第十三話……勇者管理組合支部⁉️
その村は、この辺り一体の『サウズ』地方の最南端に位置し、『サザエ村』と呼ぶらしい。もちろん、貝の『サザエ』にちなんでいるわけでもなく、たすくは『サザンエッジ』の略なのではないかと推察し、私もそれに納得した。
ラピスには、服を用意するまで、村の前の森に隠れてもらうようにした。
「セレナのご両親が化物に見えたらどうしよう……」
「ふふふっ、別に不思議ではありませんよ。その制約から察するに、ほとんどの人間は化物に見えるのではないでしょうか」
「まぁ、そうだろうなぁ。もしかすると、普通の人間で、かつ俺達と波長が合う存在だけが、まともに見えるのかもしれないし。すぐに分かることだけど……」
「あ……。早速、化物二体発見……。あの三人には及ばないけど、かなりグロい……」
「あれは……見たことがない人ですね……。ん? あのエンブレムは……」
「あ、セレナ!」
セレナが化物達に近づいて行ったので、私達も後を追った。
「勇者管理組合の者ですか? それにしては見たことがありませんが、どこの部署ですか?」
「何だ貴様は? 殺されたいのか?」
「何ですか、その言い方は! 私も勇者管理組合の人間ですよ! ほら!」
そう言って、セレナは鎧の左腕に描かれた紋章を化物に見せた。
「はぁ? こんな所に俺達以外の組合の人間がいるわけないだろう! それに、その後ろの二人は、通報のあった偽勇者だな? ということは、お前もその仲間だろ! 全員、この場で処刑する!」
「待ってください! 私は、第一セントラル領国第三王女『マリアン・センティネリ』殿下の命で、この地に来ました。あなたの発言は、第一セントラル領国王家への侮辱ですよ!」
「何をバカなことを。そんなことは本部から一言も聞いてないぞ!」
「本部……? つまり、勇者管理組合の支部があるということですか? あなた達が?」
「そんなことも知らないとはな。やはり、詐欺師か。たっぷりかわいがって、痛め付けて、殺してやるよ!」
化物達が近づいてこようとした時、たすくがセレナと化物達の間に入った。
「おい、待てよ! 聞いてないなら、確認すればいいだけだろ! 決め付ける前に聞けよ! すぐに危機が迫ってるわけじゃないんだから! 本当だった時に困るのは、お前達なんだぞ!」
「何を言ってるんだ、貴様は。そんなことは余計なお世話なんだよ!」
そう言い放つと、化物はたすくに襲いかかった。
しかし、おせっかいスキルの発動条件を満たしたことに、私もセレナも気付いているので、冷静にその場に留まっている。
「バ、バカな……」
「片手で剣を受け止めて、バカ呼ばわりされるなんてな。分かっただろ、実力の差が。まずは話を聞けよ」
「この化物がぁぁ!」
もう一人の化物が、たすくを化物呼ばわりし、左横から胴を薙ぎ払おうとした。
しかし、ガキンと聞いたことのある音を響かせ、それをモノともしない超人状態のたすく。今思えば、外からの力を自動で反射させているのだろう。
「無駄だよ。今、お前達に必要なのは、冷静な判断力だ。剣から手を離して、力を抜け。体勢を整えれば、戦いのことを頭の片隅に置いて、自然と考えられるようになる。横になって目を瞑れば、眠りやすくなるのと同じだ」
「くっ……どこまでおせっかいなんだ、貴様は……! おい、一旦退くぞ!」
「わ、分かった!」
「逃がすかよ! さっきは逃して失敗したからな」
驚異的な跳躍力で、化物達の頭を越えて先に回り込んだたすく。
「二手に分かれるぞ! 生き残った方が応援を呼ぶ!」
「了解!」
「誰も殺すなんて言ってないだろ! 話を聞けよ!」
結局、たすくは二人とも追わずに、その場で立ち尽くし、うなだれていた。魔法をキャンセルさせた時のように、遠隔で力を使うことができるはずだが、それをしなかったのは、ショックの方が大きかったからだろう。
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