第十六話……腐った組織!
「……。貴様の、勇者管理組合のヤツの言い分は分かった。だが、偽勇者についてはどうなんだよ。セントラルからここまでの全ての村や町で通報があったんだぞ。特徴も完全に一致してるし、言い逃れはできないだろ!」
「その通報自体は多分正しい。だが、冤罪だから、犯罪の要件を満たさない。それを主張するために、みんなでセントラルに行くんだよ。勇者管理組合の人間が同行しているなら問題ないだろ? 仮に犯罪者を連行する時だってそうしてるだろうし」
「いや、勇者管理法に抵触した時点で死刑かその場で処刑だから、連行することはない。
そもそも貴様らは、勇者を名乗った上で、お互いの名前を口にしているから、冤罪じゃないだろ!」
「すまないが、それは置いておいてくれ。話を戻すが、勇者管理法に関係ないセントラル絡みの犯罪者の場合は? 元はセントラルの管轄だから、普通は移送されるだろ?」
「それは知らん! 俺達は勇者管理組合だからな。勇者関連は全て勇者管理組合管轄だ」
「うーん……。じゃあ、勇者管理組合の本部と支部で、どちらの権限が上なんだ? 当然、本部だろ?」
「いや、現場が最優先だ。だから、現場が支部の管轄なら、支部の権限の方が大きい」
「それは一理あるか。じゃあ、本当は冤罪でも、支部が独断で処刑できる仕組みがおかしいな」
「仮におかしかったとしても、その通りに執行しないと、俺達が罰せられるだろ!」
「全くもって、おっしゃる通りだよ。そういう意味では、現状を変更する力がないと何もできないか……。これから先、取り締まり側を相手に、ソイツらも罪にならないようにするには、どうすればいいんだろうな……」
「知らねぇよ!」
「怒るなよ……。じゃあ聞くけど、俺達の処刑に失敗したお前達を取り締まるのは誰なんだよ。
本部の人間がこんな所に来るわけないって言ってたよな? 誰かがそのことを報告して、これから来るってことか? そんなことなら誰も報告しないよな?」
「…………。知らん」
「そもそも、勇者管理組合支部の目的は何だ? 俺達の誰も知らないから教えてくれ。ある程度、想像はできるが」
「地方の勇者候補をセントラルに送ること、セントラルから脱走した勇者または偽勇者の効率的な処刑、この二点だ」
「勇者候補を送るっていうのは強制か?」
「強制ではない。教育した上で、自発的に行ってもらう」
「……。どんな教育なんだよ」
「それは機密情報だから教えられない」
「まさか、スキル持ちに手当たり次第、酷いことをしてるんじゃないだろうな?」
「教えられないと言っただろ」
「…………。コ、コイツら……」
化物の言葉から、真意を引き出し、その『教育』の実態が浮かんだのだろう。たすくの顔色と表情が変わった。珍しく、化物達から後退りして、文字通り一歩引いた形だ。
いつの間に超人モードになっていたのだろうか。考えられるとすれば、『知らねぇよ!』と怒られた時か。薄々気付いてはいたが、今のたすくには、直接の言葉がなくとも、相手に少しでもおせっかいと思わせるだけでいいらしい。
「改めて聞かせてくれ。お前達は、本当に勇者管理組合の支部に所属しているんだな?」
「それがどうした」
「セントラルの勇者管理組合は、今の状況を予想できたよな?」
「はぁ?」
「…………。そうか……。本当にセントラルは……勇者管理組合は腐ってるんだな……」
「た、たすく様……。も、もしかして、その『教育』も含めて、本部の指示だと……」
「ああ、間違いない。こういう、人の心を持たない輩を採用したのも、良心が痛んで途中で辞めさせないためだ。たとえ、スキル持ちに反抗されて失っても、いくらでも使い捨てできるからな。
そして問題になれば、支部が勝手にやったと言い訳もできる。まぁ、その機会が来ることもないだろうが。
そう考えると、支部の存在をセレナに伝えなかったのも納得が行く。その点は上層部だけが知っていた可能性の方が高いが、いずれにしても、セントラル最強の優しいセレナが知ることになれば、面倒なことになるのは間違いなかった。
人は……組織は……ここまで邪悪になれるものなのか……? それとも、単に運良く、俺が今まで出会った来なかっただけなのか……?」
たすくは自問自答をしていた。しかし、その答えは私が知っている。
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