第百二十一話……おせっかいパーティー開催!
「良い出来栄えだな。何より、不確定な要素が多い中で、本質的な課題解決への道筋が立てられている所が良い。残念ながら、承認せざるを得ないな」
そして私達は、『悪魔防止対策提案書』をサーズさんに提出し、その場で承認をもらった。
「そんな承認の仕方ある?」
「とびきり優秀だった人の退職願に、泣く泣く判を押す感じかな」
「こればかりは引き止めようがないからな。たすく達がセントラルに行くことの方が明らかに重要だ」
「では、明日の午後四時から、『おせっかいパーティー』を開催することにしようか。私の知らない人で招待したい人はいるかな?」
そう言えば、私達が出会ったサウズ首都の人の中で、ビルさんの知らない人はいないなぁ。
サザエ村の人達には、もう別れの挨拶はしてるし。
「いないけど、サラさん達はもう城に来てるんでしょ? その二人と、あとモンスターのみんなは?」
「ああ、もちろんサラ達も呼ぶ。たすく達が忙しいだろうから、挨拶は控えてもらっていたんだ。モンスター達には、たすくから連絡して、移動手段にもなってほしい。主役なのに悪いが」
「分かった。建築業者にはすでに午後半休予定日を連絡済みかぁ。流石だな」
「二日で提案書を完璧に仕上げてきたのもな。とりあえずモンスター達には、パーティーとは何たるかから教える必要があるから、午後二時までには来てもらいたい」
それから、玉座の間ではパーティーの準備が始まり、少しだけ城内が慌ただしくなったように感じた。
小さいパーティーだとは言っていたが、モンスターのみんなが集まるだけでも、きっとそこそこ大きいパーティーになることだろう。
それが終われば、いよいよセントラルに出発だ。
私は妙な気持ちで、その日の眠りに就いた。
「あっはっはっは! 流石に笑っちゃうよ、その格好!」
たすくのドレス姿を見て、私はお腹を抱えて笑った。
パーティーには、時間がないモンスターのみんなを除き、おめかしすることになっていて、私達は漏れなく午前中からサイズ合わせで色々なドレスを着せられている。
「酷い言われようだ……。肩幅とかも合ってないんだろうな……」
「私からは、とてもお似合いに見えるんですけどね。流石、セントラルの王女と言いますか。気品がありますよ」
「みかお姉ちゃんだけ、異色のパーティーに見えちゃうってことだよね。『友人』ランクとは言え、私達以外は微妙に化物要素も入ってるから」
「ハロウィンパーティーと思うしかないかな。仮装パーティーのことね。あ、でもみんなすごくかわいいよ。たすく以外」
「それにしても、コーディーにはしてやられたな。俺がみかに笑われることを完全に読んでただろ」
「私はサーズさんとビルさんに驚きです。たすく様に事前に考えを読まれないように、コーディーさんに丸投げとは」
「しかも、コーディーお兄ちゃんは全然姿を現さないっていう……」
「いきなり、『おせっかい』決めてきたからねぇ。どうか、それがたすくにだけ行ってくれますように」
「こんなにも楽しみで、恐ろしいものになるのじゃのぉ」
「……面白くなりそう、『おせっかいパーティー』……」
そして、衣装合わせ、昼食も終わり、モンスターのみんなも合流。ついでに私達もパーティー講座を受け、『おせっかいパーティー』の開始時間を迎えた。
玉座の間に入ると、他のパーティー参加者はすでに集まっていることが確認でき、料理関係者を除いて、そのほとんどは私達の知っている人達だけのようだ。公開処刑台上で大役を果たした面々もいるが、コーディーさんは、まだ姿を現していない。
つまり、コーディーさんが考えた式次第が都度、サーズさんやビルさんに誰かから渡される形式だ。
「まずは、国家名誉勲章授与式ということで、陛下からお言葉を賜る!」
これからパーティーだと言うのに、ビルさん含め周囲が真剣な面持ちで、厳かに式が始まった。
「この雰囲気は、少しの間だけだから安心してくれ。英雄の正式な誕生ぐらいは、しっかりやりたいからな。
さて、敬称略でたすく、みか、セレナ、ラピス、プレア、リズ。貴殿らは、我がサウズ地方サウズ国、サウズ国民、並びにサウズ王家を絶望の淵から救った。故に、我が国の最高勲章である、国家名誉勲章を授与したいと思う。
先に述べた通り、我が国の誰もが認める英雄となることと同義だ。
その英雄に対して偉そうな振る舞いで申し訳ないが、勲章とはそういうものだと理解してほしい。与える側の権威と責任があって、初めて勲章に価値が伴う。もちろん、受けた側にも責任は存在する。
その価値が最高点を常に保つよう、お互いに努力して行こう!」
サーズさんの挨拶が終わると、ビルさんが奥の台座から箱を持ってきて開いた。
「これらは授受用の仮の勲章で、それ自体に価値はない。パーティーが終わったら回収する。それでは、おせっかいパーティー一同は前へ!」
そして、たすくから順番に、ユアさんから勲章を胸に付けられた。
「今ここに、正式にサウズ国の英雄が誕生した! 皆の者、盛大な拍手を!」
サーズさんが拍手を煽ると、パーティー参加者は歓声と拍手で私達を祝ってくれた。
様子を見ていると、ビルさんが次の次第を受け取ったようだ。
「次に、我が国の英雄に対して、報奨対象となるものを発表する。おせっかいパーティーは全員、我が国の国籍と永住権を得る。そして、その衣食住を我が国の名誉を以て、最優先で保証する」
「別にそんなのいいのに」
「まぁ、断るのも失礼だし、素直に受け取っておいた方が良いんじゃない?」
さらにビルさんが次第を受け取った。
「さらに、たすくを夫、他のメンバーを妻とし、全員との婚姻関係が書類上成立していることを、ここに報告する! 当然、その元となる戸籍も城内の部屋で登録済みだ」
『ええええぇぇぇぇ!』
私達おせっかいパーティー全員が驚いている一方、他の参加者は『おおー!』と声を上げ、会場は拍手に包まれた。
「いや、たすくと私の時に、おせっかいすぎだって言ったでしょ! ましてや、全員なんて!」
「記憶にございません」
「あ、政治家のクズだ!」
「それでは、クズらしく行きましょうか」
意味深なセリフと共に、またビルさんが次第を受け取った。彼には、次に何が起こるか想像できているということだ。
「婚姻の証として、夫婦それぞれには、この場で熱い口付けをしてもらう! たすくとみかから! 全員が『熱い』と判断できない場合は、やり直してもらう!」
「いや、公開処刑か! ほとんど、いじめでしょ!」
「お互いが満更でもない場合は、その限りではありません。むしろ、ご褒美です」
コーディーさんが、訳の分からない論理と共に、裏からようやく姿を現した。
「コーディー、よくやった!」
「ほんの少ししか話していないのに、私達の願望をこれ以上ないほど汲み取ってくれたな」
「お褒めに与り光栄です」
「このおせっかい化物どもが……」
サーズさんとビルさんから両肩に手を当てられ、やり遂げた表情をしているコーディーさん、いや、クズ野郎コーディー。
「申し訳ありませんが、パーティーの時間がなくなってしまうので、速やかに進行にご協力願います。皆さん、お二人を応援しましょう! それ、キース、キース!」
『キース! キース!』
コーディーの煽りと音頭に、周囲は笑顔で私達のキスを促した。
さらに、どこからともなく現れた吹奏楽団が、バックでムーディーな音楽を奏で始めた。
もうこれ、悪魔パーティーでしょ……。
「みか、こうなったら、最善の方法を取るしかない!」
「お、何か良い方法でもあるの?」
すると、たすくは私の体を引き寄せた。
「俺の愛を受け取ってくれ! 大好きだ、みか!」
そして、たすくは私にキスをした。
いや、あのさぁ……。もう……どうなってもいいや……。
周囲は、『おおー!』とか『やったぜ』とか、無責任なことを言って盛り上がっている。
たすくも盛り上がって、熱いキスにフェーズが移行すると、それに私も応えた。
もう見せつけてやる。羨ましがらせてやる。
私達がこれまで溜めてきた熱い想いを、絆を、愛を。
たすくは私を求めるように、私もたすくを求めるように、激しく舌を絡め合い、強く抱き締め合った。
為政者公認の行為だ。着ていた服が脱がせやすい物だったら、私達は全裸になって行為を続けていただろう。
それほど、二人の『愛の力』が増幅されていた。
そして、約五分後。周囲もそろそろ飽き始めたかというところで、私とたすくは、ゆっくりと顔を離した。
「まだあと四人いるから、二十分以上続くんだからね! そうじゃないと、私が『熱い』と認めないから!」
「そう来たか……。この際、思う存分やってくれ。今日は、『おせっかいパーティー』が『全て』だ」
あんまり効いてないな……。まぁいい。私には切り札がある。
「あ、あの、たすく様。私もよろしいでしょうか」
「ああ。セレナ、前にも言ったが俺の気持ちは変わらない。むしろ、これまで以上だ。俺とずっと一緒にいてくれ」
プロポーズの言葉に返すように、今度はセレナがたすくと熱いキスと抱擁を始め、ラピス、プレア、リズと続いた。
それから、二十数分後。リズがたすくと離れた際に、私はみんなの前に出た。
「じゃあ、次ね。ユアさんが双子の『男の子』を妊娠していることが分かって、サウズにとってもおめでたい日だから、二人にも熱いキスをしてもらおうよ!」
「お、おい……!」
「ほ、本当なの……みかちゃん……」
二人の驚きは、双子の性別に関してだろうが、もちろん本当だ。実は昨日の時点で分かっていたが、こんなこともあろうかと黙っておいたのだ。たすくも黙ってくれていて良かった。
「流石、みか。良いおせっかいだ」
「私達が主役だと油断していたらダメってことだよ。あ、それ! キース! キース!」
『キース! キース!』
『キース! キース!』
私の音頭に続いて、おせっかいパーティーが続き、国王達を煽っていいのかと戸惑っていたみんなも、ビルさんと先代、子ども達、モンスター達の煽りに安心感を覚え、サーズさんとユアさんのキスを促した。
「ツーちゃん、これが俺達の、みんなの国だ。面白いだろ?」
「はい、サーズ様。心が昂ってきますね……」
二人の愛も盛り上がり、ユアさんもいつも通り涙を流し、今までの誰よりも長い間、キスし続けていた。
知ってた? これ、まだ正式にはパーティー始まってないんだよ?
「面白かった!」「つまらん……」
「続きが気になる!」「次回作に期待!」
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