第百二十二話……『おせっかいパーティー』
「通常であれば、陛下からの開始宣言を賜るが、今回は恐れながら省略することにして、ただ今より、『おせっかいパーティー』を開始する!
なお、本日は無礼講とし、それが我が国のためであることを念頭に、遠慮なく飲食し、『おせっかい』や『余計なお世話』など思う存分に言い合い、色々な人やモンスターと交流してほしい!」
サーズさんとユアさんのキスが終わり、ビルさんの挨拶でようやく正式に『おせっかいパーティー』が始まった。
「サーズ、ユアさん、まずはおめでとう。男系男子なら、一先ず安心だな」
「ありがとう、たすく、みか。いくら感謝しても足りないぐらいだよ、本当に」
「皆さんの妊娠姿も早く見たいものですね」
「いきなりユアさんから『おせっかい』を挟んできたかぁ」
「しかし、みかさんのおせっかいには敬服しましたよ」
心にもないようなセリフを言いながら、おせっかい大魔王のコーディーが私達に近づいてきた。
「私はコーディーさんのおせっかいに恐怖したけどね。限度があるでしょ、限度が」
「それは申し訳ないとは思っていますが、陛下方のご希望を叶えただけなんですよ、本当に」
「まぁ、あの二人から『無理矢理にでもおせっかいパーティーの外堀を埋めたいんだよなぁ』とか『私達凡人のおせっかいは、彼女達にとってやりすぎなぐらいが丁度良いものだ。もしやりすぎても、みんなには私から謝っておくから』と言われたら、『やれ』としか解釈できないし、やらざるを得ないよな」
「それは、過程の話だからね。結果的に、コーディーさんは誇らしげだったから。『ああ、やって良かったな』って思ってたんだよ。セクハラを通り越して、完全に悪魔でしょ」
「それは、二人の愛の形を見ることができたからですよ。特にみかさんの感情は、私達は推し量ることしかできませんからね」
「俺からはコーディーに感謝するよ。みかだけじゃなく、それぞれのお互いの想いを言葉と行動の両方で確認できたことが、すごく嬉しかったんだ」
「たすく様らしいですね。私はコーディーさんと同じように嬉しかったです。『みかさん、ついに!』って思いました」
「俺は、よく分からない感情を抱いたな」
Tくんが話に入ってきた。
「私が言うのもなんだけど、多分、軽い『嫉妬』じゃないかな? 俺の大好きなみかが、俺の大好きなたすくとイチャイチャしてる。俺も混ざりたいが混ざれない、みたいな」
「おー、まさにそんな感じだった。嫉妬と言うのか」
「嫉妬が激しくなると、殺人にまで発展するから、程々にしておかないとダメだぞ。特に純粋なモンスターは、その危険性が高いかもしれない」
「情操教育は大事だからな」
「この場合は、恋愛感情から起こる行動心理もですね」
今度は先代が話に入ってきた。子ども達は食事を楽しんでいるようだが、二人はチラチラと子ども達を気にしてもいる。
ちなみに、先代は保育、教育資格試験共に合格したとビルさんから聞いた。
「正直に言って、『英雄』という言葉も適当ではないと思う。我々の感謝の想いは」
「ええ、本当に。『救国者』でも同じですね。皆さんは、すぐに『救世主』となるでしょうし。私達が呼ぶには、それも何か違うような」
「父上も母上も、やはりそう思いますか。ビル、何か良い案はないか?」
「うーん、『最敬愛者』……いや、国家名誉勲章の存在意義、『国家から与えられる名誉とは何か』から考えた方が良いか。流石にすぐに答えは出せないな。
しかし、とりあえず二つ名を付けてみるというのは、アリかもしれない。『守護神』のように」
「なんだかんだで、やっぱりビルさんは優秀だね。自分の経験を最大限に活かしてる。部下のやりすぎは謝ってくれてないけど」
「主人がいつもご迷惑をおかけしております」
「おります!」
次は、サラさんと息子さんが話に入ってきた。
「二人は謝らなくていいんですよ。あ、そうだ。息子さんは、あの子ども達とは話しましたか? 公開処刑の時に分かったと思うけど、とっても優秀な子ども達。参考にもなるし、ライバルになるかもしれないし、サーズさんとビルさんのような関係になるかもしれない」
「は、はい! 城に来た時にすぐに! 少し話しただけでも、あの時以上に優秀さを感じました。僕も負けていられません!」
「……それは俺も思ってるよ。流石、宰相の息子ってな」
「普通は親の七光りとだけ言われるって先代もおっしゃっていたけど、優秀な子は小さい頃から分かるんだよね」
自分達の噂を聞きつけて、子ども達もやってきた。年長者二人は、この場でも特に落ち着いている。
「あ、ありがとうございます、嬉しいです!」
「流石の礼儀だけど、この場を活かさない手はねぇぞ。偉い大人達、しかもサウズで最高峰の、本当の意味で優秀な奴らが集まってるんだ。顔を売るためじゃない。課題や情報を効率良く収集できて、改善案を今の内から考えられる。それがどのように実行されるかも分かるんだ」
「この場を楽しむことも、この場で学ぶことも、両方大事だからね。じゃないと、もったいないよ」
「子ども達の言う通りだ。飲み会の席で仕事の方針が決まることもある。同世代と一緒にいるだけでは聞けない話もある。色々な世代や立場の人と話した方が良いってことだな」
「そうそう。知識や考え方を知るだけでも視野が広くなるんだよ。そう言う私も、視野が狭くなって自分を傷付けたちゃったからね」
「はい! 分かりました!」
「腹ごしらえが済んだら行くぞ」
ビルさんの息子はサラさんから離れ、子ども達と一緒に、食事と社会学習を楽しむことにしたようだ。
「これは、親離れも近いな」
「良いことです。いち早く国家に貢献できるのですから」
ビルさん夫妻は、しみじみとしていた。
それから、入れ替わり立ち替わりで色々な人やモンスターと話して、ダンスタイムになり、そこでも入れ替わり立ち替わりダンスを踊った。
たすくと私はダンス授業で習ったことを遺憾なく発揮し、セレナ達は事前のパーティー講座で学んだことをたどたどしくも披露していた。
モンスターのみんなも上手い下手にかかわらず、楽しそうだ。
しばらく踊っていると、ビルさんがサラさんから離れて、玉座の間の中央に移動した。
何か始まりそうだ。
「さて、ここでスペシャルタイムと行こうか。この場には、素晴らしい声と絶妙な抑揚で、私達を癒やしてくれる人物がいる。皆は彼女の歌っている姿を見たくはないかね?」
『見たーい!』
ビルさんのもったいぶった言葉に、みんなは何も考えずに反応していたが、私には嫌な予感がした。
「作詞作曲は、我が英雄である『おせっかいたすく』!」
「た、たすく⁉️ いつの間に!」
「サーズがみかにモラハラした時。頭の中で俺に話しかけてきたから、快く引き受けた。その後は、暇な時を見計らって、王室の紙とペンを使って遠隔で作業してた」
「そしてもちろん、歌うのは我が英雄である『歌姫みか』!」
「歌詞も曲も一切知らないのに歌えるわけないでしょ! またおせっかいと称したいじめか!」
「いいんだよ。みかの思うままに、自由に歌えば。メロディラインは決めてないから。じゃあこれ、歌詞の入った楽譜の複製」
恐る恐る手を伸ばして、たすくが持っていた楽譜を受け取った私。
それを流しで見てみると、意外にもスッと頭の中に入ってきた。これも本質スキルの力なのだろうか。
いや、それよりもこの歌詞……。
「たすく、やっぱり作詞のセンスあるよ。歌ってみたくなったから」
「ありがとう、みか。嬉しいよ。それじゃあ、楽団のみんな! 頼む!」
事前に楽団にも楽譜を回し、練習させていたのは用意周到すぎる。
まぁいいか、今は。
歌に集中したいから。
この気持ちを早く表現したいから。
私はイントロに合わせて、全て直感で、お腹から思い切り声を出した。
『迷惑かけてばかりのこの性格 死にたくなってばかりだよ結局
色とりどりの景色が闇に包まれた 華々しい世界はそこにあるのに
でも人に寄り添えば けど一つ考え変えれば
似たもの同士の出会いはこんなにも みんなの大きく描いた夢は幾重にも
何度も絡まって楽しくなれるんだね 心も温まって優しくなれるんだね
ちょっかいばかりかけちゃうけどいいよね?
みんな大好きな人ばかりだから 今では大好きな言葉があるから
せっかくだから言わせてよ
おせっかいばかりのおせっかいパーティー』
歌っている途中から私の目にはいつの間にか涙が溜まり、歌い終わった時には自然と溢れていた。
すぐに大好きになったその曲のタイトルは、『おせっかいパーティー』だった。
それが『この時間と空間』であり、『私達の全て』だった。
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「続きが気になる!」「次回作に期待!」
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