第三十七話……邪悪な王子達!
「ノックはどうした、ノックは。次官に失礼だろ?」
「うるさい! この部屋にいる者を全員殺せ!」
「はぁ⁉️ サルディアさんもいるでしょ!」
「偽勇者と財務事務次官が、サウズ中央政府を混乱に陥れようと共謀している証拠現場だ! 何を企んでいるか分からない! 早くしないと、我々の方が殺されてしまうぞ!」
兵士達を煽る化物ロマリに対して、一歩も動こうとしない化物兵士達。
「貴様ら、何をしている! 早くしろ!」
「みか、この兵士達のランクは?」
「全員、『死刑』ランクだね。かなり好き放題やってるんじゃないかな」
「ってことは、あの連中もコイツのいる派閥ってことかもな。
でも、これだけ悪さしてるってことは、さらにその派閥に罪を着せようとしている二重スパイの可能性もあるか」
私達が落ち着いて会話をしているのは、たすくが兵士達の動きと口を制限しているからだ。
つまり、動こうとしないのではなく、動けないのだ。
おそらく、たすくはロマリが出て行く時に、こうなることが分かっていたのだろう。
「とんでもないスキルですね……。なぜあなたがこのような状況に置かれているのか……。理解するには、まだ時間がかかりそうです」
「あとでゆっくり説明するよ。牢屋に案内してくれないか?」
それから、サルディアさんに案内されて、私達は牢屋に向かった。
当然のことながら、その途中の広間で城内は騒然としていた。
すると、誰かが群衆を掻き分けて、こちらに向かってきたようだ。誰かって言うか、化物だと思うけど。
「どけ! 邪魔だ! サー……財務次官、これはどういうことだ!」
「謀反を起こした連中を牢屋に連行するところです」
「何の権限があって、お前にそのような判断ができるというのだ! 私の兵士だぞ! お前達も、何を大人しく列を成して歩いているんだ! こっちへ来い!」
「第二王子の兵士であれば、私を殺してもいいとおっしゃるのですか?」
「そ、そんなことは言っていない! だが、偽勇者と行動を共にしているのは、どう説明するつもりだ! 我が国を潰す気か! 父上にも報告するからな!」
「どうぞ、報告してください。ついでに、これまで消息不明とされていたサウズ地方サウズ国第三王子『サーズ・サウゼリ』が、無能な兄達のハンデとして身分を隠し、ゼロから城内で実務に励んだところ、盟友であり元防衛事務次官である『ビル・クライツ』と共に立案した政策が実を結び、セントラル内第一セントラル領国第二王女『マリッサ・センティネリ』殿下のご協力の下、伝説のプラチナ鉱石の採取に成功、今この手にあるとお伝えください。メッセンジャーしか能のないお兄様。
いや、失礼。我が国の財産と国民を私利私欲のためにしか使わない売国奴と、正しく呼ぶべきですね。
皆の者、見よ! 『サーズ・サウゼリ』の名の下に、これがプラチナ鉱石であることを、ここに認定する!」
サルディアさん、いや、サーズ王子は、たすくから受け取ったプラチナ鉱石を高々と掲げた。
「な……バカな! 嘘だ! 嘘に決まっている! そのガラクタをこっちに寄越せ! 確かめてやる!」
「渡すわけないでしょう。売国奴に渡したら、何をされるか分かったものではありませんから。それに、あなたが金属に詳しいわけないでしょう」
「これは命令だ! いや……違うな……。貴様は、我が愛する弟の名を騙った犯罪者だ! 皆の者、この詐欺師を切り捨てろ! 命令に従わない者は、国家反逆罪で処刑だ!」
「よくもまぁ、デタラメを。本当に愚かだな……。私と血が繋がっていることが、死にたくなるほど腹立たしく、恥ずかしい……」
サーズ王子が様々な感情から震えているところで、また奥から誰かが来たようだ。今度は、みんなが自ら避けて、その化物の道を作った。
「何の騒ぎだ!」
「あ、兄上! コイツが、弟の名を騙り、プラチナ鉱石をでっち上げたんです! 国家反逆罪の詐欺師として、即時処刑するところです!」
どうやら、第一王子が到着したようだ。
第二王子は、簡潔に要点を彼に報告し、サーズ王子の言う通り、売国奴メッセンジャーとして活躍していた。
「よし! 足りなければ、私の騎士団も貸そう。存分に戦うといい!」
「兄上! 感謝いたします! 我が国のために、悪を成敗しましょう!」
「……。殿下や勇者管理組合の方がいてくださり、本当に良かったです。ここまで愚かなのは、想定していませんでしたから……。
我が国の恥を忍んでお願いいたします。どうかお力添えください。誰であっても、向かってくる者は殺してかまいません」
「大丈夫だよ。向かって来させないから」
次官の部屋の時と同じように、広間にいる化物兵士は誰一人動くことができないようだ。
それ以外の使用人や事務職系の従事者らしき化物は普通に動けるようで、その状況に戸惑っている様子が見て取れる。
王子達も動けているみたいだ。
「どうしたというのだ!」
「何をしている! 早くしろ! この役立たずどもが!」
「まさか、これほどとは……。周囲全て、選択できる上に、際限なしですか……」
「たすくぅ、わしの活躍の場は……?」
「ごめん、ない!」
「サーズお兄ちゃん、良いこと教えてあげようか? おせっかいパーティーの内、四人はこの場にいる人達を、一人で全員殺せるぐらい強いんだよ。すごいでしょ?」
「言ってなかったけど、第一王子も第二王子も『邪道』ランクだからね」
微妙にカオスなのは気にしないことにして、この場をどうやって収集するか考えていたところ、たすくがサーズ王子の方を向いた。
「これを全員牢屋に入れることはできないよな。王子が責任を持ってどうするか決めてくれ。継承権はもう決まったようなものだ」
「そうですね。では……」
「サーズお兄様⁉️」
「え、また誰か来たの?」
「妹の第一王女『フォーリエ』です。彼女は非常に賢く、私の正体を明かしていないにもかかわらず、独自に私に辿り着きました」
私は、ほとんどサーズ王子の話を聞いていなかった。
なぜなら、『ソレ』を目の端に捉えた瞬間、震えながら頭を抱えて床に膝を付き、胃の中の全ての物を勢い良く床に吐き出してしまったからだ。
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