第二十一話……情状酌量!
とは言え、自分達で軽犯罪者を処刑していた過去を水に流せるわけではない。
「ねぇ、たすく。この場合の落とし所はどこかな? 村長さんは改心したけど、責任がなくなったわけではないからね」
「そうだな。まず確認したいことがある。どの程度の軽犯罪で、どんな人が罪を犯したかだ。どのぐらいの頻度で起こっているかも知りたいな。もしかして、スキル持ちが力を悪用していたかもしれない」
「はい……。ほとんどのケースはスキルを使った犯罪です。スキルを使わなくとも、異性に付きまとった挙句、住居に無理矢理侵入するケースもありました。動物をけしかけて、相手に怪我を負わせて知らんぷりしたり、公然猥褻行為をしたりは複数回ありました。
その全てのケースは、一度目の軽犯罪は注意、それに従わず、反省が見られなかったり、再犯した場合は処刑していました。過去にエスカレートした場合があったからです。
頻度はそれほど高くありません。前村長から含めて、統計を取り始めて約五十年ですが、軽犯罪者数は全部で十五人、処刑を始めたのは二十五年前で、その内の八人です。どちらかと言うと、犯罪者数が多いのは最近です」
「なんかそう聞くと、案外少ないし、仕方ないかな、みたいに思っちゃうんだけど、どうするの?」
「まぁ、俺達は裁判官じゃないけど、情状酌量の余地は十分あると思う。一度更正のチャンスを与えているのが大きい。スキル持ち犯罪者に関する条項はあるはずだから、当然それ次第だけど、法律整備後の適用になるから、今は置いておいた方が良い。
でも、話を聞けて良かったよ。かなりの参考になる。
ただ、このことを俺達が即座に通報せず、裁判でも有利に働きかけを行う司法取引として、やっぱり勾留システムを導入してほしいな。
スキル持ちを処刑できるということは、それに匹敵する力、例えば村長のように魔法を使える村民が複数人いるはずだ。つまり、交代で回復魔法をかけられる。
もちろん、かかった費用は人件費も含めて後で払うから。なんなら、労働の対価としての賃金を上乗せしてもいい。いや、するべきか。それが仕事になると分かれば、関連する雇用が生まれ、魔法使いが多くなるかもしれない。
セントラルの財政が逼迫している場合でも、こっちを優先させる」
「たすく様、勇者管理組合支部が、勇者候補をセントラルに送り込むことで、犯罪を未然に防いでいた可能性も出てきましたが、そこはどう思われますか?」
「事実だけ見ると、そう考えられるのも不思議ではないんだが、残念ながらそうじゃない。それは建前の一つだな。だから、コイツらの罪は今のところ変わらない」
「あの……。昨日、お二人からいただいた支援金の使途をどうしようかと思っていたのですが、その賃金に充てるというのは、いかがでしょうか。ある程度の期間は保つかと」
「え……支援金……? あ、ああ、支援金ね! 支援金!」
「みかさん……」
「……。よし、じゃあそれで頼む。それと、申し訳ないが、女児用の衣服がほしい。実は、道中で子どもを見つけたんだ。この村の子どもではなく、全裸だったから、大事にならないように村の外で待たせているんだが、早く服を着せてあげたい。
経済を多少なりとも回す上では、その支援金を使った方が良いはずだ。服の相場分だけ使わせてほしい」
「我々からすれば願ってもいないこと。それでは、私の家に行きましょうか」
「たすく、どういうことなの⁉️」
私は小声で、たすくに疑問をぶつけた。
「俺の考えも含めて長くなりそうだから、あとで説明する」
「じゃあ、ラピスも合流してからにしようか」
「では、私が服を先に立て替えて買って、ラピスちゃんに着せてきますよ。その方が時間の節約になります。
下着はいらないから、青髪に似合う脱ぎやすい余裕がある服をくれと言えばいいんですよね」
「ああ、頼むよ。広場で待ち合わせよう」
そうして、化物達を牢屋に入れて、セレナと分かれ、私とたすくは村長宅に向かい、支援金の一部を受け取った。
それから、セレナが勇者管理組合に所属した経緯を話し、思い直して泉から戻ってきたことにして、あとは医者と回復魔法使いを揃える件を村長に一任し、私達は広場に向かった。
次回投稿は、2025年09月29日です。
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