抜けとか、人間もグチャッとか。私は最初、それを含んでいると思ったから、めちゃくちゃヤバいスキルだと思ったんだけど、フォーリエに想像力がなくて良かったね。
今になって考えると、フォーリエはサイコパス診断のほぼ全てに当てはまるんだよ。婚姻歴とか犯罪歴関係とかを除いて。間違いなくサイコパスだね」
「確かに恐ろしすぎるな……。公開処刑時は、たすくがいないと結局ダメだな。フォーリエがキレて、どうなるか分からないから」
「そのこととは別に、今のたすく様であれば、遠隔でもスキルを無効化できるのでは? 例えば、それこそ今の別室とか」
「ああ、大丈夫だ。やってるよ」
「閉じ切った部屋なのに、どうやってるんだ?」
「と言っても、新鮮な空気を保つための換気口はあるから、そこから」
「たすく、やるねぇ。密室のトリックみたい。あそこに行って、それも確認してたとすると、一石四鳥ぐらいあるんじゃない?」
「まぁ、処刑確定までは、まだ四十時間以上ある。ここから、脅威の学習能力を見せるのか、はたまた届かないのか、複製紙を破り捨てるのか、想像も付かないことが起きるのか、一切手を貸さずに見届けるとしよう。
ビル宰相、公開処刑の準備は?」
「はっ! 処刑台建築の進捗は準備が整い二割程度、処刑予告文および背景概要文は舞台近辺に四箇所設置済み、背景詳細説明文および原稿の作成は総務省に指示済み、警備隊にも警備計画書の作成を指示済み、陛下の本番台本は未着手、ただし直ちに作成でき、陛下の類稀ない記憶力であれば時間を要しないものなので、恐れながら最後に回しております。以上、進捗報告です!
ただ今より、背景詳細説明文の進捗確認、および警備計画書を確認予定です!」
「処刑台建築って、今ある物をそのまま使わないの? やっぱり、経済を回すため?」
「ああ。財政が苦しくなっているとは言え、そこで緊縮政策を採用していては、実務時代の俺のように足踏みしてしまい、時間の無駄だ。
それに、昨日加工してもらったダイヤモンドもあるんだ。細かい所でも、投資は大胆かつスピーディーに行っていくぞ。
財務大臣もそれを訴えてきた官僚から抜擢する予定だ。まぁ、財務省は解体して、新省にするから、大臣名も変わるんだがな」
「その際は、低品質な業者との取引や癒着にも注意する。今回と同様、私が警備兵だった時に、首都内で密かに評価していた業者や商会を中心に今後も依頼して行く予定だ。
何より、地域愛が強く、私のような者にも首都民にも優しく、そして愛されている。大きく儲けようなんて、これっぽっちも思っていない。
災害復旧で、支払いに困っている人がいても、そんなのは後でいいと平気で言えるようなバカな連中だ。自分も苦しいはずなのに……各所に頭を下げて回っていた。
そんなバカどもが人知れず消えて行くような社会であってはならない。結局、『人』だよ。
最初は独占または寡占取引になるが、そんなことを気にしていては、進むものも進まない。嫉妬で足を引っ張るような者がいれば、徹底的に取り締まる」
「バカがバカって言ってる……。でもさぁ、そういう人達って、『人を殺す舞台なんて作れるか! 断る!』って言いそうだけどね」
忙しいビルさんには悪いが、気になったことはできるだけ早く聞きたいので、私は話を続けた。
「まさに以前、『処刑台を国から作れと言われたら、どうするんだ?』と聞いた時に、実際言われたよ。
『では、同じ処刑台でも、それが国家を前に進めるために、絶対に必要なものだとしたら? 見せしめにも良いものと悪いものがあるとしたら? これまではどの国も悪いものだったが、我が国が変わり、それも良いものに変わったとしたら?』と、質問責めから入って議論を交わしたことがある。
『人殺しに良いも悪いもあるかよ!』と最初は聞く耳を持たなかったが、最終的には『アンタが責任者として依頼してきたら考えてやるよ』と軟化した。
『考えた結果やらないのでは、この議論の時間が無駄になる。お前は官僚か。ハッキリしろ!』と追求したら、『俺が考えるって言ったら、そういうことなんだよ! 少しは察しろ、このバカ!』と言われた。
バカにバカと言われて腹が立ったが、妙な満足感があったな。
そして、私が先程依頼してきた。陛下と私の署名入り文書だけでは、思い出してもらえないかもしれないからな」
「いや、先程って……朝からずっと私達といたでしょ。……。もしかして、ほとんど寝ずに、夜も明けてない内に行ったんじゃないでしょうね⁉️」
「いや、流石に日の出直後だよ。陛下は叩き起こして、ご署名いただいた。官僚時代には、こんなこと日常茶飯事だったから、どちらも慣れている」
「何が、『流石に』なの! このバカ!」
「たすくの気持ちが分かったよ。確かに心地良いな。眠気も吹っ飛ぶし、全く腹が立たない」
「それって、私がバカ……ってコト⁉️」
「あ、今の、ちょいかわだったぞ、みか」
「あ、頭がおかしくなるゥゥ……」
「寝不足だな。とりあえず、おせっかいパーティーに協力してもらう仕事は、おかげで一段落したから、少なくとも人間三人は昼寝するといい。ご協力、大変感謝する。
夜は、昨日からの間食相当と違って、陛下のご配慮で豪勢な食事を用意するから、是非味わってほしい。パーティーは、まだ先の予定だ」
「はぁ……。それならいいけど……。たすくって、寝ながらスキル維持できるの?」
「どうなんだろうな。昨日、って言うか、今日試してみたけど、確認する手段がなかったからなぁ」
「起きてすぐに使える状態であれば上手く行ってるってことだから、不安なら王室と国賓部屋の一角を、お互いに映し合っておけば、私達が寝ても王室側で消えたタイミングが分かるし、起きた時に私達もすぐに分かるんじゃない?」
「みか、天才か⁉️」
「たすくの寝不足でしょ。これがスキルの弱点か……」
「人間全員の弱点じゃぞ」
「そうそう。お腹が空いちゃうこととか」
「やっぱり、私も寝不足か……」
「私は十分眠れましたけどね」
「誰のせいだ、誰の!」
それから私達は、お言葉に甘えて部屋で昼寝させてもらうことにしたが、その前にお風呂に入って、心も体もリフレッシュしようということにした。
城内は、どのような理由があっても魔法禁止らしいので、遠慮なく湯船を利用させてもらったわけだ。どうやら、あの時のプレアの水魔法は見逃してくれていたらしい。
この際、たすくは目隠しして、私達と同時に入ってもいいことにした。
たすくは、セレナとラピスとプレアに身体を洗ってもらって、色々な意味で女体を味わったことだろう。色々ガチガチになって。
かく言う私も、三人に強く迫られて、断り切れずに洗ってもらったけど、三人ともヌルヌルの身体をくっつけて、スリスリしてくれたので気持ち良かった。
そんな中でテンションが上って、『もっと気持ち良くなれることがあるんだよ~』と、ラピスとプレアに変なことを教えてしまい、『これじゃあ、フォーリエと一緒じゃん!』と湯船で冷静になった私は、二人がハマりませんように、と神様に切に願った。
でも、仕方がないじゃないか。人間だもの。みか。
お風呂から上がり、人間三人はベッドに入って、すぐに眠りについた。
途中、ベッドではセレナと十分離れて寝ていたのに、今度は私を抱き枕のように抱き締めてきて、引き離して蹴られても厄介なので、暑苦しくても諦めてそのままにした。
お風呂での続きを夢に見ているのか、『みかさ~ん……むにゃむにゃ』と寝ぼけて、ほっぺたをスリスリしてきたことと、お風呂から上がっても柔らかい肌と胸が新鮮に感じ、『そこは、たすく様~じゃないんだ……』と思いながらも、男の気持ちが少しは分かったので許すことにしたら、すんなり眠ることができた。
真顔で仏のような気持ちになるって大事なんだなぁ……。まぁ、次が三回目だから、それで最後なんだけど……。
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